いつどこか空白のまま履く裸足

スペースで変換できずに打つ寿司

クリスマスには
犠打をうつから

化け猫は
そんなに熱くないのにね

いななきが
画面に表示されている

東京に流星俺の墓はどこ

三切れの
りんごを盗まれ
問い詰めた
首を捻って
ウンチを三粒

泣けばいい
そうは問屋が卸さない
君はリンゴを
盗んで食べたよ

あなたが私の首に腕を回すまで
世界は呼吸を止めている

燃えるごみと
燃えないごみの中で眠る
幸せな夢をみる

忘れた頃の
自分の死が
一番可愛い

水平線を借りてきて
いきつぎの練習をする

蝶だけが鏡の中を飛び続け

「主文、蛍を自由の刑に処す」

新しい国をチョークで創る春

春になって
あの汚れた猫はいなくなり
あの汚れたおじさんは
立ち尽くしていた

今日悪口を言ったくちびるに
リップクリームを塗らない

珈琲が入りました
クッキーもあります
窓の外の塀を
猫が歩いてゆきました

突然の雨
映画の主人公に
なった気分

夕焼よなんにもなくて悪いかよ

カタカナで書かれたサヨナラの
先端
尖った部分で
刺されて死んだ

幸せごっこごっこごっこ
うそばっかばっかばっか
あとみっかみっかみっか

電車の中で買い物メモに
「もやし」と書く
私は誰？

我が家のお風呂に入って欲しい男
ワースト３
ハリネズミ・夫・息子

毎日
酷使されているのは
歯と心だ

毎日少しずつ
髪や爪が伸びていくように
あなたを好きになっていく

アンナという女
　　　と
ソンナという男
周りの事ばかり気にするふたり

「あの人はそんな人じゃない」
　　　なんて
みんながそんな人なんじゃない？

「月が綺麗ですね」なんて
顔を上げる勇気がないので
水溜りに写った月に呟く

SALE!　を
去れ！　と
読んだあの子は無事
反消費主義に育った

星を見渡すって
給料日前に
残った小銭を
机の上にひろげるみたいだね

詩はゲンコツより硬く
おっぱいより柔らかい

おっきなおしりステキだな
おっきなモモはあまくない
なんてのはウソだな

おかしいな
日本も国際化してきたのに
外国人の幽霊ってまるで見ない

男尊女卑のご老人の
肩に手を置き
「まったく近頃の老人は...」

先程　神と名乗る者が
マスクせずに咳していたので
地獄に落としときました

虚数ｉ
愛は虚しい
わたしもむなしい

流れ星口移ししたあとの雪

目覚めない時計を飼っている霙

下の名で呼んでよ
呼んで春の夢

男女間の友情はアリ？ナシ？
なんて質問
そろそろなくなりそうだね

友人は
日記を読み返すという
すごい
ぼくにはそんな勇気ない

歪んだ空間にいたとき
わたしも歪んでいたことを
忘れてはならない

溺れる
差伸べてくれる手は沢山あるのに

わたしの手が見つからない

「普通」という
極彩色は音立てず
今日もぼくらを追い詰めてくる

アスパラの寝床よ鍬は立っている

死にたいと思う人が
生きないわけでも
ないでしょう

夜が眠る時間であると
だれがきめたのだろう

悲しみに暮れているような
悲しみに導かれているような

生きる意味を探している間は
どうやら生きているらしい

人は一人では生きていけないって
誰か確かめてみたのかい

椅子は
わたし以上にわたしの
重さを知っている

涙の止水栓を
誰かに委ねては、いけない。

たましいに色があるなら
からだは透明でいい

後ろの正面に私はいる

水を得た鳥は風を忘れる

大儲け狙って
騙され怒る人

ごめんなんだか
笑っちゃう

いまきみを
好きとかそういうことじゃなく
あの時の僕が
いま泣いている

側溝に入り込んだペット猫
にゃーと出口を教える野良猫

猫の恋　母への嘘が増えていく

母の孤独は私の形をしていない

恋人についた嘘から芽吹く春

スカートの裾を摘んで
波際のきみは
夕日に手を引かれてる

黒猫の夜道に月のキスマーク

母の肩を揉めば
霜柱の音がする
どれだけの雪に耐えてきただろう

フラスコに満ちる感情
この恋は
リトマス試験紙くらい簡単

柔らかく肥えるからだという器

マフラーの、
毛糸に戻る瞬間を
見てしまったかのような教室

「好きでしかない」と
メールの返りきて
ヲタクは戦争をしない主義

ここはどこハタチは迷子
くるくると
方位磁石はこわれたままで

さよならをしたつもりだった

君の名を
語る誰かが蛇口をひねる

心が空っぽになって
幸せを注げる量が増えた

烏と目が合い
一瞬で頭を掴まれた
弱さを見抜かれたみたいで
頭より　心が痛い

虹をひっくり返した
湖に
社会の荒波で
傷ついた
富士山が静かだった

好きと思える
気持ちに感謝
すごくステキな
いのちは
寒咲菖蒲

憧れの佳作評価
雲を霞と離れゆく

本の上
蟻が平然と斜め読み

石鹸と水で洗うパンツには
石鹸と水じゃおちない記憶

産まれおち
生きてるだけでえらいとか
いわれ続けりゃ死にたくもなる

キーボードに両手を置いて
銀河の対義語をつくってしまう猫

笑顔には時効がないと教わって
それからひらいていないアルバム

二秒後に世界を消して
二分後にたばこをふかすなど
しましょうか

文章にされた情熱
情熱が文章になることのさみしさ

折り紙を折りつつ祈る仏間にて
「折る」と「祈る」の
酷似にとまどう

「死んでくる」置き手紙にはきみ
の字がちふれの口紅みたく鮮明

前髪をうまくとかせずこのときを
うっかり恋と呼びそうになる

そらの色した折り鶴のはね折り曲
げてとべない鳥をとべなくしたい

睡眠をとらないだけで一日を
四十八時間にかえてしまえる

星なんかどうだっていい問題は
この後きみの手を握れるかだ

嘘ついたわけじゃないけどきみの
涙は針を千本飲むより痛いね

放課後にあなたと帰る「好き」な
んて言えない　おとめ座流星群

君と初めて帰る春絶対に蒲公英だ
けは僕は踏まない

どうがんばっても　の
どうは
どういう意味なんだろう

言葉にならない
想いは
お譲りします　重いでしょう

覚えるのがきらい
思い出すのは好き

寂しがり屋のピエロでいい
笑わない道化でいい
人間がいやなだけ

覗き込む
お日様の横顔
影が

好きの後ろに嫌いがいた
嫌いの後ろに好きがいた
素直じゃないなあ

ダイエットに励む妻
ご褒美にと高級スイーツを買う
妻は口を聞かなくなった

卒業を
祝う友人
ちらと見て
踊り場の手紙に
返事書いた日

「僕を殺そうとする僕」
を殺そう
入れ子になった
死体はいくつ

大人になった友人は
観光地訪れるみたいに会いに来る
僕は記念碑じゃない

生存
四方八方に触手を伸ばして
私を拾い集める

ビニール袋が
子猫のようについてくる
ホームまで遠い大江戸線の

雨すごいし財布はないし
駅前にしゃがみこむ
マスクだけは付けてる

しめやかな砂丘を口に棲まわせて
夜風のなかのベランダにいる

あなたといてあなたはしずか
明け方の洗濯物は乾かずにある

原作にないが私はそう言った

椿落ちてなお重さを信じない

左手で書いてあなたの名を滅ぼす

ゆっくりと溶けていくなら許そう

出土する頃は仲良しだといいね

誰の手か分からぬままに振り返す

ワレモノの中で割れているリズム

「ばんぺいゆ」って
唱えてすぐに
夜の底

Photoshopから
大量の砂

そよ風の
ために書式がそろわない

弦楽器と
見分けがつかない
小学生

菱形にされたままでも
碁は打てる

一月は銀紙がすぐ底をつく

リバウンドして
テルミンになるなんて

東京に流星俺の墓はどこ

魂の重さはきっと落椿

日中に
体いっぱい蓄えた
太陽の匂いの
犬を抱く夜

弁当の
だし巻き卵を
作ってる
深夜の底には
朝があるから

懐かしい街の写真の
至るところ
ヒビが入っているのを
見ている

お月様
いらかの波に
呑み込まれ
駅から流れる
液晶の蛍たち

逃げてゆく2月が遠いまだ子供

おかあさん
　おかあさん
　　おかあさんだって
　　　　泡になって消える

雀斑の
ようなくちぐせ
柔らかく
車道側から
遠ざけてみる

歩幅が狭くなる
星が行間に滑り込む

眠る君から生が漏れるのをただ

もうそんなに青くない部屋で
花瓶の反射が天井を揺れる

檻の中カルガモの備考備考と啼く

さんずいと林の間でねむる
足はちょっとはみ出して

生きるって何なんだ
と、君に聞くと
誤字を気にすることだよ
って呟く真昼

いちごをスプーンで潰す
人間であることの腹いせに

水平線を借りてきて
いきつぎの練習をする

今日の日の断末魔の音きみときく

生誕の祝福 リボン 紙吹雪
首に絡む枷となって

なけなしの詩嚢に冬がしがみつく

秋光にクレーターめく手相

短日のうどんぽろんとざるを出て

春闇のしずくを飲んで魚になる

春雷にページの活字あふれだす

本も魂も返却せよと春疾風

卒業証書筒の形に戻りたがる

春になって
あの汚れた猫はいなくなり
あの汚れたおじさんは
立ち尽くしていた

割れた君なら握れます

愛したものが詰まった本棚の
下敷きになった叔母

今日悪口を言ったくちびるに
リップクリームを塗らない

この世の確かなものみたいに
今年も宿根草が花をつけ
あたし
少し
息がくるしい

タシーン
タシーン
アスファルトにボール跳ねて
青空と
まだ冷たすぎるサイダー

千切れた目玉模様
茶色い蝶々の死の空っぽを
震え見つめた
あの窓辺はもうない

幾つか咲いた詩を摘んで
幾つかの詩と
雛鳥の骸を埋めた庭は、
いま
乾いて軽い

わたしのちいさい足は
ペタペタ歩いた
かぞくの気持ちの
あいだ

煮沸したふきんの湯気で
和らぐ台所の空気

暮らし。
清潔で強かな言葉のかたち

ただいま
未来でもなく過去でもなく
いま　この瞬間　
生きている　　証の言葉

心臓はアクリルのなか春の雨

春だからクリームソーダ色の夢

こちら操縦席まもなく春の月

夕焼よなんにもなくて悪いかよ

第四位 意外と重いパイプ椅子

お金が無くて
拾った石に父の顔
書いて渡した誕生日
実家の硝子戸の中
笑ってる

呼ぶたびに夜を薄めるあの名前

余命百年と宣告され
呑気に暮らしている

暖かい二月十三日
りんごの味を少し遠く感じた

人を信じないでいられない呪い

愛は永遠と信じてやまない
彼は造花の花束で
プロポーズをする

湯船に張られた溜め息の模様

思います。を
多用するなと叱られて
断定世界の端で泣いてる

中七が素敵なカヌーでよかったね

邪悪な中八を恐れない

中野区で網の目をすり抜けている

青が溢れて窓辺に帰れない

自販機に信州そば茶があるだけで
守られていると思える

借り物の風で飛ぶ

サバンナの動物はみな痒そうだ
清浄な部屋で背中を掻く

幸福に「」をつける

月氷る未明の遥か心電図

遠洋のひかりみたいな
神様も
わたしとあいつの
部屋には呼ばない

幼さを求められてる二月揺れ

心の穴に
とりあえず
濡らしたティッシュを詰め込んで
埋めてみる

眼球の周りを軽く押してみる

感じる

骸骨

王様は
昔に買った壁掛け時計
新しい部屋の配色を
すべて支配しています

材質不明の
幅三十センチメートルのふちに
立っている

私が葱を刻んでいた頃
腰まで浸っていた君の作業着が
今　洗濯機で回っている

私は生きていた
轟々となる
自動販売機の隣で
静かに

わけもなく悲しくなる
どうやら私は眠いらしい

白い細いほねを雪に埋めたあの日



春を迎えて、なにも出ない

二点透視の、空が落ちる

月までの火の手を上げて
桜が咲いている

海の頂上に
置き忘れられた椅子

缶蹴りの足が
浮かんで来ない晩秋

刺されたら死んでしまう
生き物の尾のあたりに
僕はいた

空はもう終わったのだ
と思っていた

誰もいないみたいな風が吹き
誰もがいるみたいな光がさす

もう、いない誰かの
息を整えること

たましいに色があるなら
からだは透明でいい

まな裏の闇で生まれた鳥に
見え過ぎるわたしの目をあげる

後ろの正面に私はいる

いちみりもいろにできない

あの世とは
どの世のことか知らないが
届かぬ手紙ばかり書いてる

傘をさす
持ち手が腕に繋がって
そうして雨に近づいてゆく

ティースプーンのような女友達

猫の恋　母への嘘が増えていく

むしょく、って子供が言えば
傾いた万華鏡から零れるひかり

臍から孤独が入り込む

母の孤独は私の形をしていない

夕日と すべり台の記憶が
溢れ出して
小鳥に染み作った

死はよじ登って来るらしい
冬という台風の目の中で
足の小指が冷えている

ぬかるみのような恋です
弾けます
気分次第で海が見えます

たんぽぽ、の音澄み切って
風邪のとき
かけてもらった毛布のようだ

明日の髪型を思えば
鏡台のわたしに
春が傾いている

わかった、と
君が頷く夢を見た
頭蓋に海はあるのだろうか

いなくなることを願っている
君の
手を引く、夕焼けの教室で、

冬の月だけが本音を聞いてくる

君につく嘘の数だけ
深海に
月のひかりは届くでしょうか

死にたがる国へと夏の帰還兵

飛び上がるように昇降口抜けて
入部届はそらいろになる

くっと背にひかりを抱いて
ハンド部の
マブチは外周が似合うやつ

母の肩を揉めば
霜柱の音がする
どれだけの雪に耐えてきただろう

乾きゆく蚯蚓に残すタイヤ跡

青春は放物線のきらめきに似て
壁打ちの貴方に夕日

雨粒に濡れた地図帳
窓際で開けば匂う波打つ大地

冬空の記憶まっすぐ落ちてきて
ぼくがけもので
あることを知る

心臓をしゅるりと解くような雨

下人の行方は誰も知らない

涙すら拭えぬ指よ
ニメートル離れて
きみの爪先を見る

マフラーの、
毛糸に戻る瞬間を
見てしまったかのような教室

ゴミ捨て場に光を置いてきた

字は丸く太って
月の満ち欠けのように
恋文へ散ってゆく

中光度赤色航空障害灯に
囲まれて
見透かされてる俺の罪

コーヒー豆と
同じ原理で生を挽き
眠れぬ夜の机にいたい

心が空っぽになって
幸せを注げる量が増えた

烏と目が合い
一瞬で頭を掴まれた
弱さを見抜かれたみたいで
頭より　心が痛い

インターネット上にも
街路樹が植えられる日が
来るといい

あの日海岸に立ったさざ波が
今日の僕たちだったりする

死んだ祖父が
蝿になって帰ってくると
殺せなかった昼間

ひさしぶり、
雨音だけじゃたりないよ、
ひかってるとこがきみだね、
そうだね

色彩がばらばらになる午前四時
自販機の足もとの神様

この街にも
オリオン座はひかるのだ
信号待ちに冬を教わる

書を捨てて、街へ出てはみる
けれど
いつのまにか来てしまう書店

産まれおち
生きてるだけでえらいとか
いわれ続けりゃ死にたくもなる

シャーペンを何度も
にぎりなおす日に
花の香りがまだ白々しい

さしこんだナイフがくっきり
つめたくて
離島の冬の雪がちらつく

はしたない荷物をかかえ五月雨を
まっすぐに歩くことができない

まわらない風車に風のことをきく

キーボードに両手を置いて
銀河の対義語をつくってしまう猫

せつなさに閉じ込められた邂逅の
ついでにカップ麺とかキスとか

三月が三月でなくなる前に
いっしょにみよう、春のまばたき

目があってから四秒間は喋らない
ことにしている木星の熊

笑顔には時効がないと教わって
それからひらいていないアルバム

そらの色した折り鶴のはね折り曲
げてとべない鳥をとべなくしたい

もう二度と会えないことが祈りだ
と教えてくれるな　亜麻色の春

文集が黄ばんでゆくたび過去に
見た鳥のなきごえがきれいになる

真夜中がこんなにもあかるいこと
を　星はどうしてなつかしいの

わたくしの身代わりとしてバス停
がずぶぬれを引き受けている朝

川べりを秘密基地にはできなくて
吸い殻ひとつ踏みつぶす夏

A4のノートにはさまる虫の死を
うすく知らせるひかりのにおい

夕映えが僕らを包む「嫌い」とは
「好き」からたぶん零れた言葉

君と初めて帰る春絶対に蒲公英だ
けは僕は踏まない

一ダースのピリオドで
私を止めてほしい

きみに手を差し出せば
その両手は
青空に向かって
吸い込まれていった

さ行の音で
雪は降り積もり
ら行の音で
雪は溶けてゆく

バラの花ばかり食べている人に
他の花のことを訊いてはならない

耐えかねて
教室から抜け
出た僕を
尻ポケットで
文庫が笑う

また今日も
死を避けるため
生を切り
売りして稼ぐ
時給千円

言葉を知らなければ
存在しなかったもの
充満した
窓を開け
別れ一つ置いていく

雑踏の
中には音は
一つもない
自分の匂い
だけするマスク

秒針の音の隙間に夜を聞く

生活を貫きながら
バラバラになっていくものを
みて
みているだけ

道の端で
はぐれてさびしそうに
丸まったハンカチを
拾って家に連れて帰る

耳のよう
八重紅梅の外側の
はなびらほんのり陽に
とびぬける

「光が重くて飛べない」と

拷問器具みたいな植物の棘を
やっぱり触りたい
触る午後

ジャングルに孤独はあるか
鉛筆の芯にも春が分かるだろうか

日中に
体いっぱい蓄えた
太陽の匂いの
犬を抱く夜

春雨の楽器のように家は鳴る

野球部の安藤が轢かれたのって
ラブホの駐車場やって
すごい大人やん安藤

誰もいないみたいな風が吹き
誰もがいるみたいな光がさす