さよならは春の領域
遠のいていく
drippingで彩られた町

コンビニのアイスが好きで走る

こんにちは、新居
変わらず日々を貪る

月光に開くピアノの翼

人は風に朽ちゆく
時々柘榴をかじって

春風に
乗ってハノンが
聞こえる日

友人とのおしゃべりが
ムクドリのおしゃべりに
完敗する

よく知る町の
知らない道を歩く

心療内科に来る度
患者の自分より
先生のことが心配になる

バス停の名前を覚えてゆく度に
あなたの街に
とける気がした

世界一周百万円
ねぇ行こ
早く行こ
飲まずに溜めてるその薬が
致死量に届く前に

よく電話していた声を思いだす
遠くの街の見知らぬバス停

永日の予算の少ないサメ映画

カイウサギ ティッシュ箱みたい
に眠る

こころから遠いところから放課後

桜降る　はなびらが降る
はなびらの速さに
逃げ切れなくて
はなびら

春の夜の
脱ぎっぱなしのスニーカー

西向きの部屋に光が差し込んだ
めちゃくちゃ泣いた
あとぐらい寝た

「お父さんの死に際に
会えなくていいのね」
残暑のような湿り気だった

結核の布団を干すや蔦の家

白浪の晴れてことばの日本海

エアコンから水があふれる　
ほんとおまえ感情うっすいよな
って台詞

噛み合わぬ母との会話、日曜日
急須の持ち手、微妙に小さい

電車の時間は追い追い決めよう
未練になるかもしれないし

端的に言えば春って愉快犯だよな
こんなに弾ませられて

オパールになりたいような冬の蜂

布張りの詩集毛羽立つ春隣

丁寧に軍手を干して海女の午後

春の海一人のための降車ボタン

嫁入りは鯨に呑まれゆくように

空よりも青いロボット夏休み

雪が雨みたいに降ってみたりして

日本に生まれて半ズボンを履く

もう、
笑わんくってもいいんかなって
わぁって泣いて
極端なんだよ光って

かなしみに似て
消えない
私の空

潮満ちて
不眠の魚の
夢を見る

割引の助六寿司でひなまつり

しろもものアイス隣で食べながら
受験の話をしないでください

不揃いの苺まとめて水洗い
来世はきっと美少女だろう

　コウカキョウの
　下の
　ポツリとした
　心だった。

　遠方からくる
　母の
　電車の音が
　聴こえる

今日の疲れを
雨音に
溶かして眠る

昼が青白く発光する
ビルヂングが受粉して曇っている

土の匂いのする夜に
電車の音を聴いている
たたん　ととん
瞼の裏で旅をする

こころは
深くて　昏い
慟哭は　静かに落ちていく

人をぶちまけたような東京駅

福島原発事故って言うなよ
勝手に区切りをつけるなよ

日常は日常のままで
明後日の朝に息子は
我が家を巣立つ

散歩から帰って
眠っている犬よ
明日の朝には
にいちゃんはいないぞ

漬け込んだ袋の中の鶏肉を
ねるんもろんとあやすのが好き

摩耗してもう白いだけの雲がある
声の四隅の薄暗いきみ

恐竜も星も寿命はみな違う
金継ぎのような鳴き声を聞く

踏み込まない
ことが親愛なのになぁ
アイスを時計回りに削る

たくさんの愛が
この世界にはあって
クッション売り場は
いつもカラフル

花は桜木朝餉が熱い

母に打つメールの文字が定まらず
友とテトラポット　サクラチル

少年の心は澄んでいるからね
割れば簡単にきらめくからね

ぼくたちは
落下しながら探してる
一番星になれる夜空を

これが恋ではない理由を滔々と
述べて急行二本見送る

春宵をおよぐ金魚の尾ひらひら
桜に洗われるように
恋して

ねむくない
ぐずぐずこども
よのなかの
ひとのひとりのさみしさをしる

青鷺の幽霊みたいなしろいくび

久しぶり　黒髪
おはよう　お母さん
頂きます　目玉焼き
頑張れ　私

信号がどこも青ではない三叉路

君に綺麗な十円玉をあげる

愛撫したくなる煙水晶の瞳

そこの悩めるお兄さん、
首吊り健康法オススメですよ！

ラムネのむ
神がよすがとなるように

こんなにも鯨つめたい春に居る

櫛を買うための五月の金曜日

ブランコ終え
不確かな地面に降りる

段ボールつぶした匂い春の夜

シーグラス打ちつけられていて
春星

蛇のようにやさしい
おまえの首筋が
海に絡むのをここからみてる

先生が世界の全ては詩なんだと
教えてくれたから目を開く

濡れたアスファルト
白い光が弾けた
うつむく人だけの花火よ
母が言う帰り道

土曜日の６時に起きてコンビニで
フィリックスガムひとつ買いたい

また僕が夢で死んだと母さんが
りんごの皮を剥きつつ話す

自殺する動機としては十分な
失恋をした日のスパゲッティ

寂しさを排水溝に流してく
身体ばかりが綺麗になってく

以下同文に秘めたあたしの三年間

抗うつ剤の白さ眠くて白鳥来

花曇り
幼い母の
写真のよう

バス停の名前を覚えてゆく度に
あなたの街に
とける気がした

セロトニンを直に飲み干せば
薄明

海の果てで
何もかもうさぎの形になる
野菜
になる空

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春の月

なつ雲のあたし点滅する信号機

消灯の時間かさぶたがめくれる

速達で届くさよなら夜半の春

元気です生きてましたか黄水仙

丁寧に軍手を干して海女の午後

春の海一人のための降車ボタン

空よりも青いロボット夏休み

不揃いの苺まとめて水洗い
来世はきっと美少女だろう

　コウカキョウの
　下の
　ポツリとした
　心だった。

土の匂いのする夜に
電車の音を聴いている
たたん　ととん
瞼の裏で旅をする

春の海指と指の隙間みている

日傘さし
たいようくんと
かくれんぼ

ハードルを全部倒して
駆け抜ける校庭

春はわたしのものだ

純白のシャワーサンダル
つまさきで触れたとこから
海がはじまる

秒針の意味をわすれて春が来る

こんなにも鯨つめたい春に居る

早朝の街にビルなく雪の果

段ボールつぶした匂い春の夜

シーグラス打ちつけられていて
春星

土曜日の６時に起きてコンビニで
フィリックスガムひとつ買いたい

寂しさを排水溝に流してく
身体ばかりが綺麗になってく

曇天の夜空に滲む街の死を
抱える前にこぼれてしまう

寂しさを埋め立てて咲く沈丁花

スケジュール　君の名前に二重線

僕たちの祈りが傷になる世界

月光に開くピアノの翼

コンビニは常に明るい敗戦日

人は風に朽ちゆく
時々柘榴をかじって

抗うつ剤の白さ眠くて白鳥来

おまえの鬱病治すためなら
何度でもサンバ踊るぜ

花曇り
幼い母の
写真のよう

　とは何か
わかるようなら
進めなくなる気もして

永日の予算の少ないサメ映画

夜の雲おいぬいてゆく夜の雲

ホームセンターを掃討してゆけば
やがて夜景の景に至れる

なんとなく死んでしまう気がした
食卓でレタスの模様が乾癬のよう

布張りの詩集毛羽立つ春隣

丁寧に軍手を干して海女の午後

筆跡は細くて斜め桜花の候

嫁入りは鯨に呑まれゆくように

迂回路を予告するナビ花朧

桜咲くたまたま花として群れて

Wi-Fiが無い店が
無い
しゃぼんだま

原爆の日の
爪を
切る
リマインド

一人でも
上手く歩けると
知っていて
誰かと生きる歪さは愛

そこに在るだけで
削れて消えるのに
それを愛と呼ぶ河の石

生産性と言う文字を掲げては
ドーナツの穴を溺れさせている

くつろいで
ほつれる眼差し
零れゆく光よ、
私をひらいてくれ。

まだ芽を出さない
植物を
くすぐっている
濡れた鼻先

騒がしい隣の人が帰郷して
どこか哀しい競馬中継

春色の目薬差して荒野行く

永遠への向き合い方を
覚えつつある三年目。

福島原発事故って言うなよ
勝手に区切りをつけるなよ

日常は日常のままで
明後日の朝に息子は
我が家を巣立つ

屋根裏に知らない桃を置いてみる
あなたにとって外側の恋

春の海指と指の隙間みている

ジーンズの
膝のしわしわを見たからだ
昨日の夢の波打ち際は

摩耗してもう白いだけの雲がある
声の四隅の薄暗いきみ

すり潰し光らない星に変えていく
今日言いたかった酷い言葉も

恐竜も星も寿命はみな違う
金継ぎのような鳴き声を聞く

どつどつと時計の針の音重く
まだ身軽がいい1DKで

人は優しさ
トマトは甘さ

桜しか咲かない国の奨学金

ストローを噛めば噛むほど花曇

白杖に触れる春.mp3

いとけなくかつて願った待ち人を
上書きせんと拍手を打つ

産土の神の選んだ彼の人は
カレーに胡椒振る人だった

ハードルを全部倒して
駆け抜ける校庭

春はわたしのものだ

ぼくたちは
落下しながら探してる
一番星になれる夜空を

声帯に跳ね返された言の葉が
青く蠢く右手の静脈

春宵をおよぐ金魚の尾ひらひら
桜に洗われるように
恋して

うるせーな
アヴェ・マリアで殴るぞ

わたしだって
トイレに花を飾るような女に
なりたくはなかった

こんなにも鯨つめたい春に居る

春眠の瞼かすかにふるえつつ

冬波にかえすあなたの貝ボタン

敬礼をしてよ等しく凍蝶へ

ブランコ終え
不確かな地面に降りる

刃渡り２１センチの承認欲求

僕は選ばれた人間
僕は選ばれた人間

先生が世界の全ては詩なんだと
教えてくれたから目を開く

もし離婚したら大好きなことだけ
　やろうその気で今日から生きる

味噌汁を作る行為がぼくにとり
始まりのゼロに戻る儀式

たれ流す知らない人の初音ミク
起きるつもりはなかった朝に

海底に触れる
始まりはいつもは微熱

名の無い芽が花開く様を見ている

斧を振るねばつく斧を振る

合鍵を渡しちらっと雪を見る

コンビニは常に明るい敗戦日

病床で
雨一粒を数えてる
暇

よく電話していた声を思いだす
遠くの街の見知らぬバス停

生きてれば知らない街の換金所

リリカルな電気よ、走れ！
地下鉄の超光速の猛省を見よ

国境があなたの中に引かれてて
さわれないけど白砂青松

どこにもない世界の
地図をつくりこむ
この中にならきみがいるかも

尾行という
しぐさのことを思いつつ
ない電柱を街に見出す

惑星にタロットカード置いてきて
百年後には神ばかりの都市

引っ越してゆくひとの箸遣い
わからなくていい毛布の縦横

照れ隠し、グラスの氷が
鼻の頭にキスする

春の海一人のための降車ボタン

雨音に瞬きをするスイートピー

いびつな音を響かせて、
肌をさらう列車
記憶を置き去りにして。

頬が陽に崩れて、
わたしこんな風に
わたしから離れてくんだな

春色の目薬差して荒野行く

　遠方からくる
　母の
　電車の音が
　聴こえる

生乾きの茶葉をすてる。
ポリ袋が身じろぎする。

土の匂いのする夜に
電車の音を聴いている
たたん　ととん
瞼の裏で旅をする

じっちゃんのおもかげおくり
からだはんぶんが新聞紙

あと湯呑み。

鼻をかむ、歯が痛くなる。
歯車が
体からはぐれてしまいたい

春の海指と指の隙間みている

でもわたし黒目も白目も光ってる
こんなにひどいありさまなのに

春の朝喪服売り場ですれ違う

春休み宗教施設に誘われる

八　語りうる花のそれぞれに
遺書を書くように名前をつけよ

君が来るその前の日の前の日の
その前の日のその前の日の

君はストーブを消す　けものから
音も無く遠ざかる慎重さで

穴を掘り人をのろあばのろあばと
口に出来ない呪いにかかる

ハードルを全部倒して
駆け抜ける校庭

春はわたしのものだ

純白のシャワーサンダル
つまさきで触れたとこから
海がはじまる

布団を敷く。毛布をかける。
死ぬ。

うしなわれましたと告げる海
一緒にさがそうと膝をついて
どこ

ラムネのむ
神がよすがとなるように

こんなにも鯨つめたい春に居る

また僕が夢で死んだと母さんが
りんごの皮を剥きつつ話す

寂しさを排水溝に流してく
身体ばかりが綺麗になってく

固結び
かつて激しい人がいた

姓を貰う　篝火なんて信じない

大学に鳩（鷹がまだ一五％）

斧を振るねばつく斧を振る

タンスよりもやわらかいからだで

段ボール
開ければ春の
五感一式

新しいヘッドホンの表面を撫でて
あの娘の砂丘から吹いてくる風

薄荷飴みたいな俯瞰を置いていく
たとえば運動会の砂場に

永日の予算の少ないサメ映画

あじさいに肺活量で負けている

あたたかい雨に紛れてした握手

春の風しらない人のそばにいる

国境があなたの中に引かれてて
さわれないけど白砂青松

白浪の晴れてことばの日本海

夢見るたぶん走馬灯選んでる

思うって言ってもよくて
寝た君にえんえん話し続ける回路

尾行という
しぐさのことを思いつつ
ない電柱を街に見出す

贔屓チームさえ勝てば
いいのさ花筏

春ともし君の名前をローマ字に

さくらんぼ実るのを待つ
鼻かんで、飛行機雲とそらへんじ

将来設計のそらがき
青の苛立ち増すばかり

嫁入りは鯨に呑まれゆくように

血が滲むビルの輪郭優しさで
緩んでそれが寂しい春先

不揃いの苺まとめて水洗い
来世はきっと美少女だろう

「おじさんね、
春から異動になるからね」

りんごジュースの柔らかい波

女のことばをごくごく飲んで
そのたおやかさに憧れている

昼が青白く発光する
ビルヂングが受粉して曇っている

目やにのむこうに
らくだ
大陸の砂のうえで
ふたこぶ

犬の粗相を拭きながら
いってらっしゃいという
水たまりは増えていく

プレーンのヨーグルト嚙む五十回
膨れなくていいのに破裂する

菌界を
グリップテープを
ラケットに掬われなかった十代を
剥がす

嘘ばかりついていられる平成が
きっとしばらくは続いてゆく

摩耗してもう白いだけの雲がある
声の四隅の薄暗いきみ

夕間暮れ春に合わせた装いが
混ざり合ってく街灯のシチュー

インスタント感情移入
春、おいで

桜しか咲かない国の奨学金

あんまりでかい声で梅を責めるな

ブランコの性差ないしは寒暖差

春風とはためくシャツと三日月と
ぼくら言えない「帰りたい」と

白木蓮
春の午後刻む秒針が
耳たぶかちこち叩いて響いて

日産のマーチ山に捨てるか
たしか今日は大安だったし

一点へあるくこと春の交差点

敬礼をしてよ等しく凍蝶へ

春の月イヤホンにも電気は通る

第六感が乱れた渡り鳥のように

三月の力学
流動体も逆らえない

一人と半分のペンフレンドたちへ

たんぽぽの綿毛を掬ふ春の朝
雑巾掛けはピクニックめく

やっぱりうしろを振り返ったけど
神さまの代わりに
変な犬がうなずいてくれた

甘酸っぱかったり
苦かったりしてるアレを知らずに
また冬が来た

憎しみで一人前になるポプラ

固結び
かつて激しい人がいた

減っていく石鹸が
つなぎとめる明日

窓際で呼ぶねこ来るねこ眠るひと

コンビニは常に明るい敗戦日

新しいヘッドホンの表面を撫でて
あの娘の砂丘から吹いてくる風

あじさいに肺活量で負けている

傷むのはキリンの記憶だけにして

地球の展開図をかいて
その中心にあなたを置いた

どうしても君に目がいく木瓜の花

なんとなく死んでしまう気がした
食卓でレタスの模様が乾癬のよう

僕の手は君と風景で繋がる
目を閉じてハグしないで
肌は孤独を浮き彫りにする

さくらんぼ実るのを待つ
鼻かんで、飛行機雲とそらへんじ

オパールになりたいような冬の蜂

春の海一人のための降車ボタン

雨音に瞬きをするスイートピー

桜咲くたまたま花として群れて

薬缶から
春が毎秒５リットル

春の口
チョコパイ食べたり
　　　　　歌つたり

あまりにもやさしく、
言葉が尽きてゆくから
あなたへたどり着かなかったの

「おじさんね、
春から異動になるからね」

りんごジュースの柔らかい波