波の音の中に言葉を探すとき
詩とは息継ぎのようだと思う

雪の日のあなたの影として生きる

神託を受けた
しょうじょの顔をして
ほっとけーきのようにめざめる

部屋干しの固まった影
宿題やろっと

虹色のこんぺいとうの袋詰め

わたしの底が
抜け落ちないように
本を読む

留守番のインコが話す幽霊語

ペンギンになれますように
　　僕たちは
手を繋いでもゆるされたくて

熱帯魚のいる部屋
ピアノなら弾かないよ

交番の
若き巡査は
拾得の権利を
放棄できると言った

琥珀流し朝から攣ったままの脚

梅雨入りのみんな帰って
猫みたい

春は毒だ
ひらひらとこぼれ落ちて
街を青く染める

黙るためペットボトルに口つける

つなぎたいと言って繋ぐ手　
未来ではなくて来世の
ことを話して

いもうとになったことしかない
星は風が吹いてもゆれたりしない

寂しさに気づいてほしくて、
会う日にはいつもきちんと
マスカラをした

胸のゴミ山で見つけた本心を
子猫のように抱き上げた夜  

海底に眠る宝の箱はある
コークの瓶の底に棲む虹

一輪でサーカス小屋を震わせた　
「パパ、獰猛な薔薇を飼いたい」

馴染めずに
もさっとバナナ生温く

咲いてから花だとわかる夕さりに
ボーカロイドの間違える歌詞

中身がわからないタッパーが
冷蔵庫の隙間を埋めている

何もかも上手くいかずに
泣きながら焼いたハンバーグが
母の味

コーヒーはカップに満ちて
月の夜のカフェの
やわらかな喉を映した

ホワイトノイズ　短夜の羊水

メトロ乗る季節の軸に近づいて

万緑の中ツチノコはきっといる

ける。
　　　　　　　　　　ける。
　　夜がないている、

初心忘るべからず
いつまでも少年であれ

私だけ躑躅を吸ったことがない

身をよじるたびに放しそうになる
ちいさいかぶとむしなんだけど

くすくすと早桃の水をもてあそぶ

妹に似たパプリカをもてあます

みんな眠くて柔らかい椅子

祈るのが恥ずかしくて
代わりに床を磨いています

七月は海の写真
ぽんと置かれた河内晩柑

詳しくは把握してない時刻表
急げばなにか乗れる気がして

雲は夏わたしは自由席にします

無言劇フィナーレの風船を子に

わたしの中の子どもはいない
妻になり母になり
逃げていっちゃった

一階に美容師が住む夏休み

冷たくなった魚から
　　　　　　　　
　　　　　　　檸檬の香りがする

寝かしつけ
赤毛のアンの夢をみる　
白い林檎の花匂いたつ

黒点を失くした犬よ片かげり

うなずくと、枯れるもの
きみの奥底を護ってる

茹で時間の割に幽霊だった

生活費のことを訊ねるオーナーに
わたしは砂時計で喩えた

海ねむる
かなしい春の
海街の
地上の
カサゴ釣りするわたし

いもうとになったことしかない
星は風が吹いてもゆれたりしない

だけどもねロシアの本も音楽も
余さずあびて死んでゆきたい

あと少し
あと少ししたらやるからさ
花の香りの静かな流れ

咲いてから花だとわかる夕さりに
ボーカロイドの間違える歌詞

傷つきましたねと言われ月実る

頑張って付けたリボンの散る季節

とろけてしまえば
楽かもしれない
でも理解されず
家族はしょうゆをかけてくる

作家性ありきで浮かぶ天の川

商店街が来たから踊った

メトロ乗る季節の軸に近づいて

あばらから海ぬるくなり
コカコーラ

妹に似たパプリカをもてあます

まず月を
よなぐにさんでチャージします