大人ぶる十三歳みたいな金柑

あと一歩って
自分の歩幅も知らないくせに

一つの命が星になった
だのに
地球は我関せずで
いつものように
回っていく

なで肩に生まれて月になる話

生き返ったら
知らない奴が
友人代表で泣いてた
知らない奴が

遺書なんか
片手だけで十分でした
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だん
　だん
　　だん
と、階段を降りれば海
掠れた防災無線

僕のために狂った時計
ずっと４時

激流に流されて
ここ、どこですか？

難しい事いっている

菜の花畑かきわける

壁壁壁壁壁壁床
檻　　　　　床
檻　頭胴正座床
檻　頭抱腕　床
壁壁壁壁壁壁床

一年じゅう咲いている
花などない。

　　　　　　　　多分

言葉を落としてしまい
交番に駆け込んでみても
言葉がないから
伝わらない

グレーって言えばオシャレ
灰色なら　ぬりかべ
ねずみ色なら　ネズミ男

キラキラの
目をしたイカが
久しぶり
連れて帰って
塩辛にするのよ

日常はいともたやすく
破られる
ドリフのコントの
壁ぐらい簡単に

葬式で疲れた陰膳
ペヤングの焼きそば供えた
姑が好き

夢の中何度も殺したきみと会える

ぼむぼゆるるるるー　串団子

絶対なんて絶対ないというひと
否定を否定するひと
私は
どうやって生きよう

嫌われたくない
と
思いたくない

そういえば私から手を離したね
ゆうらりゆらり　ただよう小舟

周回遅れの未来で待ってる

選べなかった未来を想う
包丁でカブを切る刹那

ほじる鼻もなく

戦死

傷つけられて
傷つける
なんかのはへん

ほっとくと鳥になっている子供

頭蓋骨が
あまりに怖くて
ずがいこつ
って書きました

はげちょろけの
ちょろけに
わびさびの心があると思うの

知らんけど

火星と木星と土星の話を
彼がしてくれた
どこも過酷そうで
やっぱ私
地球がいい

君が視た風景なら
僕も視たよ
確かに荒地だった
でも耕せると
思いたかったんだ

月の眼で俯瞰する

おっちゃん、そこな
空いてんちゃうねん
ソーシャルディスタンスやねん

世界同時多発的に
ハンモックに包まれて
同じ空を見上げよう

リモコンの
詩のボタンが
どっかいっちゃって
ソファの下とか
探してみたけど

たちまち角のむこうへ消えた
とても大事な用があるらしい猫

読まずに食べる手紙は禁断の味
とヤギがいう

カレーの夕暮れ　口笛と黒猫

考えるだけじゃ繋がれない葦

わたしが擦り傷を作ると
もったいない、と彼は言う
お茶碗が
欠けたみたいに

自分の連続性は
記憶が担う
記憶も記録もない私は
どこからも続かない

ミミズだって
オケラだって
見たことない人
増えてきた

こいのぼり
２メートルの
距離をとり

「まるでうなぎの寝床だな」
のたとえが
てんでイメージできない

世界をかけめぐる
って

古い価値観なのかも

「かき氷ください、
スプーンはふたつ」

好きの反対が無関心だったら
嫌いの反対は
誕生日ケーキとかかな

大人ぶる十三歳みたいな金柑

心に穴があいたのに
通り抜ける風は
悲しいくらい
すがすがしい

なで肩に生まれて月になる話

誰かの何かに
なりたいわけじゃないです
と
言い聞かせながら流すシャンプー

ていねいに印刷された夜の音

さきほどの嘘は定形外でして

せかされる予感がしつつ
舌先でイクラを潰す
これ、海だっけ？

だん
　だん
　　だん
と、階段を降りれば海
掠れた防災無線

もういない人の眉毛の長さなど
定規で測ってみる五月

目をつむれば
多分もうすぐ
五月です

落雷にあわせてパフェを崩してく

ピーマンの空洞だけが頼りです

僕のために狂った時計
ずっと４時

このまんま忘れてしまう
父の姿を

祈らずに遠吠えで済ます

眠る石と思っていただいて
かまいません

公園の遊具が消えて夏が来る

つぎつぎと死ぬ金魚鉢洗う夜は

難しい事いっている

菜の花畑かきわける

暑い
とかげが青い

火葬するように送られて
ＭＲＩ

我が弟のお下がりを着こなす息子
うっかり誰だかわからなくなる

核は地名を
カタカナに変える

夢の中何度も殺したきみと会える

ブロッコリー食べるたび
私のことを
忘れようとしてね

無知から生まれる恐怖。
そんなものに怯えるなら
明日のご飯を考えなさい。

迎合迎合がぎぐげご

わたしはわたしを殺しはしない

誰にも会わない日に
目を閉じて歯を磨く
口中の、ブラシとの境
微かに私はいる

水田を泳ぐ合鴨たちよ

ひと夏の命にするのは私です

榎本は牡蠣食う
腹を下しても食う

くらい目が少しかがやく

なにを注文したか覚えてないけど
なんであの席にしたかは覚えてる

あなたがいなければ
正しい夏がきます

馬鈴薯でぶたれて春の夜の長さ

ぼむぼゆるるるるー　串団子

そういえば私から手を離したね
ゆうらりゆらり　ただよう小舟

こどもの泥玉砕いて夕飯

選べなかった未来を想う
包丁でカブを切る刹那

傷つけられて
傷つける
なんかのはへん

ほっとくと鳥になっている子供

頭蓋骨が
あまりに怖くて
ずがいこつ
って書きました

父は記憶を
おかきの缶に入れて
頭の中にしまっている
最近蓋が開きづらい

どっちみち
私の心は一度死ぬ
本当は道を知っていた
この先はもう迂回路はない

雨上がりの電車
今もあの時のシャクトリムシが
誰かの傘を測っている気がする

日常を逆さにはたいて
転がり出た
なけなしの開放感
庭で食べる冷凍餃子

アスファルトにこびりついた
チラシと排ガス
父に手をひかれ母を見舞った道

初任給
運転免許
祖母の死に
間に合わなかった色々を
積み重ねて生きてゆく

歩道橋で
セーラー服の裾はためかせ
降りてくる空を押し上げていた
台風前夜

しゃぐり
しゃぐり
土を踏みしめ森の奥

読まずに食べる手紙は禁断の味
とヤギがいう

バターが破った黒パンの静謐

本当は
シロツメグサの花輪じゃなく
鹿の角を冠して
雄叫びをあげてみたかった

ゆびで押せば
じゅわりと過去が染み出しそうな
やせっぽっちの重たいからだ

わたしが擦り傷を作ると
もったいない、と彼は言う
お茶碗が
欠けたみたいに

ただの石に
ただの花を供える
特別な朝

緊急事態宣言

もういいかい？
まあだだよ

ぺらぺらの春だったけど破れない

夏服が着たくて鳥を連れてきた

サイダーを燃料にして星に行く

ヘルメットからぽろぽろと夏の星

木の皮をはがして夏の箱に入れる

感情を押さえるように鮎を獲る

入道雲
終わりのない階段を走る

遮断機が降りる
小さな流れ星

皐月の空は
サイダーみたい
今年の空は
真っ白な天井

好きの反対が無関心だったら
嫌いの反対は
誕生日ケーキとかかな

憧れを30センチぐらいきって


あやふやな自分
はじめる

互いに近く　果てしなく遠い
日曜と月曜
そして私とあなた

ふふふつり　ふふふ　ふつりと
ひるさがり

永遠を売りに出しても沈丁花

もういない人の眉毛の長さなど
定規で測ってみる五月

落雷にあわせてパフェを崩してく

汗かいてマスク縫ってる
不思議な初夏

ぺらぺらの春だったけど破れない

夕立よいつまでも降れこの部屋に

僕の手のなかで揚羽蝶が死んだ

大人ぶる十三歳みたいな金柑

ベランダから見える
画用紙ほどの
空
それでも晴れは幸せ

チョコれーと
マスたーど
のばして遊ぶ

心に穴があいたのに
通り抜ける風は
悲しいくらい
すがすがしい

なで肩に生まれて月になる話

ていねいに印刷された夜の音

ゆるやかな自殺
のための喫煙所
準急ですら止ま
らない駅

ぼくはこの街を出るだろう
きっと去る朝も
まなうらに
むせ返るような夏の光

鏡に映るでこぼこな僕の
喉
密閉された光の部屋で
その影を撫でる

だん
　だん
　　だん
と、階段を降りれば海
掠れた防災無線

ガスコンロがつくまでの時間
無限の月曜日

目をつむれば
多分もうすぐ
五月です

滝壺に結婚指輪を捨てて帰る

公園の遊具が消えて夏が来る

難しい事いっている

菜の花畑かきわける

ジャスミンが透かすひかり
真昼の入浴

五月の記憶


逆手で鉄棒握る

暑い
とかげが青い

木造アパートのベランダに
産着と小さなこいのぼり

どうか健やかに

スニーカー、洋服、虫除け、
セロリの葉、ミニトマト、イカ

賑やかなベランダ

青梅が
出回り始めた

出遅れるな、わたし。

迎合迎合がぎぐげご

わたしはわたしを殺しはしない

でんぐり返しして
見えなかったやつは
後ろまわりをして
見えるようになった

なにを注文したか覚えてないけど
なんであの席にしたかは覚えてる

ぼむぼゆるるるるー　串団子

選べなかった未来を想う
包丁でカブを切る刹那

ほっとくと鳥になっている子供

知りたくなかった
しりたくなかった

羽はもうなくなったの？

麻のハンカチ
片方のイヤリング
あの子との友情
年々香ばしくなる
遺失物の記憶

クリオネのおしりみたいな
バロックパール

甘えた感じの丸っこい爪先

四十を過ぎて姉と確認しあった
お父さんて変な人だよね
うん相当ね

くちなしの花びらみたいに
ひんやり白い足の甲

美しいロバのお話を一篇読んだら
雨の降りだす前に
わたし
銀色の森へ帰ります

麦わら帽に収穫したミント
透明の器にレモンと入れて
炭酸水注ぐ
手の中の初夏

雨上がりの電車
今もあの時のシャクトリムシが
誰かの傘を測っている気がする

蒼穹にありふれた日々の光を探す

世界同時多発的に
ハンモックに包まれて
同じ空を見上げよう

　　　
　　　　　空　　　　

　　　　　　　　　　　　　

洗い晒しの古着で鴎に会いにゆく

あう。と犬が鳴き雨が降り始める

結局
カラスアゲハを、
あの大きな黒い蝶を、
捕まえられたのだったか？

金曜日
祖母の部屋
どこかで採取したような
懐紙の金平糖

ダークチョコレートみたいな
クワガタが庭にいて
なぜか
誇らしい気持ちになる

自転車のサドルに
小さな蟷螂
Ｈの芯で描いたみたいな鎌
振り上げる

シャツの背中　君の筋肉と骨

風の音
YouTubeで聴く
子どもの日

マスクはした？
距離気を付けて
いってらっしゃい、
って送り出されるの。

夏服が着たくて鳥を連れてきた

ヘルメットからぽろぽろと夏の星

木の皮をはがして夏の箱に入れる

人形に名前をつけた
夏だった

指通りのいいさららとした黒髪を
高く結び
毛先が小さく揺れていた四月

ふふふつり　ふふふ　ふつりと
ひるさがり

大人ぶる十三歳みたいな金柑

なで肩に生まれて月になる話

ていねいに印刷された夜の音

夜明けまでが
一番充実してるのに
睡眠薬を生きるために飲む

ぬいぐるみなんかにまける扇風機

遺書なんか
片手だけで十分でした
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ゆるやかな自殺
のための喫煙所
準急ですら止ま
らない駅

ピーマンの空洞だけが頼りです

始まりと終わりがあって
少し空しい

雨の日は保健だよりに二人乗り

静かなる帝王切開夏の月

幼い日
みんなで影送りした
空は青空

初産は
満月の夜に吠えていた
狼男と朔太郎とわたし

泣きながら作った
しょっぱい塩辛は
炒めてみても
食べられなかった

ジャイアンジャイアン
心の友
ってどんなひとのことを指すのよ

おしえて

ほしのことばは届かない

月見草だけぱちんと咲いた

あなたがいなければ
正しい夏がきます

周回遅れの未来で待ってる

新しい朝がきたので
殺人犯は逮捕されました

ほっとくと鳥になっている子供

庭
蟻や蜂が生きていて
草が風にそよぐ
隣の子がピアノで
短調の曲を弾いている

ブロック塀の隙間に咲く百合の光

水の中から
絹ごし豆腐すくう
おじさんの手のひら

カレーの夕暮れ　口笛と黒猫

見守られていることを
確かめながら
遊ぶ犬

本当は
シロツメグサの花輪じゃなく
鹿の角を冠して
雄叫びをあげてみたかった

水曜日に生まれて
それがあたしには
とてもふさわしいことのように
思えるの

わたしが擦り傷を作ると
もったいない、と彼は言う
お茶碗が
欠けたみたいに

水たまり
気づかずびちょん
麦の秋

ぺらぺらの春だったけど破れない

サイダーを燃料にして星に行く

ヘルメットからぽろぽろと夏の星

なめくじが進む速さで恋をする

「かき氷ください、
スプーンはふたつ」

また会えるまた会えるから
かたつむり

向日葵に誓って僕は詩をやめない

遮断機が降りる
小さな流れ星

夕方の光が差し込んで
3月の色紙を照らしている夜

こんな日もきっと街だろう
剥げかけたパステルカラーの
わたあめみたいな

憧れを30センチぐらいきって


あやふやな自分
はじめる

僕は消えたい
僕は君だから
僕は僕じゃない
だから君には
生きててほしい

カボチャに性別をたずねますか
そういうことです わたしたちも

カーネーション
カーネーション
三拍子かな
母の日は

なで肩に生まれて月になる話

コンビニの袋は多分生きている
野良コンビニの袋とかいる。

期限付き失踪したい
できるだけ
探さないでね、
できるだけ……ね？

さきほどの嘘は定形外でして

遺書なんか
片手だけで十分でした
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しばらく飼ってた人面魚食った
あとの生臭いのみたいな体言止め

全裸で猫を洗ってた
どうするの
春が戻ってきたら

今夜にでも
あなたの夢で演じます

もういない人の眉毛の長さなど
定規で測ってみる五月

落雷にあわせてパフェを崩してく

ピーマンの空洞だけが頼りです

すれ違う時に減速するからだ

祈らずに遠吠えで済ます

とりあえずで
つけた名前で
呼び続ける

始まりと終わりがあって
少し空しい

つぎつぎと死ぬ金魚鉢洗う夜は

暑い
とかげが青い

そういえば
震災に遭ったあの年も
家族みんなで
家にいたんだ

子供抜き
夫婦のデートの
ほとんどが
子供の話で笑っちゃうよね

無口だが動作がやたらと
やかましい
黙っているのに
「お父さん、うるさい」

初産は
満月の夜に吠えていた
狼男と朔太郎とわたし

核は地名を
カタカナに変える

絶対　も
ずっと　も
欲しいのに

普通
というマジョリティの暴言で
僕たちは死んでゆく

ほしのことばは届かない

月見草だけぱちんと咲いた

座標からあしの一本迷い出て
傾くものはついに倒れる

でんぐり返しして
見えなかったやつは
後ろまわりをして
見えるようになった

馬鈴薯でぶたれて春の夜の長さ

言葉にするのがもったいない

ぼむぼゆるるるるー　串団子

新しい朝がきたので
殺人犯は逮捕されました

ほっとくと鳥になっている子供

まばたきとまばたきの間
あぶくのように生まれた
ちいさな秘密と
かなしみ

藁を食む
馬の口が描く軌道は
メビウスの輪

そんな女だと思われるのは
嬉しいのに
そんな女であれと思われるのは
息苦しい

曇空明るく
緑匂い立つ
枝葉のざわめく音が
空気を震わせて
遠い雨を呼んでる

どっちみち
私の心は一度死ぬ
本当は道を知っていた
この先はもう迂回路はない

本当は君も
分かっているんでしょう
氷菓を食べた時のこめかみくらい
冷静に

一目見て可哀想というけど
うちの犬は
自分の車椅子を
とても気に入ってますよ

あ
あのひと踵踏んでる

ヒヨヒヨとかピンピンの
道端の雑草を束ねて歩き
野趣溢れるブーケにするの

日常を逆さにはたいて
転がり出た
なけなしの開放感
庭で食べる冷凍餃子

ちょっと待っときや
ヤクルトとマキロン
町に守られていた子ども

薬局横の破れたフェンス
くぐり抜け渡った線路
砂埃の異国めく
四十年前の光景

電子辞書引くように
ネットで本を買う
紙の辞書を読むように
書店を訪れる

怪我も雨に濡れるのも
大差なかった
痕の残る傷もあると
知る前の
小娘だった私

洗い晒しの古着で鴎に会いにゆく

あう。と犬が鳴き雨が降り始める

読まずに食べる手紙は禁断の味
とヤギがいう

バターが破った黒パンの静謐

本当は
シロツメグサの花輪じゃなく
鹿の角を冠して
雄叫びをあげてみたかった

ダークチョコレートみたいな
クワガタが庭にいて
なぜか
誇らしい気持ちになる

だいたい私世代のおんなは
りかちゃん人形の足を
かじったことがあるものよ

ほらＵＦＯよ
と通りすがりのおばさんが
空を指差したけど
私には見えなかった

駅のトイレに焼き鳥の缶詰
ここに至ったストーリィを
いくつか
思い描いてみる

ゆびで押せば
じゅわりと過去が染み出しそうな
やせっぽっちの重たいからだ

嗚呼
断然羨ましい！
と、いっそ勇ましく嫉妬すれば
見えた空があったのに

わたしが擦り傷を作ると
もったいない、と彼は言う
お茶碗が
欠けたみたいに