春の雨は感情の受け皿
叩かれて
円やかになってゆく
石たち

雨粒が大地を抉る
その程度の強さで
悲しみを定義するな

濁流　全員の中にあなたがいる

夜が来てフライ返しは自惚れる

夏になる　犬も葬儀に連れて行く

いつか行きたい
場所の名を書き連ね
あの子は先に逝ってしまった。

歯磨き粉チューブやわらか春の闇

都会の入学式
見つけた
つくしだらけの中庭
いい学校に
きたかも。

そうなんだ
そうなんだ
って言う
無関心

朝の空には
物語がある

ひぐらしの
ように転がる缶の音
今の季節を確かめる朝

閉めとけや
開けておけや　
春の窓

「親友」で片付く程度の友だった

虚数解みたいな
愛　を示し合い
君とつついたフォンダンショコラ

草原の独りをなぜ造ろうとする

学童に階段で抜きかえされる

豚ばらにしろごまをふる以前以後

ここで壊されて茂みに捨てられた
パイロンが夜通し冷えている

愛されているのに翼が生えている

日曜日の孤独は特に刺さるから
血の色みたいなカレンダーの赤

正解を選べなくてもいい頃の
１７時の公園、サッカーボール

検尿容器の忘れられた昼

月光のように
ちいさくひかる骨だった

好きな食べ物は
福神漬けの甥っ子
天国のパパにそっくりだ

湯冷めして足下の小さな惑星

無音という静な電子の漣を
いっしょにきこう、多肉植物

宇宙から冷凍便で詩集来る

シクラメン現は夢に遡る

どういう意味、って
説明しきれてたまるかよ
だから詩にしてんのに

身を守るための痛覚冬薔薇

待ち人は手を振る花吹雪が邪魔

鈴の音を鳴らす誰かと花の酔い

鈴の音のように走れるランドセル

スクロール途中の雪崩注意報

「卒業」と同じ抑揚「東京」も

たんぽぽと
ブラックホールの音を聴く

To息子
From群馬
の
キャベツなど

性愛の炎（ほむら）の走る
野焼きです

王子から蛙になって日永です

暮れ遅く阿修羅の影を踏んでます

夢殿の夢を濡らして花の雨

耳朶の産毛のように石鹸玉

連絡通路の壁が真っ白春の風邪

そうじゃない、ほうの
世界に行きたくて
小さなかかとを放りだす夜

桜の花びらが散り
蕊の臙脂が覗き始める
白髪交じりの
髪を梳かす

A Lot of 
contact
lense
in the Ziplock

図書館の影を踏んでるピアニスト

貧弱なひとと思われない為に
強い化粧で病院へ行く

曇天の第二志望の校庭で
桜が散っても君は泣かない

都会から来た子が一人飲んでいる
遠くの山のそらいろの水

もし急に死んだら
ルンバを引き取って
わたしの分まで愛してください

あの人は別れの風を知っていて
突然花をくれたりもする

ただ眠りたいと帰り着けば
猫もまたただ愛されたいと
ささやかに寄り添う

背伸びしてスタバで
辛うじて桜

手に届く幸せがいい
あくまでも
春が続いているのであれば

春巻きが重く感じるほど自由

ぼんやりとスペアリブが
コーラで煮えていく日、
くもり。

台所の窓
外は快晴
中は湯気
お弁当箱は棚のなか

蛇口をひねる
イメージをして飲む
水のゆうれい
夢のゆうれい

一生分話した後のブランコで
あなたが歌いだす春の歌

今日のことは忘れてしまえ長靴が
ぽくりぽくりと諭すやさしさ

こどもらが
乗り去った銀のブランコが
わぁん、わぁん、と揺れて春雷

花冷のとなりの見える小便器

忠犬のように
「伏せ」して
「待て」してた
ペアマグカップ優しく撫でる

なきごえを訳出しない人工知能

山下に貸した三千円
全部募金に使われたらしいよ

あ、朝レンジに入れた
カフェオレ温めっぱなしだった、
生きなきゃ。

性欲と食欲は同居しないって
ばあちゃんが言ってた

街を愛すると
なぜだか自分まで
愛せるようになる
存在が許されていると感じる

恋は夜に咲くダリア

歯車は安寧の象徴である。
ただし、減価償却はなしとする。

冴返るティーカップに爪あたる音

姿見に安い香水のわたし

衿の皺ずっとのばさずにいる
春宵ね

白木槿
電波も見えそうな朝ね

桜咲くここで死ぬかもしれない
街

雨の匂いの楕円軌道

虫の死骸も新生活

春一番
サンドウィッチを作ったから

プルタブですら起き上がること

含み笑いの適量

押し付ける母を嫌って家を出て
駅前にある手芸教室

ぼくという水を濁らせないように
ひたすら書いて浄化する朝

ぼくらは風が強い日に集まって
黙ってそれを見つめ続けた

鼻を鋭敏にせよ、
清潔な風は
青い朝顔の
冷たい匂いがするでしょう。

言葉と一緒に
今日の午前は
引きこもる

悲しみよ悲しみよ、
水晶のような悲しみよ、
砕け散ってはくれないか

崩れやすい
砂糖菓子みたいな心なんて
最初から無ければよかったんだ。

花粉から始まる恋もあるんだと
君が常備するポケットティッシュ

秋刀魚の骨をまっすぐ残す人の
シンカーみたいな箸の持ち方

生きるため子宮を取った母さんが
落ちた椿をずっと見ていた

私より上手に社会の荒波に
溺れることなく溶けゆくわたあめ

どこまでも続いてしまう空だった

市役所にバレないように踊り出す

ピアノが止む観覧車を降りる

レシートには
夏の予定が詰まっている

木耳が落語していてほんとです

豚ばらにしろごまをふる以前以後

霧雨が
ある日の君に光沢を
もたらしていて神様だった

検尿容器の忘れられた昼

寝袋から見ている流星群

月光のように
ちいさくひかる骨だった

体重がなくなっちゃって
音楽がきこえてきます
行けたら行くね

夏めいて光合成の化学式

万華鏡よりは顕微鏡だったかな
はみ出すくらいに君だったんだ

箒ではかれてゆくところ
見つめていた放課後

眼裏の海が香った
二年目の夏

あきらめた陽射しの中で転がった
鈴はどこかで風になります。

プレアデス星団
僕は宅浪生

怖いゆめのなかで君に逢いました
ケーキを崩してからくれました

遠くに行っ
てしまった
詩にもキャ
ンディをあ
げよう

大きな水の本当のドラゴン
名前を付けてもらえなくて
毎日泣いている

菜の花の続く踏切出勤日

かくれんぼ
たいようくんが
くものおく

あ、朝レンジに入れた
カフェオレ温めっぱなしだった、
生きなきゃ。

ピアノピアノ
黒いピアノに春が来る

血液を抜く身体から少しずつ
夜が減ってくような気がする

リーマンの僕昼休みに抜け出して
６０分の短歌の時間

しゅうせん、
と呟いてぶらんこに立つ

点Pの速度についてけなかった妹
と道草をしている

雨粒が大地を抉る
その程度の強さで
悲しみを定義するな

全員で音読しても国は国

市役所にバレないように踊り出す

「親友」で片付く程度の友だった

五月雨の暗やみにおそわる愛撫

豚ばらにしろごまをふる以前以後

そちらからこちらへ迫る海の底

万国旗だらけの部屋に通される

わたくしが木魚であれば埒は明く

ラブソングを作詞作曲するＡＩ
愛（ＡＩ）の奇遇に冷笑

湯冷めして足下の小さな惑星

水死体したいあなたと抱き合って
床に眠れば朝滅びゆく

でたらめな文脈のあと
ぼくのこと抱きしめたでしょ　
それが蝕です

小言ならあとにしてくれ浅蜊汁

晩春に動物園を飛ぶ鴉

それはとてもすてきな帯刀
パラソルを
小脇に抱え歩く砂浜

待ち人は手を振る花吹雪が邪魔

鈴の音を鳴らす誰かと花の酔い

屋台主犬歯するどく目刺焼く

「卒業」と同じ抑揚「東京」も

過去形で鬱を笑って毛虫焼く

菊を
踏んでしまって
一歩目が

遠い

ゼリーゼリー
カレーのままのスプーンで

遍在スル黝（クロ）キ記憶ヨ
蝌蚪ノ群

アスペルガーの森に迷えば義経忌

(文治５年４月３０日没)

錆びてゆく春、
鍵穴を移ろう記憶。

充てがわれた傷みと眠る暮らしよ

桜の花びらが散り
蕊の臙脂が覗き始める
白髪交じりの
髪を梳かす

怖いゆめのなかで君に逢いました
ケーキを崩してからくれました

選挙カー運転すれば
ふりふりと首振る鳩を
みて嫌になる

おにぎりやおかずを
フリージングして
クールに送る
暑苦しい親

蛇口をひねる
イメージをして飲む
水のゆうれい
夢のゆうれい

反り腰の日本列島ちょっとだけ
腹突き破る関東地方

花冷のとなりの見える小便器

なきごえを訳出しない人工知能

対等の関係だけがいいなんて
嘘つかないで　夜はねむって

次にこの
ヒヨコになれなかったやつを
フライパンに入れます

私の背がほんの少し高ければ、
君を吊るす縄を外せたのに

桜咲くここで死ぬかもしれない
街

麦茶飲む
チェキが写真を吐くあいだ

影の方へと移ろう光

理由づけが先に来る歩みの遅さ

全ては連結部を撃て

朝の道薙刀担ぎ君がゆく
ショートの君が威風堂々

雨の日に言葉の森に寛げば
時は解けて音を失う

犬が好き 
生まれ変わるなら
電柱がいいと思うくらいには好き

花粉から始まる恋もあるんだと
君が常備するポケットティッシュ

赤ちゃんのころの
写真を見せたがる
祝日が月曜を覆っていく

咲くなといわれた
草を
私は知ってる

生は撓む　植物の名を読み飛ばす

地図に落とすたびに唸ってくる獣

動く物　隠されてなお明るい場

気に入った靴も私を傷つける

さくらばな散るいま僕が愛おしい

草原の独りをなぜ造ろうとする

五月雨の暗やみにおそわる愛撫

かろうじて未練が雀の背にひかる

必修のパトスをろばに拐われる

脱法のトランポリンと聞いている

例文の末尾かニラを捌くのは

わたくしが木魚であれば埒は明く

公安の監視下にあるほたるいか

親の仇ほどにあたたかいあんかけ

人参を
空に放れば
爆発音

奪われて灯籠になる　
いれものが
何であってもわたしだからさ

鈴の音を鳴らす誰かと花の酔い

春の血に
轉回（のたう）つ雌蕊雄蕊です

連絡通路の壁が真っ白春の風邪

錆びてゆく春、
鍵穴を移ろう記憶。

きみを
滞りなく祝えたら
海を向こうへ押しやって咲く

春を漕ぐ半透明のポリ袋
散らかる光を頬張っている

合わない靴を履いて
会いたくない人に会って
空がゆっくり傾いてゆく

桜の花びらが散り
蕊の臙脂が覗き始める
白髪交じりの
髪を梳かす

あきらめた陽射しの中で転がった
鈴はどこかで風になります。

星団か或いは墓場のようでいて
時に深夜の風呂は優しい

十八で
お前を殺して俺も死ぬ
愛の終わりに電車のブレーキ

歌声の中を死が飛ぶ蛾のような真
実の規則を持った死が

蛇口をひねる
イメージをして飲む
水のゆうれい
夢のゆうれい

白い、大きい、重たい犬の中に
入っていこう
時間を切り開いたら
真っ暗なんだ

洋服を着たまま
シャワー浴びてみる
叫びが沈殿していくんだよ

ライターの火が点かないで戦える
すべての闇が暗闇である

ゆびも指。指にそなわる自由度の
じゆうのかずもかぞえたいゆび。

デイモンの左胸には
デイモンのバッジ
あなたも悪魔なんだよ

傷つける言葉の通りに傷つけて
雨のぬるさに今、驚いた

沈黙の並ぶどこかで狂犬が
吠え続けている地下駐車場

ドーナツを食べたら
胸がつめたくて
れっとうかん、と呟く真昼

ともびかり
なんて言葉はないらしい
でもこんなにも
ともびかりしてる

海からの風はやさしい衝撃波
どこまでが傷　どこからが糧

花冷のとなりの見える小便器

口を開けたまま寝ないで
ラの音が漏れたら
宇宙に気付かれるから

春、満ちて
宵も温んだ
さようなら
裸足の爪を
撫でる幽霊

死んでいる虫を拾う
私の方がよっぽど
死んでいるのに

冴返るティーカップに爪あたる音

ピアノピアノ
黒いピアノに春が来る

姿見に安い香水のわたし

金魚売り水をみつめて夜が明ける

１時間休みを使い来た花屋
流れる日々に読点を打つ

好きですと言われてぼくも好き
かもと自他の区別が曖昧だから

おやすみと告げて始まる夢がある
心に大きな木を育てる

ぼくという水を濁らせないように
ひたすら書いて浄化する朝

赤ちゃんのころの
写真を見せたがる
祝日が月曜を覆っていく

濁流　全員の中にあなたがいる

全員で音読しても国は国

汗だくになってラングドシャ屠る

夏になる　犬も葬儀に連れて行く

動く物　隠されてなお明るい場

アイライン長し白鳥眠るに似て

草原の独りをなぜ造ろうとする

木耳が落語していてほんとです

つかわない手袋を編みあっていた
二月の味噌をいま空にする

わたくしが木魚であれば埒は明く

四月も死ぬから
トランプタワー用のトランプ

花ことば都度考える仕事かな

侵略者みたいな月をどやしてる　
進めないなら名前が欲しい

水死体したいあなたと抱き合って
床に眠れば朝滅びゆく

荒海もすすぐ機能を持っている
だから彼らは外出をした

ガラスには花を挿せよと　
あなたなら
どこにいたってこの世を犯せる

小説のミステリアスな開き方　
首都高の後部座席の傾ぎ

きっとどこかで
こころは蹲っていて
西日暮里に連作を置く

叱られる最中見える雲みたく
無責任に歩く春の午後です

体重がなくなっちゃって
音楽がきこえてきます
行けたら行くね

それはとてもすてきな帯刀
パラソルを
小脇に抱え歩く砂浜

菊を
踏んでしまって
一歩目が

遠い

「沼」と言う
言葉で語れる春なのか？

春の血に
轉回（のたう）つ雌蕊雄蕊です

寄り道のカレーの話
明日からお世話になりません
また明日

連絡通路の壁が真っ白春の風邪

ランダムに光るかなしみ
営みを、葬るなかれ
葬るなかれ。

そうじゃない、ほうの
世界に行きたくて
小さなかかとを放りだす夜

厄介な祈りを喰らって、
私の晴れ間と
どこへ行こうか。

桜の花びらが散り
蕊の臙脂が覗き始める
白髪交じりの
髪を梳かす

真新しい糊のにおいがするつむじ

今はまだ永遠だからプリクラに
落書きしなくてもいいんだね

特売の明太子みてカゴに入れ
そうだアイツは家を出たんだ

光を受けてから
脳が処理をするまでに
繰り返される
荘厳なお辞儀

白い、大きい、重たい犬の中に
入っていこう
時間を切り開いたら
真っ暗なんだ

気球を見に行く朝の
キンとした頬
わたしは人が殖えることが
うれしい

切り分けられていく
ホットケーキの谷を
吹き抜ける
氷柱のような語気

水没の書架

遠くから聞こえたら
それが救急車だとわかった

のりしろは命令なんだと思ってた
だから背いたこともなかった

少しずつ狭まっていくこの街の
余白に小さくサインを残す

哺乳類ここにもいます
研ぎ汁は米より出て米より白い

エイプリルフール私と最高裁

朧朧作者の気持ちを祈りなさい

咳は鉄の味がした　俺は
ドクターペッパーと北へ急いだ

「ロン」「ポン」と
夜明けまで鳴く我が腹に
君が忘れた人質は居る

くたくたのおうどんすする
くちびるに
とーとろじーをみつけてみせて

水面を揺れる光に酔いながら
犬かきでしか進めない街

春、満ちて
宵も温んだ
さようなら
裸足の爪を
撫でる幽霊

夏服をぜんぶゆらして大都会

夏が来て星に価値ある星に住む

応援していたいです（？）

ハサミがないときのライターより

点滅のリズムに合わせて瞬きを
すればまだまだ緑の信号

踏切の音が電車の中にまで
届いたらしい、ふあんになった

握っていた拳
ひらかれる白木蓮
それでもわたし、戦士でいたい

悪い子になりな　死ぬまで右は右

帰ったら動物がいる豪雨以後

気に入った靴も私を傷つける

桃に爪すこし食い込ませる鬱病

アイライン長し白鳥眠るに似て

たんぽぽの
となりもたんぽぽ
ぽぽぽぽぽ

地図にない
満開菜の花
見つけた日