あざらしの手つきで拍手する
きみのしゅくふくは
純白のこもれび

去る君のパンティライン藤の花

紫の色声になりすみれ強迫症

ぶらんこを漕いでは付け足すデス
ノート

あの山の瘡蓋は何だ
と聞くと
それを桜と呼ぶのだという

育児家事時短勤務後育児家事

溶けそうに重たく雪柳の白

たとえば
たとえばたとえば
匙を落とした
痺れる手

その橋をわたりきれない声たちが
光るぶんまで手をふりたいよ

たくさんの国旗をはきだすように
してマジシャンはせせりを食べて
いる

遠足の日に足音を忘れる

遠目からお母さんに見える人
だんだん夢から覚める
夜桜

話せば長くなる胴体部

越境を終えた翼のようにして
青い器におくカトラリー

流れのまま
ずうっとあなたが好きです、
と伝えて揺れの収まる
鞦韆

犬ふぐりスコーン焼けば誰かくる

今さら淋しくて桜に甘えに行く

花冷えに私服で踊るバレリーナ

四畳半愛しき人の点てる音

赤いまま
敏感なまま
古いまま
気高いままで
火災報知器

お祭りの屋台を解体するように
眠った　むらさきいろの手招き

みんな海から這い上がっては
やがて死す
ドレッサーからまばらな光

越境を終えた翼のようにして
青い器におくカトラリー