卒業の海を何度も振り返る

花のかげみたいに
ふかい哀愁を
かかえて、恋をあきらめる　朝

ぽっぷこーんのあかるさは孤独

はるうらら
ひともさくらも散るときは
ひとり
あなたへぎゃっこうが射す

さんがつの眼は
濡れながら降りつづき
きみをおふぃーりあにしたかった

前職のクセで背びれが動いちゃう

きみと居る日々を八宝菜にする

輪唱を私用に使わないでくれ

芍薬の罪を着るのは僕だけがいい

ド・ドドンパ速すぎ、
超楽しかった
明日も惨めな自分が生きてる

夜更かしの鏡渚の匂いして

ぴよぴよぴよと横断歩道春休

夢のなかの
片翼の
彼女は時々
羽ばたきをした

三月は

卒業式もあの揺れた日も
雪が舞っていた
今も視界にちらつく

名前を持たない
労働力になり
最低賃金で
ひたすら野菜を
パックに詰める夜

好きな寿司を頼ませてくれる父は
わたしに失望しているそうだ

トランペットのかたちに
春の息を注ぐ

ヒトに春
スーツケースに花をつめる

数学が出来ない君と落ち合って
パフェを掬えば
海は快晴

卒業の日の自転車で降りる坂

美術館のように匂えば春の森

夜桜をひとりでみるなと伝言

本は持つ手を反射し照れている

首を少し絞めれば石鹸の香り

椎の実を炒ってもらった
幼児期は
カレーが夜を良いものにした

春からすれば郵便は
鳥そのもので
少年を包む
草木のように優しい

イヤイヤ期経て親指は空を知る

本当はシャンプーを流す時にだけ
今でも思い出すんだ、きみを

笑いころげる
ころころがりん
透明のからだ
ころころがりん
ころころがりん

自治体の指示に従い昨晩の
ガラスの靴は処分しました

銀色の色鉛筆で羽を描き
風の卵を温めている

白詰草の冠が置き去りの
スワンボートは春の棺だ

ずぶ濡れのキリンの夢を見た後は
目薬を弟に預ける

淡雪にかたつむり管ぴやぴやと

銀色ににじむ鱗を見て回る
とおい陸地でこんなに濡れて

駅前の野外ステージ春風と
やわらかすぎるエレキギターと

書き飽きた
美しいものを春の夜に
丸めて埋めて
うらにわの苔

私だけが見てたあの人革手袋
吊り革掴む
花粉と髪の毛絡まる春風

暖かさ外延すれば牡丹雪

夜になる理由のわからないままに
夢のみぎわに棲んでいる鹿

僕たちも
めちゃくちゃをしてきたじゃない
犬にお菓子の名前をつけて

三・一一おりづる瓶に詰められて

父さんのシャツの匂いの春の雲

息を止めて走った土手の遠くから
あっという間に夏が近づく

揚雲雀
第二ボタンは遠かった

焼く前の土器の色した肉片を
抱えて生きる　人間だから

職業はずっとまっすぐ立って焼く

春雨の犬の睡眠時間です

また同じアプリを開く春の草

疲れたら　
部屋いっぱいに　ラメを撒こ 
テクマコマヤコン　
これでいいのだ

にんじんの裏ごししつつ
更けていく
夜のすべてを子のためにして

学校　という場所がなければ、


　「また明日」
　　　なんて知らなかった。

菜種づゆ
花の代わりの水の玉
蕾のひらく　みらいを映せ

しゃぼん玉
春の狂気を詰め込んで

恵比寿に七時
ぜんぜん来ない
楽しみだったの
わたしだけ？

優等生のまま、
生き終えてしまった

戦争の話をする
君は美しい口の形で

折り込みのチラシ

束の間のふたり

駐車場ばかりが街にやって来る

すきだった人
に
わたしは退化して
きみは背びれものこさずに去る

長文で気持ちの悪い観覧車

耳がとつぜん
心臓みたいになるときの
小鳥がいったりきたりの伽藍

春風がふわりとつむじ見せてくる

ぴよぴよぴよと横断歩道春休

句読点なんてなかった
ふたりの心臓

夕陽ごとのみほせそうだわ
こんなにも乾いて、ひかる
たやすくひかる

死んだあと遠雷になる不確かに
恋をしていた日々の欠片は

木蓮の枝　冬のかぎかっこ閉じ

ＳＰＩ問題集にまみれゆく本棚
はるかな西陽のなかで

月面にかごめかごめの少女たち

檸檬切る
身体をコトバに書き換える

トランペットのかたちに
春の息を注ぐ

ふうせんを呼ぶとき
肺をからにする

じょせつしゃが
はるになったら
こないので
ねぼうしました
ままのせいです

今年度予算の雪が残ってる
とっかんとっかん雪が降ってる

美術館のように匂えば春の森

四首目と五首目にはさまる静寂へ
猫型ロボット来ていちごパフェを

首を少し絞めれば石鹸の香り

あかちゃんがやさしくにぎるての
ひらはようせいさんを
抱いてる証拠

そつぎょう、のことばがすこし
ふるえたら
もうほんとうに卒業なんだ

土曜日は電車が幽かに白い

見かけたら渡り廊下に会釈する

菜の海を泳ぐ蝶々に岸の指

内臓が鯨の声で鳴く
ぼくも海からはぐれた
しぶきの一つ

トトトトと
まな板の上に刻む春
キャベツのように
軽やかな死が、

いつからか
電車で泣くのがうまくなる
夜のアボカド街の体温

マカロン色の雨だけ瓶へ

春眠にキウイフルーツ
ぽっかりと

私には無関係だと思わせた
遠い消防車の放水

幸せにならないでよと箱庭で
紙のひこうき飛ばしています

死んだ私の
白いワンピースの
踊る姿みてる

もうどこも行けない
毛布の中でさえ
雨の波紋がくっきり分かる

三・一一おりづる瓶に詰められて

父さんのシャツの匂いの春の雲

保育器に太陽系が眠ってます

クーピーの白の長さで雨は降る
ホームルームの不審者情報

しゃぼん玉
あちらのお客様からです

ミラノ風ドリアを頼む風光る

白木蓮
別れの歌だけ聞いている

新宿という迷宮を知るたびに
心のなかで雪がまた鳴る

矢野さんのまるい背中に猫を見た

コーラ瓶
透かした先に焼死体

冬の朝「君と家族になりたい」
の言葉に「うん」と返す寝起き

数式が定規に透けて風薫る

春雨の犬の睡眠時間です

一礼をするようにして雨宿り

月丘の汚れに気付く
光るために
陰影を描き続けるデッサン

踊り場で真ん中に置く散文詩

すきだった人
に
わたしは退化して
きみは背びれものこさずに去る

前職のクセで背びれが動いちゃう

四季さえも
そのうちハラスメントになる
あの葉は夏でも秋でもないから

浪人が決まった朝の春一番

長文で気持ちの悪い観覧車

好きなもの
愛してみたりすることで、
人の形を保っているよ。

恋をして皮ごと食べてぴっかぴか

その踏切は
一度も閉まっていないから
どの出来事にも自信があった

窓広き特快
山はまだ笑わぬ

私の指は這う、貴方の
鎖骨からおとがいへ
しっとりと
包丁の水滴を拭うように

疾走感あふれる小説などを読み
足の踏み場をつくる毎日

弛緩して浮きやすくなる夏の水

仮面なら剥がす指矯め夜の梅

松脂(やに)臭い女系を磨く雛調
度

つくしんぼ抜いて
自己肯定感を移植

ぴよぴよぴよと横断歩道春休

あこがれを紐解いてゆく
ゆびさきに
乱反射するあの日の行方

小鹿の尾は白く
草の芽は短く
善悪は
便宜上の意味しか持たない

顔面で風受け止めて春休み

羽化ばかりしていて蛹のその先へ
行けないままで眠る黄昏

好きな人を
思い出すように
ずっと朝日を
みていた

木蓮の枝　冬のかぎかっこ閉じ

バーコードのない料理本春うらら

ＡＩが
主語をぶんどる瞬間を
法律として在る擬人法

トランペットのかたちに
春の息を注ぐ

結ばれるために
何度も何度もすれ違った
一本の靴ひも

元彼と元彼が殴り合う夢で
拳はにゅうめんのやわらかさ

喋るように歌ってみたいし
その逆も、


まだ何も諦めてない夜

四首目と五首目にはさまる静寂へ
猫型ロボット来ていちごパフェを

駅で、電車で、
コンパイルエラーを吐く人
社会は正しすぎる

実は間違えてもいい

日付変更線跨ぎ島の子が
明日の魚を持って戻った

春の雨新幹線を撫でてゆく
必死に泳ぐ精子のように

院長がとにかくきつい
隣人もとにかくきつい
帰路のそば屋の日本がいい

悪友
のような気概が足りなくて
花を渡せずに逝った人たち

神経のもつれに花火があって啼く

赤ちゃんに
呼ばれてるよと
居候

坂道を駆け降りてゆく毛先から
歌声までを春風と呼ぶ

耳たぶの穴は塞がる跡ひとつ
残さず雪が雨に変われば

瓶詰めの白い海などかけられて
卵はさみしい体になって

焼きたてを６分待って連れ帰る
バゲット春にマーキングする

happyを
筆記体じゃあ書けなくて
書く必要も無いのに暮らす

冷静で鈍いフリック
「泣いた」に追加

空は青い
空は深い
空は清い
だから疎い

あどけない春
ようこそ
我が家へ

てのひらに死んだ金魚を掬い上げ
濡れたフリルをやさしく撫でた

暖かさ外延すれば牡丹雪

電柱の傾いている街だから
忘れるためには時間じゃなくて

夕焼けに
さわったことはありますか
不思議と熱くないそうですよ

三・一一おりづる瓶に詰められて

お客さま、恐れ入ります
読点は　こわかったよね
m(._.)m

手のひらを陽で温める
幻の鳥の卵は孵せるほどに

身体ごとつかまり立ちに貸し長閑

逃げ水の逃げ切ったという体験談

これからも
寄り添えないけど反りは合う
君も縦糸
僕も縦糸

毒素あり
なると誓ったソラニンに

天満宮
春風を斬る蜘蛛の糸

春の月金網に傘引っかかる

目覚めてもまだ風船は天井に

疲れたら　
部屋いっぱいに　ラメを撒こ 
テクマコマヤコン　
これでいいのだ

ふらここは私を乗り捨てて揺れる

青い蝶。
君は私を魅了する。
瑠璃唐草と青空。
私は君を番にする。

分かり合えない靴底の桜花

無人の扉を叩き続けるように
雨は降る
望まぬ理解を突きつけて

火は燃える
あなたのことばを種にして
（きれいな頬をあかるくみせた）

聖書にはない
昏がりをだいている
ろうときょうから　淡墨のいき

ちゃん付けで呼ばれてからは北枕

青空を不規則に切る電線は
ケーキの切れない非行少年たち

長文で気持ちの悪い観覧車

どの予感も的中しない本能の
よくないところ・よいところ

言葉が分かることがくるしい
深夜には生みたい庭に
バーバパパとか

ド・ドドンパ速すぎ、
超楽しかった
明日も惨めな自分が生きてる

銀河には序列がなくて僕以外
等しく光る、寂しく光る。

ぴよぴよぴよと横断歩道春休

恥じらいもかわいいでしょう　
撫でて　雪

死んだあと遠雷になる不確かに
恋をしていた日々の欠片は

木蓮の枝　冬のかぎかっこ閉じ

３年で最大級の大雨よ
降れ、この別れを嘘にするため

流刑地に百千の「る」の閉じた口

ＡＩが
主語をぶんどる瞬間を
法律として在る擬人法

節というからだの捉え方だから
眠くなったら闇だと思う

初蛙
　アイデンティティ
　アイデンティティ

今年度予算の雪が残ってる
とっかんとっかん雪が降ってる

ひとよりも
りっぱになれば
ひとよりも
りっぱではない
ひとたちのなか

私もあなたも陽光の力で
目視できた
我々はそんな関係

人々が愛おしくなっても
ボク、一人　そっぽを向いた。
スープがあったから

少しだけさしこむ光で生きていく
卵のなかのてんてんになる

春の雨新幹線を撫でてゆく
必死に泳ぐ精子のように

夕立がくると知りつつ会いに行く
正しさと孤独って似ていた

注釈のいらない過去を話すとき
ふたりの間にあるながい川

強がっては目からこぼれる花と星

内臓が鯨の声で鳴く
ぼくも海からはぐれた
しぶきの一つ

自治体の指示に従い昨晩の
ガラスの靴は処分しました

生臭い手で目覚ましを切る君の
粘着テープだらけの身体

きみがわるい
鬼灯色の夕暮れに
刷り込まれた美醜

目覚ましの要らない朝の底にいて
オーイと深海から叫んだ

淡雪にかたつむり管ぴやぴやと

銀色ににじむ鱗を見て回る
とおい陸地でこんなに濡れて

さらさらと持たざる者を試す雨

夕焼けに
さわったことはありますか
不思議と熱くないそうですよ

みんなひとりなんだと気づく
きらきらの
ビアガーデンを眺めてるとき

金平糖しゃりり朧に嘘放ち

逃げ水の逃げ切ったという体験談

青い鷺　流刑以外の選択肢

目覚めてもまだ風船は天井に

駅　鳥居　社を一息に燕

ところてんのように連なる桜
救急搬送してるみたいな花見準備

にんじんの裏ごししつつ
更けていく
夜のすべてを子のためにして

強風に吹かれて
口まで運ばれた雲を
噛んだら溢れ出る雨粒

生きてきた月日まるごと愛でる櫛

タカシの鼻のごときバナナの
皮を剥く
ごときバナナの筋ばかり取る

一礼をするようにして雨宿り

月丘の汚れに気付く
光るために
陰影を描き続けるデッサン

スクロールすればするほど猫と家

すきだった人
に
わたしは退化して
きみは背びれものこさずに去る

トンネルを抜けたら
海が光ってて
そういうテンプレだけど泣いてた

長文で気持ちの悪い観覧車

愛くるしいその顔いま暖房が点く

その踏切は
一度も閉まっていないから
どの出来事にも自信があった

耳がとつぜん
心臓みたいになるときの
小鳥がいったりきたりの伽藍

愛し尽くせない、春へ
瞳のパラシュート

夢でしか
逢えないあなたも
マグカップと
数学的に同じらしい

節というからだの捉え方だから
眠くなったら闇だと思う

丸写ししたっていいよ。
そうやって、
殖えてきたから淋しいんでしょ？

充分と
言われるまでは
帰れないことになってる
三月の雪

オーブンにきみの住民票を敷く

春満月の近くを飛行機が通り
君たちは着陸しなかった

少しだけさしこむ光で生きていく
卵のなかのてんてんになる

日付変更線跨ぎ島の子が
明日の魚を持って戻った

院長がとにかくきつい
隣人もとにかくきつい
帰路のそば屋の日本がいい

手鏡に制御できない犬連れの
家族がいれば尻尾が欲しい

瓶詰めの白い海などかけられて
卵はさみしい体になって

注釈のいらない過去を話すとき
ふたりの間にあるながい川

揃わない母音を春へ撃ち落とし
夜空を分かつ電線を見る

チューリップの花びらが
全部落ちた感じの
私のエッ？

蛍光灯
爪に詰まった君の肌色

挨拶のできないパンジー
すれ違う

私には無関係だと思わせた
遠い消防車の放水

いなくなる人いない人たった今
載せたジェンガに早く触れたい

夜になる理由のわからないままに
夢のみぎわに棲んでいる鹿

電柱の傾いている街だから
忘れるためには時間じゃなくて

僕たちも
めちゃくちゃをしてきたじゃない
犬にお菓子の名前をつけて

マクドからサイゼになって
しゃぶ葉になった
あんたは学生になる

炎色反応作る理科室
老人のまぶたの様に厚いカーテン

クーピーの白の長さで雨は降る
ホームルームの不審者情報

恐竜のうろこみたいな肌荒れに
海を集めて与えてあげた

山下は
落ちる。落ちない。
花占いみたいに
参考書を破って

マクドナルドの空の壁紙水温む

冬に桜が咲けばいいのに
君は、路線バスみたいに
行ってしまう

皮を
一枚剥いで
四月

自転車が過ぎる街そのものが墓

紫陽花が孕む



正しさがはみ出している

花のかげみたいに
ふかい哀愁を
かかえて、恋をあきらめる　朝

ちゃん付けで呼ばれてからは北枕

キスだけで、
身籠り合える国へ行こう
つけたい名前が沢山あるから

長文で気持ちの悪い観覧車

夜となく昼となく目が揺れている

君子蘭君の煙草の香がいいの

春の水ドビュッシー忌に櫂を差す
　　　　　　
(1918年3月25日没)

夜更かしの鏡渚の匂いして

恥じらいもかわいいでしょう　
撫でて　雪

句読点なんてなかった
ふたりの心臓

顔面で風受け止めて春休み

たまねぎのように
ぺり　ぺり　ぺり　ぺり　と
剥かれる春は三月でした

流刑地に百千の「る」の閉じた口

トランペットのかたちに
春の息を注ぐ

君が笑う声が好き　
そこに立っててよ
観光名所になってみせてよ

愛してた男と相槌重なって
ウルトラ・ハッピー・
アイスクリーム！

首を少し絞めれば石鹸の香り

春の雨新幹線を撫でてゆく
必死に泳ぐ精子のように

神経のもつれに花火があって啼く

銃口のような瞳で見つめられ
恋はひとつの死だと悟った

笑いころげる
ころころがりん
透明のからだ
ころころがりん
ころころがりん

熱燗でなぜ羊水を懐かしむ