地下街のアートを雪で濡れた手で

枯芝をトランペットの鳴る方へ

言葉を失うサックスを吹くために

乳液を手に温める星月夜

お重の中は
いい感じで
多民族

ちゃぶ台ひっくり返して
ありったけの
瀬戸物割ってる

心の中ではね

抱き合えば微かに花の匂い
その花の名前を思い出せない

試みに切っ先を目に向けてみて
二十二歳の熱源さがす

月を吐くように

すきだと伝えても
凪いでばかりのきみの目だった

ふたりきりの、
夜に
まぶたを見せあって
琥珀のような息をしている

引き止めることば
を
むりに飲み込んで
つつじが胸にざらついている

きみのその、
浜辺みたいなそばかすが
くしゃっとゆがむ
青空
　だった

ぼくの目を
見ずに
カフカを語る
きみを
天動説のように愛する

あしあとが
濡れる
あなたの沖だから
すみれを零しながら歩いた

遠吠えのへたな
仔犬を抱くように
友の愚痴にもよりそってみる

おにゆりの花へしゃがめば
濡れながら
ひかりを放つ蝶のりんぷん

もう何も言うことなくて海のほう
ばかり見ていた　海ではなく

温かさの残る弁当箱を
使っていないと思い出す
駅の手すりの冷たさ

冬の陽
缶詰の文字が
曲がってい
る

襟足を伸ばして満たされるものの
ひとつもないと伸ばしてわかる

夜更かしの時間に書いている日記
愛とか恋は少し大げさ

まわりみちまわりみちして薺食む

誰しもが街の一部でありながら
誰を欠いても成立する街

純情を揺らすみたいに髪を結う
青春すべてが私のためだ

透明な拒絶
「大丈夫」って言う唇は
血潮の色だった

寂れたピザ屋に短歌を浮かべてる

石塀に彼らが散っていくことを
桜と呼んだ天体が、ここ

挨拶は弾むみたいにするべきと
誰かが言って護岸には波

蜩がパタリ鳴き止む瞬間に
忘れたくなる日々が始まる

君が前、教えてくれたあのバンド
覚えてたのは、俺の方だけ。

雨が降るように手紙を書く人で
寝ながらあくびをする人だった

放たれる風を言葉にするために
鼓膜をぴんと張りなおす冬

生き物を裂くようにして洗う手に
伝わっていく水の葉脈

いい日です。
今日はやたらとタッパーの角が
綺麗に洗えますから

命は紡ぐもの
死は重ねるもの

人間は脱皮できないから

庭園に吐く息ばかり椿展

ニクロム線
赫く憤（むずか）り義仲忌

(治承８年１月２０日没)

日脚伸び一鍵欠けたトイピアノ

窓を開ければ世界があること

忘れないようにシャッターを切る

手のひらに乗せる石ころ
探してます
冷たさだけを分けてあげるね

今朝の冬半透明の黄の付箋

雨漏りの溜まる花瓶

神の旅

弁当のガンバレ！を食う
一月は
母の応援にも気づかずに

金色の仏壇一つ粗大ゴミ
白い道路に置かれたまんまで

　夜明け前に
　食べる
　ミントあめ
　朝の空気が
　静かにとおる。

　ラムネの瓶を
　こするような
　寂しさでした

　傷にしみる
　場末の喫茶店の
　クラシック
　生きていけるように

都会とは
不思議なとこで
人数が
増えていくほど
ボクは孤独だ

雪の面に足跡をつけたくない


そのためだけに
ゆうれいになりたい

　不妊治療、
「まじめ」で片付けられる
　違和感

僕は人より小舟寄りな気がしてて
帆を揚げるようセーターを干す

祈る手が朝を貫き冬の水

妖精の絵文字が不意に飛び出す
ああ、コロナ陽性だったのか

家族の一人一人が
出かけるのを
玄関で見送った犬は
どさりと眠る

人生で初めて
「いつものですか」と聞かれた
引越し前日の夜

歯磨きが下手な人生 小鳥来る

春祈るように子犬を買いました

賞杯にかつてのリボン冬の朝  

新しい町に子猫の陽の在り処

内見の人と初音の話など

テストステロン多めの
みぞれで濡れた髪

南館の
便器のレバーは
冷たくて
ぐおんぐおんと宇宙は広い

山眠る　街真夜中を持て余す

かれのダメージジーンズの
ポケットに押し込んでみる
ハンカチティッシュ

手術するときの音楽クリスマス

沸騰する語彙の中に生きる

真夜中のボウルに氷水満ちて
放り込まれるトマトの赤さ

恐竜の化石見上げる旅始

歩き疲れて
真夜中のクリスマスチキン

霜の朝ふうわりと飯炊き上がる

あの日の横顔が忘れられないから
明日、前髪を切る

駄菓子屋の脇の小道の夕映えのポ
ストへ封書投函にゆく

あおいそら
を
薄暗い部屋から
見つめる

日の出前の起床
静かな灰色の部屋が
ひとり暮らしを
いっそうさびしくする

雨、いぬは
道のまわりに家が建つのか
家のあいだを道が縫うのかを
しらない

冬からすれば人々は熱っぽく、
すぐに眠ってしまうのだった

死ぬも生きるも面倒くて
大切な人たちが温かくて
結局生きるしか術がなくて

春隣安心したいだけなのに

ビルトインスタビライザー冬終る

処方箋に雪ふりつもる精神科

子供らの声に起こされ雪明り

初空をつかもうとする肩車

もう何も言うことなくて海のほう
ばかり見ていた　海ではなく

プテラノドンに歌詞を付けちゃう

伊勢丹の一階みたいな匂いする
ひととお散歩させてください

停電になり
静けさが保たれた教室は
狭い水槽のよう

秒針の三歩後ろを歩く春

カヌレがどんどん固くなったり柔
らかくなったり、その不品行さが
存在みたい

春風の待合室になってた３の２

一瞬も眠れなかったその夜が
明け方いろのりぼんをほどく

なれないひとに
なりきって書く名前
私にはないはねを持ってる

今朝の冬半透明の黄の付箋

仄暗い駅舎に宿るるるるの気

雪の面に足跡をつけたくない


そのためだけに
ゆうれいになりたい

窓がないここでもうすぐ鳥
だった

小夜時雨 祈りのための絵画たち

春祈るように子犬を買いました

幼子のリュックを背負い深々と
座席に埋まる冬のぬくもり

ぽたあじゅのたぷんと香る冬初め

初みくじ揃いの吉を持ち帰る

死にたくないなと夜道ひとり
白くて大きなコートを買った

駄菓子屋の脇の小道の夕映えのポ
ストへ封書投函にゆく

春を待つ
はるっておなかすくのかな

春隣安心したいだけなのに

除雪するほどじゃない道努力賞

雨ですか？
それともサラダスティックは
何もつけずにいく君ですか

初雪は鯨の寝言筆掠れる

煎餅の箱をたゆませ独楽回る

初空をつかもうとする肩車

お重の中は
いい感じで
多民族

６００Ｗで温めてしまうとき
まず温もりを失う手料理

胸骨を
ごろりと削る
愛だった
化石のせいで、いきが、
できない

おにゆりの花へしゃがめば
濡れながら
ひかりを放つ蝶のりんぷん

もう何も言うことなくて海のほう
ばかり見ていた　海ではなく

運命の順にしら梅つぼみあく

ぼんやりと
縁まで満ちたマグカップ
教えてよ飼い鳥のあとさき

秒針の三歩後ろを歩く春

最期の最期まで
言葉が足りない人だった　

朝寝坊して暴動の日を延ばす

なんとかは、ならないけれど
どうにかは、なるかもしれない
なるように、する

タオルケットが
闇からすっと降りてくる
昔話とっくにこと切れている

妖精を待つため敷くよ宝船

電車走る
風景流れる
母の膝の上の子の
手元で絵本捲られ
また、風景流れる

想像で浮ける死海があっていい
鼓動にも酔ってしまう夜だし

パエリアの
パは
春を待つタイプの
パ

刎橋（はねばし）の
原理あきらか去年今年

硯海に荒星泛かぶ良寛忌

(天保２年１月６日示寂)

今朝の冬半透明の黄の付箋

私が解けた、
先っちょを
ひるのひかりが見つめます

薄闇の水溜り
越えて
知らぬ間に
また肩を並べる

観音の
口にいちごを捻り込み
如来になりゆく嫗の両眼

不細工な白鳥の子は
人が乗り
自分がスワンボートと気づく

妖精の絵文字が不意に飛び出す
ああ、コロナ陽性だったのか

目と口を塞ぐためだけに音楽を
耳に捻じ込む満員電車

関節をへし折る音が響く部屋
茹で上がったら蟹になる君

南館の
便器のレバーは
冷たくて
ぐおんぐおんと宇宙は広い

少女が電話をしながら
爪を眺める行為に名前をつけて

山眠る　街真夜中を持て余す

そうこれは自我のおつり

大切を大切にしたいからさ
身も心も犠牲にできるほど
僕って暇じゃないんよね

春隣安心したいだけなのに

水面にいくつか波紋
降っている感じはしないのに
降っていた

岸壁をよぼりよぼりと伝う日の
波は優しくフジツボの母

水かつて玻璃象のこえ水の国

処方箋に雪ふりつもる精神科

寿司というものあるらしく
蟹せつせつと思いつめる

試みに切っ先を目に向けてみて
二十二歳の熱源さがす

凶暴になってみたい
そのあとは
天をつらぬく塔になりたい

悩みごと尽きぬこころに

焼き芋を剝けば
あふれるこがねの波濤

引き止めることば
を
むりに飲み込んで
つつじが胸にざらついている

温かさの残る弁当箱を
使っていないと思い出す
駅の手すりの冷たさ

つかれて何もできない
手を近づけて手を大きくする

ざふざふと霜ばしら虐げたなら
心地よく麻痺していく五感

助手席でだらしなく唾液をこぼす
きみを多摩まで運ばなければ

いずれ署に連行されるとき着れる
はりねずみ色のスウェットの上

新品の靴が馴染んだ冬の今
わたしが走るなら誰のため？

こぉつうけぇ
あいしぃかぁどを
かざせども
残高不足の
音が鳴るだけ！

純情を揺らすみたいに髪を結う
青春すべてが私のためだ

WindowsXPの遥かな丘陵
「閉じる」で消した記憶があって

石塀に彼らが散っていくことを
桜と呼んだ天体が、ここ

嫉妬という炎が消え去るその刹那
宇宙船から信号届く

なれないひとに
なりきって書く名前
私にはないはねを持ってる

放たれる風を言葉にするために
鼓膜をぴんと張りなおす冬

生き物を裂くようにして洗う手に
伝わっていく水の葉脈

窓を叩く雨にならって
人間を信じる強さがほしいと思う

後肢の癖に見覚え獅子の舞

星と呼べるなら歩いていけるんだ
世界中のあなたに言ってる

私から冬のフォークを捨てる

誰にも
見つけてもらえなかった星が、
わたしの森を静かに照らす

春を乞う赤子がつかむ母の髪

仄暗い駅舎に宿るるるるの気

雪の面に足跡をつけたくない


そのためだけに
ゆうれいになりたい

窓がないここでもうすぐ鳥
だった

空室の観覧車では
陽だまりと春の気流が
内緒のはなし

不細工な白鳥の子は
人が乗り
自分がスワンボートと気づく

このねばっこいのが呪い
羊水の甕ひたひたと潮が満ちゆく

文庫本のしおり挟んだ場所でなら
十年後でも会える約束

虫の寝言にみせられて
外に　行く　ほのかに冷たい風
に　まんまるお月様

空へ差し出す
　裸木の枝（え）のぬくみ

宿酔の朝空き缶を覗き込み
　　伝えそびれた言葉見つける

座布団の角の艶めく初稽古

嫉妬している
多摩川はひと目見て
多摩川とわかるから、少年

春を待つ
はるっておなかすくのかな

通園バス暗い窓から子らの顔
晴天とは余りある独房

生ソーセージ
フォークで食べる顔を見て
安心しきるよな野性を持ち

親知らず知らずのままで
いいのかな　絵を見るペースに
差があるけれど

さみしさの勝利！
伊勢海老越しの権太坂

地下街のアートを雪で濡れた手で

笑うしかない深海に眠る花

犬をモチーフにした風

情念が無いと言われて傷ついた
夜にちらつくコロッケそばだ

「あらかじめ失われた」
で括られて
トースターから救いだすピザ

凶暴になってみたい
そのあとは
天をつらぬく塔になりたい

きみのその、
浜辺みたいなそばかすが
くしゃっとゆがむ
青空
　だった

なんですぐ花の話をするの、って
言われてずうっと泣けなかった日

つかれて何もできない
手を近づけて手を大きくする

プテラノドンに歌詞を付けちゃう

襟足を伸ばして満たされるものの
ひとつもないと伸ばしてわかる

果てしなく素直な夜にうつむけば
多感なミツバチの思うつぼ

飼い犬の引っ張り癖に
着いていき
映画みたいな桜の道へ

坂があるせいで少しのさぼり癖
だれが楽しい学校だろう

ぼんやりと
縁まで満ちたマグカップ
教えてよ飼い鳥のあとさき

こぉつうけぇ
あいしぃかぁどを
かざせども
残高不足の
音が鳴るだけ！

カヌレがどんどん固くなったり柔
らかくなったり、その不品行さが
存在みたい

寂れたピザ屋に短歌を浮かべてる

お年賀やたまごサンドと茹卵

石塀に彼らが散っていくことを
桜と呼んだ天体が、ここ

タオルケットが
闇からすっと降りてくる
昔話とっくにこと切れている

蜩がパタリ鳴き止む瞬間に
忘れたくなる日々が始まる

春眠で来世がチラリと垣間見え
君は巡礼僕はポーカー

やっぱ無理かもでも体は動くし
曖とか昧でわからなくする

想像で浮ける死海があっていい
鼓動にも酔ってしまう夜だし

ラーメンに正しい作法初座敷

パエリアの
パは
春を待つタイプの
パ

秋風とまた叱られるランチ

私から冬のフォークを捨てる

私が解けた、
先っちょを
ひるのひかりが見つめます

気まぐれに陽射しは彼らを
貫いてひらいた身体を
たべて、ひかって、

観音の
口にいちごを捻り込み
如来になりゆく嫗の両眼

仄暗い駅舎に宿るるるるの気

僕は人より小舟寄りな気がしてて
帆を揚げるようセーターを干す

履歴書に書けない全てで
評価してくれたら
きっと、採用だった

同窓会
予測変換から
抜け出せずにいる
誤変換のように

探し物探す時間を探してる
生きたい場所で生きるため生きる

歯磨きが下手な人生 小鳥来る

進級で世界史Ａを取りました


私の世界はＢとしました

おみくじの中の
ちいさな二項対立を
鼻かむ音でかき消す

山眠る　街真夜中を持て余す

手荒れの
母のピアノ
緑茶を注いで
私は空っぽ

正しさ　が　正しさでなくなる
ダムができた
新たな知恵袋。

そうこれは自我のおつり

隣の星から聞こえる笑い声
わたしはきっと碧い瞳

思い出の上演会
丑の刻に花咲かす

死にたくないなと夜道ひとり
白くて大きなコートを買った

歯磨き粉がついた
ダウンジャケット

駅前のロータリーを
失敗みたいにえぐる夜半

煮込んだら減るし
みんなもいるんだし

水仙花泣いてワールドイズマイン

雨ですか？
それともサラダスティックは
何もつけずにいく君ですか

点を打ち描く
ルビンの壺が割れる

笑うしかない深海に眠る花

犬をモチーフにした風

きみのその、
浜辺みたいなそばかすが
くしゃっとゆがむ
青空
　だった

あしあとが
濡れる
あなたの沖だから
すみれを零しながら歩いた

もう何も言うことなくて海のほう
ばかり見ていた　海ではなく

なんですぐ花の話をするの、って
言われてずうっと泣けなかった日

運命の順にしら梅つぼみあく

カヌレがどんどん固くなったり柔
らかくなったり、その不品行さが
存在みたい

やる気があればなんでもできる
その真っ白さに漂白された
乾いた個性を着る

石塀に彼らが散っていくことを
桜と呼んだ天体が、ここ

国道の車が同時に止まったら
恋する猫が一気に横切る

ノックの音がするたびに君は
僅かに壊れて三日月が震える

嫌うなら殺しておくれ錨草

命は紡ぐもの
死は重ねるもの

人間は脱皮できないから

地下室に幻覚の白紫陽花の

パエリアの
パは
春を待つタイプの
パ

ライチの皮を剥いた傷柔いとこ
冬は触れるとすぐに泣くから

花びらがわたしの頭にのっていて
あなたが触れたら全てが星座

窓がないここでもうすぐ鳥
だった

不細工な白鳥の子は
人が乗り
自分がスワンボートと気づく

ジェットコースター点検階段の
最上段で
天使が泣いた

人とも会わず
犬と布団で二人羽織

風冴えて 白い火傷が過去になる

梅雨は闇 昨夜未明のことでした

進級で世界史Ａを取りました


私の世界はＢとしました

南館の
便器のレバーは
冷たくて
ぐおんぐおんと宇宙は広い

「うそつき」の
　「そつき」　の部分だけ響く

雪玉を
握った君の
指を
食べた

沸騰する語彙の中に生きる

白長須鯨よ海の心臓よ

ぽたあじゅのたぷんと香る冬初め

駄菓子屋の脇の小道の夕映えのポ
ストへ封書投函にゆく

血液型は同じが良い
あなたの血を輸血してほしいから

冬からすれば人々は熱っぽく、
すぐに眠ってしまうのだった

春を待つ
はるっておなかすくのかな

会話ってつくづく反射神経と思う
名前のわからない花

さみしさの勝利！
伊勢海老越しの権太坂

枯芝をトランペットの鳴る方へ

初雪は鯨の寝言筆掠れる

煎餅の箱をたゆませ独楽回る