死のうと思った
日々の先に
辿り着いた海の
貝殻やシーグラスは
全て死骸の形

湾曲表現で
伝えすぎた感情が
空を飛んでゆく
海猫の遠鳴

くりかえす青葉の
くりかえさない涼しさに
きっと　なんど
まばたきしたら

小説が読めないことを
庭の明るさに喩えたら
その庭にしばらく夏の雨

水糊のような夕に石段を登る
振り向きはしない
詩的すぎる街があるから

夜の近くで
港が来るのを待ちながら
心臓が風を知らないこと

私の耳に４つの黒子
あなたはきっと前世からいる

まぶたのない星を抱く
弁当のパッキンを外すか
髪を結いてしまおうか

小さい私を抱いたら
どんな匂いがするだろう

子供の上履きが干してある
かすれたまる文字
青いつま先は空を見ていない

雨の日の図書館にくる幽霊を
そっと数えて栞を挟む

さえずりは
ひかりのみずを注ぐように

かがんで見た花は
新しかった

じゃあまたね
じゃあまたね
男の子は一人二役
永遠にこだましていた

手の甲の皺を眺める老婆
その老婆が母だと知っている僕

失くした財布が
駅に届けられていて
公園口に咲く
桔梗の魅力に
目を奪われる朝

聞いて欲しいことがたくさん
あったから
今日は洗濯機を三回まわす

私の胎内にある宇宙を
誰も証明できない

空を見上げる時
あなたはあなたの内側を見てる

いつか消えていくたんこぶに
名前をつける

消えてしまったあの人の歌声を
聴き続ける

あなたへの言葉を選ぶ瞬間の
木々のこすれるような心臓

交わされた言葉のひとつひとつが
もうくぐもって割れそうな傘の中

水泳の授業のあとの国語では
クラスのひとが少しあたらしい

夜、
椅子を置く
夜になる私の心に

ラクトアイスの棒が墓標になる
いつでも無くなりそうで
今はある

羊色の
良心が
たくさん
詰められている

心が
コピペされてるみたいな空だ

馬乗りになって慰め合いながら
言語を手放すまでの秒読み

潮風がくぼんで過ぎて痙攣の
ように木が揺れ　るりいろのひる

折り紙のような青葉にかこまれて
新築はさらさらさらと立ち

プールの水が
綺麗になりゆく五時間目
水面のヤゴの群れに
急に羽は生えない

こぼすなよ、
活字は贅沢品だから。

ちりちり燃えるあいつの詩集

寂しい日に食べようとして
買った飴
本当に寂しい日か 今日は

通学路の
団地の壁の木漏れ日が
私の小さな死を陰らせる

赤ちゃんの姪が笑って
幸せが喉に詰まって
どうにかなりたい

戦闘機が彼方に呑まれ
ごおごおと
空が腹をすかせている
綿毛幾つか飛んでいく

昼寝覚頭蓋のなかの冷えた海

もんやりと
珈琲が喉をぼかす昼
常設のポットはわが子の温度

風船を持つ着ぐるみのどことなく
口語を強いてきそうなひとみ

きっと君を音楽室に閉じ込めて
いたら天使に羽化してしまう

手を広げたら東と西は分かるよと
言いながら少し霞んでみせた

仕草とはうつくしき夜半　
凍星をあなたとすべる約束をした

イヤホンに
満ちてる浸透圧のこと　海、
それだけを聞いていたくて

涙とは星のちいさな誤謬です
うつくしくない姿を見せて

見上ぐ　
烏に意味は乗せないで
空と言いたい景があるから

憧憬が運ばれてくる　
惑星の遥かなことをおもう食堂

どんぐりをどんどん頬に蓄えて
現行犯がゆく風のなか

竜巻を抱いて眠れば
図書室の一角にいる
あなたに出会う

モテ期という
夜行列車に乗りながら
きみは何度も羽ばたきそう、だ

チアガールの天に向く足夏兆す

夏木立缶蹴りの音境内に

君の誤字そのままでいい水中花

酸素に硝子の破片が舞っている

僕ら平等に運命をかける
雨に降られる買い物帰り

明日世界が終わる気がして
カップラーメンにお湯を注いだ

こっち向くシャワー
戻しながら向日葵みたいと思う
向日葵みたいと思って戻す

泣くための助走はやめる
一生の八割方は雨天決行

目減りする心を天使の分け前と
思うことにして面接に行く

クリームソーダ
ほら、奈落にも底がある

コンビニに背面がある虫時雨

青果にも影があるから秋らしい

ジャム煮込む鍋蓋みたい梅雨曇

梅雨明けをぬぬと回転するケバブ

蝸牛が肺呼吸と知ってから
お前の歩みで過呼吸となる

戸の隙を漏れ入る故郷の夏埃

萬緑を滴る水に火傷する

万緑よ湧水で拭く胸の傷

who?who?と
梟は問う旱梅雨

メタファーを暑苦しくも思う宵

四十雀声のみ聞こえ母の墓

音符灯りほたるふぶきの夜となる
＊Eric Dolphee
ベルリンで客死

あなたの夜を思い出して
冷たい白玉を食べました
黒蜜の寂しい光をあげる

お腹が痛い日に飲む牛乳の
白さは保健室のシーツみたいね

蝶の昼ジェンガの穴に仄暗き

さなぎが弾けて、空を生む羽

場違いな痛みよ。
不甲斐なくって雨を握った。

閉じ込めておいたんだ、
さなぎの中へ
光が朽ちぬように

矢のように裂いて、
真っ白な月は目尻に添えて

悲しみがしがみついてる
前髪を切る

マグマのような哀しみが
私をそっと尖らせている

私の抜け殻を抱えて、
朝になる部屋

光をこさえてんだよ、これでも
ささくれだった小さな部屋で

真っ白なページ、光って
崩れる
辣の文字

貴方が
自転車を借りに来たから
夏を思い出した

土地の名のゆかしさ
すっくり立つ雨の日

静まり返る
遠くの田に
七月の詩を
そっと放す

柳立つ味蕾の上の空白に
見覚えのない言葉ばかりが

角砂糖をやすりで優しく削った
のかな
日が差す前の、甘くて軽い雨

打ち上げた花火が消える少し前
匂う空気の乾いた冷め方

あの高い尾根から徒歩圏内の地で
黄色い星が降ったら教えて

張り巡るひりつく肌の感覚で
私の境界知らしめる陽射し

普遍からこぼれた具体を
ちゃちなポイで掬う

朝に昇る真っ白い太陽も
夕方になれば嘘をつく

買ったのは
薄緑茶色のシャツだった
ミントグリーンと店員が言うまで

赤ちゃんの口から夏の風ふわり

青空は楽譜草笛高らかに

クレバスから千年前の貝の声

炎昼に従妹と立てた蝶の墓

パエリアの焦げ梅雨寒を輝いて

復活の呪文を失くす夏真昼

浴衣めくれBCGの痕きれい

枝豆を塩きらきらと有楽町

大野焼いずれ無くなる土星の環

赤すぎる赤八月のナポリタン

配達の薔薇と滑止の軍手

七月を音に変換して
売るの

母親が丹精している
グリーンピース
鞘ごと煮たら
ふるさとのみどり

教科書の最後の頁に載っていた
祈りは今でも有効ですか

たまごボーロを口で溶かして友達
が天使みたいに笑う夏の日

夜側の足を浮かせて
少しだけ
お昼を長くするフラミンゴ

机の傷をなぞる
忘れられていくあの子
ゆっくり消えていく
ナスカの地上絵

廃ビルの螺旋階段
ゆっくりと呼吸をしてる
龍なんだって

透明のゾウは
五万といるんです
駐輪場の屋根の上とか

わたしたち腰掛けている
生きて死ぬ
呆気のなさを
背もたれにして

戦争の形の雲を記す仕事でした。
伯祖父の死
空は青い

全部俺のせいだけど
俺のせいなのは
俺のせいじゃない

母からの電話に浮いている海月

丁寧に折り畳まれた波詰めて
無へ送り出す消波ブロック

プチプチで包めば
静かになるでしょう

死のうと思った
日々の先に
辿り着いた海の
貝殻やシーグラスは
全て死骸の形

影を描くから光がある
黒一色の
鉛筆デッサンのような詩作

水面はきらきらと
光は装飾に過ぎない
もがけば
生きるために
生きているだけ

浜夕顔の閉じてゆく
海岸線で
消えるつもりだった
五月の先を見ている
楼閣

朗かに仕上がったんですね
作品評のように
評されている
わたしの外側

さびしさを言うときの
語彙のとぼしさは
夕暮れに皿を洗うように
研がれている

水糊のような夕に石段を登る
振り向きはしない
詩的すぎる街があるから

判断。しかし
眼を瞑ってふれる幹は
夜の彫りを深くする

私の耳に４つの黒子
あなたはきっと前世からいる

小さい私を抱いたら
どんな匂いがするだろう

子供の上履きが干してある
かすれたまる文字
青いつま先は空を見ていない

太陽に天道虫が溢れてしまう

雨の日の図書館にくる幽霊を
そっと数えて栞を挟む

結局は手押し相撲をみる花見

さえずりは
ひかりのみずを注ぐように

嫌になるほど
考え抜く
考え抜くと
嫌にも飽きる

じゃあまたね
じゃあまたね
男の子は一人二役
永遠にこだましていた

校章みたいに
ワイシャツの襟にとまる
てんとうむし

きょうはしみじみ
しじみじる
あしたもあしたで
しじみじる

ぬきわすれた草
次の日　花が咲いていた

なんか、
　　　　　ごめん

思い出す必要のないことを
今、僕は必死に思い出している

手の甲の皺を眺める老婆
その老婆が母だと知っている僕

失くした財布が
駅に届けられていて
公園口に咲く
桔梗の魅力に
目を奪われる朝

聞いて欲しいことがたくさん
あったから
今日は洗濯機を三回まわす

空を見上げる時
あなたはあなたの内側を見てる

自分は軟体動物ではないことを
確認しながら
階段を一段一段上がっていく

ぼくの血を吸った蛭の中には
ぼくの中に流れている
風邪薬の成分も流れている

いつか消えていくたんこぶに
名前をつける

消えてしまったあの人の歌声を
聴き続ける

あの頃の自分を
抱きしめてあげたい
小さな体で
よく　頑張りました

水泳の授業のあとの国語では
クラスのひとが少しあたらしい

蛾が
月に酔う
度数の高い
光りに触れて―

夜、
椅子を置く
夜になる私の心に

ラクトアイスの棒が墓標になる
いつでも無くなりそうで
今はある

羊色の
良心が
たくさん
詰められている

生きている蛇の長さの雨が降る

エスカレーターがなぜ黒いのか
知らないまま
さあ、
夜が来る。

心が
コピペされてるみたいな空だ

少しでもあたしに似ている人
みんな行き場をなくしていく物語

折り紙のような青葉にかこまれて
新築はさらさらさらと立ち

プテラノドンの
はねの色を知るために
枕を買い替える金曜日

手のひらのように開いた教科書の
隅っこに描くパラパラ漫画

共感も理解も微笑で拒む
ひとり
雨の水族館はきみだけ

寂しい日に食べようとして
買った飴
本当に寂しい日か 今日は

骨のない傘になりたい
雨の日のくらげは寂しい
寂しくなりたい

通学路の
団地の壁の木漏れ日が
私の小さな死を陰らせる

今日の校内放送は
波の音
星屑の音
青空の音

私向けじゃないもの
本屋の中にある
コスメショップのワンピースとか

戦闘機が彼方に呑まれ
ごおごおと
空が腹をすかせている
綿毛幾つか飛んでいく

昼寝から覚めると
空が原色に還っていた
僕に赤子の欠伸がうつる

潮風が触った後のほっぺたを
独占しているチャイルドシート

もんやりと
珈琲が喉をぼかす昼
常設のポットはわが子の温度

きっと君を音楽室に閉じ込めて
いたら天使に羽化してしまう

透明な死体をさばく解剖医　
葉は絶え間なく谷に降りゆく

友人も
ピアスを開けるらしかった　
冬の凪つっ切って街へ

イヤホンに
満ちてる浸透圧のこと　海、
それだけを聞いていたくて

憧憬が運ばれてくる　
惑星の遥かなことをおもう食堂

幻想があってにわかに
幻想の周辺がある　
友だちといく

モテ期という
夜行列車に乗りながら
きみは何度も羽ばたきそう、だ

懐中時計のなかに希望が眠ってて
小人がねむる前の確執

左肘表が痛い　
何かが　
何かがあったはずの冬空

かがやきで向かっています
車窓から裏側みたいに蒼い山脈

夏木立缶蹴りの音境内に

明日世界が終わる気がして
カップラーメンにお湯を注いだ

こっち向くシャワー
戻しながら向日葵みたいと思う
向日葵みたいと思って戻す

ふと疑問ばかりに溺れる
コンクリートに夜が染みてく

目減りする心を天使の分け前と
思うことにして面接に行く

コンビニに背面がある虫時雨

惑星に山河ありふれ春爛漫

教室のカーテン縛る夏休み

青果にも影があるから秋らしい

私だけ見ている窓の虹が大きい

梅雨明けをぬぬと回転するケバブ

羽仕舞う薔薇を嗅ぐため潜るため

ビロードの女の子の影が
映る夕日に

自分から出るものが
どんどん加速して変わる

暑さでストリートピアノ
溶けるかも

万緑よ湧水で拭く胸の傷

who?who?と
梟は問う旱梅雨

暑さ溜め
泥濘（どろ）の底から煮える沼

音符灯りほたるふぶきの夜となる
＊Eric Dolphee
ベルリンで客死

正しさの為に戦うよりも
矜持の為に戦って

迷子になった時に帰る場所
そんなものない方が
いいに決まっているじゃない

お腹が痛い日に飲む牛乳の
白さは保健室のシーツみたいね

冷たいゼリーの中で暮らしたい
ひたすらにひたひたしている

お風呂に入るのめんどくさい
膝小僧と３分相談して、
仕方ないなって、入る。

閉じ込めておいたんだ、
さなぎの中へ
光が朽ちぬように

足跡でしょうが、紛れもなく、

悲しみがしがみついてる
前髪を切る

マグマのような哀しみが
私をそっと尖らせている

ふくらむようになるんでしょうか

キーボード、
青春に鍵をかけてくみたいに叩く

貴方が
自転車を借りに来たから
夏を思い出した

水琴窟の
なかのような今日

砂浜に
喫茶店のある
夢を見る

柳立つ味蕾の上の空白に
見覚えのない言葉ばかりが

職歴に非正規のみのさびしさは
役場の上の丸い生皮

君、それは花瓶ですからね

鳥瞰図イメージだけは
ばっちりで紙飛行機を
丁寧に折る

おれは他と違うと
言わんばかりの
金髪

ぴーひょろろ
ぴーひょろろろろ
朝と海

趣味特技　
ほんとのことは書けないで
浮かぶ答えは「写経」の二文字

あの高い尾根から徒歩圏内の地で
黄色い星が降ったら教えて

逆上がりできた一人の公園で
迷子の町内放送を聴く

どうとでもなるよな私が歩いてて
クジラの群れが滅びゆく今

一限に間に合うように
家を出て
田んぼでサギが
蛙を食べてて

　君の事が好きな理由を
　世界中探しても
　みつからなかった

ひりひり
ずきずき
棘刺され
所詮私は
半分が水

普遍からこぼれた具体を
ちゃちなポイで掬う

青芝を双子姉妹のフラフープ

サングラスして太陽の冷たそう

炎昼に従妹と立てた蝶の墓

優曇華を起点に遊ぶ日曜日

パエリアの焦げ梅雨寒を輝いて

コニャックで清め夕べの斧仕舞

蟷螂がベンチ譲ってくれなくて

復活の呪文を失くす夏真昼

ギヤマンの梟カフェの書籍棚

枝豆を塩きらきらと有楽町

ゆらゆらと十一月を象の鼻

大野焼いずれ無くなる土星の環

大きくなあれ大きくなあれ天爪粉

秋小寒カレーに山羊のソーセージ

ホーロー看板きらきら錆びる
　　　　　　　　　　　　春の雷

蝙蝠と兄貴の銀玉鉄砲

叱られた母の似顔絵ところてん

親知らず抜きますカンナ乱れます

赤すぎる赤八月のナポリタン

散髪のガラス越しの蛾が気になる

父の香の夕立水割ウイスキー

配達の薔薇と滑止の軍手

秋灯の名古屋駅まだ手を振って

等身大の愛を
投げ込む
洗濯機

七月を音に変換して
売るの

十戒を授かって食う
マドレーヌ

今欲しいものは
布団やイカを干せるベランダ

低気圧差し歯の違和感拭えない

一喜一憂しながら
白球の行方をみながら
音を飛ばしていた
あの　なつかしい空

しぬ七日前に会いたいと思ってる
おそーしきには来なくていいから

赤ちゃんが私に笑わなかったので
ひっどい顔してたんだな五月

ランドセル
好きな色買えなかったし
名字くらいは選びたいけど？

ひそひそと話すなよ大教室で
なんか猫背になっちゃうじゃんか

前撮りを遺影撮影と呼ぶきみに
百年生きてほしいと願う

もこもこの転出届が受理されない

治らない怪我もあります
大陸も 元々一つだったらしいし

机の傷をなぞる
忘れられていくあの子
ゆっくり消えていく
ナスカの地上絵

廃ビルの螺旋階段
ゆっくりと呼吸をしてる
龍なんだって

透明のゾウは
五万といるんです
駐輪場の屋根の上とか

遠い海
親とはぐれた子鯨を
きゅーいきゅいい
と励ます列車

戦争の形の雲を記す仕事でした。
伯祖父の死
空は青い

全部俺のせいだけど
俺のせいなのは
俺のせいじゃない

この世の終わりを告げている
白い深夜に鳴るサイレン
毎晩布団で聴いている

伽羅蕗にひとりぼっちの幽霊と

母からの電話に浮いている海月

使えない　誰より一番わかってる

プチプチで包めば
静かになるでしょう

本当の自分を見つけられました
日曜午前にわたされる顔

梅雨時の
霧雨の中の

逃避

手の甲の皺を眺める老婆
その老婆が母だと知っている僕

蛾が
月に酔う
度数の高い
光りに触れて―

新学期の
自己紹介が
雨に
なって
降っている