一昨日も昨日も会ったのに金魚

おかえりが口癖になる洗い髪

淡水はやさしい水と
思うけどそうしたら
海育ちとばれた

煙草から落ちた火の粉が
燃え尽きる
流星はきれいに
燃え尽きる

構内ですれ違うとき
細くなる
人と人
消えずに歩きだす

地下鉄に髪をなびかせ
人間の満ち引きが生む
まぼろしの海

花の体内時計のことを
言いかけてプレートに
桃と書いてある花

開かれたままの書物が
部屋にある
任意の星をつなげて遊ぶ

サボテンの花がひらけば
してもない約束ばかり考える朝

女の子
採用しないやつばかりいて
雲の峰は触れたら気体

狂ったらクララに任す七夕は

今どこにいるの
と聞かれたけど
まだここを名付けてもないよ

家中を探しても
息を止めると苦しい理由が
見つからない

もういいかいって聞かれた時から
存在するようになった世界

いつまでも揺れる水面の皺ひとつ
果物ナイフで脅す夏の日

海に降る雨
暗闇で手をとるはずだった

自分で自分を殴る難しさ

公式の祈り方.zip
まだ未解凍

貝柱から自由になりたい

お風呂入ろうとしたら
犬がドアを蹴ったと泣く娘

スケベだな、と犬にいう兄

夕焼けの
労働基準監督署
受理しましたの声を
遠く聞いている

織姫と彦星は
遊んでばっかだから
神様に怒られたんだって

神様すぐ怒るよね

今頃は
コンクールに向け
大詰めで
授業中譜面を
広げていたわたし

夕方五時半のチューニング
ある時一本の糸になる

耳が遠い伯母は
聞こえない時と
聞こえないフリを
使い分ける

屋号で呼び合うが
みんな閉店した商店

真夏日に
暖房便座で
かちかち山

大の字の　脚の間に犬、丸く

音楽の授業は
クマに催眠銃を
撃たれるらしい

一番ファースト佐藤くん


大丈夫、いけ。
ノートはとってあるぞ。

わたしの曲線に沿って眠る犬

あなたから
もらった言葉は押し花に
記憶の間の栞にしている

留守番をさせる娘の
いじらしさ
入院書類のペン重くする

おのとのことをおいしてる
くろいのことをいえんのこ

かったるいときにさー
巻舌になるの変じゃ～ん
だってかったるいときだよ？

ひとりでいるのはつらいけど
だれかといるのはもっとつらい

平熱は、36.5度
ときどき36.6度
一年は、365日
ときどき366日

このひとがいいの。
このひとがいいの ()
このひとがいいの ？

ドアスコープ越しの父は
全然知らない人でした
それから父の顔を探しています

だれもさよならと言わない
ほんとうの別れの時には

山肌に墓石ささっている四月

帰省子の鞄に別の家の匂い

夏色の靴を一足買ったから
くるくるくくるてるてるぼうず

ゴキゲンとフキゲンが
ルームシェアしてる
やりたいやらなきゃ
スケジュール帳

航行するにあたり
側溝に舗装脇へと
漕ぎます
駐輪禁止条例区域内走行如何是非

嘘、耳朶、回線、形成、
雨季、名前のないお嬢さん、
四角い混沌の正体。

いけない子になる
約束を破る快感を覚えた

パレット盗んだ
塗りたくるコンクリート
世界大戦超えてきた
戦利品だから

樹液垂らす色白の細木
媚びを売る幼気な少女

放課後の延長戦
錆びれたブランコに二人

綺麗な上澄みだけすすり
君は僕を下水道に流した

塩素系ファッションの君と
青酸系ファッションの僕と

じゃあお母さんが
おにんぎょう役ね

僕の臆病な冗談から
君が笑いだすまでにある
あまつぶの数

裂傷
流れ出たのは血か愛か
いずれにしても
あたしのいのち

文鳥が小枝と間違え啄ばむ血管

本が耳をそば立てているから
図書館では静かになさい

この先一週間は雨
君が選んでくれた日傘を
ＬＥＤの下でさす

何が起きてるか分からないけど
何が起きてるか考えるのがもう
い・や

影踏みは
影が誘惑しようとしてる気がして
目を合わせないようにしてた

草むらなんか
通り道でしかなかったのに
いつの間に
草むら自体が怖くなったの

ふりむきざま
君はわたしの手を引いて
マスク越しに
キスをした

きみとわたしが猫だったとき
屋根の上で出会って
縁側の下で恋をしたね

青い花の縁取りの
ロシアのお皿が割れました
せっかく私の所へ
来てくれたのに

めがねめがね、の別パターン
入れ歯入れ歯、もあるらしい
お口に入ってますよ

カクレンボと書くと
隠れ、という文字よりも
恋慕、が浮かぶ
私はもう大人

胸の中でモンキチョウが
パタパタ飛びまわってて
ああ
好きなんだって自覚する

授業中
君はノートのはじっこに
落書きばかりしてて僕は
君ばかり見てる

かなしい映画を観てて
だけど隣に君がいて
指先に触れたら
握りかえしてくれた

私だったら絶対こう思うから
それが普通でしょと言うのは
共感、ではないよ

毒は毒、薄めて薬
薄め過ぎたらもはや水

神様どうか僕を殺してください
無理ならあいつを殺してください

水槽が赤い
倒れるように眠る

雨は孤立させるから好き

｢わたし｣という選択肢を忘れる

帳が降りない劇はないのに
老いさらばえるのは喜劇だ

芋を蒸かす為の神様がいる
一度でいいから
ストリップを観たいと言う

キャベツを覗く
肺気胸の男女の
いくつもの読書だ

カマドウマ
が脱税して明後日に跳ぶ

アルミホイルで頭を包むと
孤独が治るらしい

ミルク（純粋）と
珈琲（邪悪）を
混ぜ合わせたものは
カフェオレ（境界人）

娘の右の手と左の手を
まあるくして重ねた
「れもん」
黄色い夢から醒めた

私の中に眠っている子どもを
森の中で
遊ばせてあげればいいんだ

ドローンを
大きなハエと言う
ばあちゃん

眠い眠い
豚が落ちてくる
でも耐える

皮肉にも
鬼が島には
桃が実る

あやまって
逃してしまった
液晶の
画面に戻らぬ
魚たちの群れ

ポケットに
いつかの飴のつつみがみ
どこにも見当たらないような
ぼくたち

ときどきは
還れなくなることもある
荒野で
葬儀の列に
まじれば

てをふって
見送ったはずの
わたくしが
あらわれてきて
白日夢

心臓の音に
似ているのね　
波は
海あるところよ
この胸は

マスクした

マスクの下は
メイクレス

ティディベアは
皆うつぶせ
こっちを見てるから

おかえりが口癖になる洗い髪

構内ですれ違うとき
細くなる
人と人
消えずに歩きだす

地下鉄に髪をなびかせ
人間の満ち引きが生む
まぼろしの海

開かれたままの書物が
部屋にある
任意の星をつなげて遊ぶ

サボテンの花がひらけば
してもない約束ばかり考える朝

女の子
採用しないやつばかりいて
雲の峰は触れたら気体

TLに友人の死の報告のあり
Twitterの果てにある海

向日葵が頭を垂れる
夕焼けに
あやまりたかったこと、
思い出す

神様を信じることを
母の死で
やめて
夜空の星は水銀

ひまわりは
人間のようで
怖くなる
いつか必ずくるさようなら

今どこにいるの
と聞かれたけど
まだここを名付けてもないよ

寝室にいく途中の
階段や歩幅でさえも
試されてるんじゃあないの

家中を探しても
息を止めると苦しい理由が
見つからない

もういいかいって聞かれた時から
存在するようになった世界

プリン六つ
抱える理由が欲しかった
エコバッグ忘れたふりをする

愛なんてありませんでしたという
探検家の末裔らしい報告

詩は降っている
透明な塔としての体

書くことも書かないことも
すべて呪い
僕より背が高かった君とか

フロイトの代わりに
腹ペコ獏を飼う

鑑賞に耐えかねて旅に出る絵画

濡れた
髪
かわくまでが夏らしい

少しずつ
いなくなってさよならになる

私から名が剥がれてく
死の前夜

公式の祈り方.zip
まだ未解凍

生活の助走
起きぬけに飲む水道水

貝柱から自由になりたい

さよならは花火の音で聞こえない

嘘だってわかる約束青薄

夕焼けの
労働基準監督署
受理しましたの声を
遠く聞いている

夕方五時半のチューニング
ある時一本の糸になる

屋号で呼び合うが
みんな閉店した商店

ぶつかりながら
死んでいく蝉

おはようと おやすみなさいが
同居する
３LDK 四人と一匹

ちりぢりに飛び散ってった


わたしがひとり帰ってこない

振り分けよ　我/我以外
抜け落ちた髪を手に取り
逡巡する夜

シロップの残るポーション
舐めるとき
あたしなんかと三回唱う

いちめんの
ひまわり畑を
掻き分けて、掻き分けて、
いつまでも暗い

半返し縫いくらいの可動域で
この世につなぎ留められている

私のためにない命を許せない
今日も手肌にアルコールを擦る

生涯をこの室内で終える蚊の
私でできたからだを潰す

祈り続けるからだがあればいい

　　　444444444444

一日に使った鏃　殺生の数

そこらじゅう
投げ出された朝を
投げ返したかった
丸まらなくて持て余してる

ドアスコープ越しの父は
全然知らない人でした
それから父の顔を探しています

響きが消えたとき
私が終わって
雨と朽葉の匂いがした

めくりめくる夜
ステープラの強さの単位は枚

だれもさよならと言わない
ほんとうの別れの時には

喪服を買いに走るゆうべ
夏が額にはりつく

鉢植えを抱えて 妹起こす君
朝顔の花が とける前に

取れそうなささくれ取らぬ春の暮

春雨降り止まぬ教師喋り止まぬ

山肌に墓石ささっている四月

食パンのくぼみ戻らぬ春の宵

炎天の足裏の影と支え合う

降りしきる
わたしだもの
あなたに
染みわたる

唐突な気流に乗り
二月の夜明けを知る烏たち

こきうおとしてる
むねのなかはぬくくい

じゃあお母さんが
おにんぎょう役ね

わたしたち
みたいな
わたし
になりたい

卒業アルバムで
笑ってる方の佐藤が
死んだ方の佐藤

むずかしいかんじを
しらなくてごめんなさい
でもこれは
うつくしいうみ

怪獣を踏んだ痛みで目を覚ます

子が描く私は
いつも三つ目

僕の臆病な冗談から
君が笑いだすまでにある
あまつぶの数

物語に紛れ込ませた石を忘れる

この先一週間は雨
君が選んでくれた日傘を
ＬＥＤの下でさす

暗い戸棚から羊が私を見ている

思い出が夏野にまきびしのように

苦いものはいつか美味しく
感じるって
だからちゃんと
傷つきにいく

｢わたし｣という選択肢を忘れる

見つめられてる気がする
猿に、猪に、猫に、狐に
見つめられてる気がする

失業保険で三ヶ月喰えます。
カーディガンの
温もりのようです。

雨が降るなか
犬を捨てなければならない
福島の方言のようです

老いてゆくぼくら
閉じてゆく君を
追いかけるぼく
生ぬるい風が吹く

窓を開けていると
夜が入ってくる

アルミホイルで頭を包むと
孤独が治るらしい

脳天にぽかりと
穴のあいた貝の
時を返して欲しそうな殻

波の音が聞きたくなったら
真っ白のシャツを着て
目を閉じよう

向かい風
小径をぬける
自転車に
きっと見えない
たてがみがある

水上に建てられている
体育館の
しづかな床に
当てる片耳

読みさしの
文庫本の頁伏せられ
蝶のような
つなぎめになる

群衆に
顔を見られないで歩くのよ
銀の綿毛を
まき散らかして

車両には
わたしひとりが乗っていて
銀河へ行くかもしれぬ
今夜は

あやまって
逃してしまった
液晶の
画面に戻らぬ
魚たちの群れ

ポケットに
いつかの飴のつつみがみ
どこにも見当たらないような
ぼくたち

ときどきは
還れなくなることもある
荒野で
葬儀の列に
まじれば

ひきだしの奥に
あたらしい駅舎（えき）を
つくったことは
内緒のままに

心臓の音に
似ているのね　
波は
海あるところよ
この胸は

手をつなぐすぐ手をはなす雪月夜

神様を信じることを
母の死で
やめて
夜空の星は水銀

踵まで含めて私元年です

詩は降っている
透明な塔としての体

背表紙が背骨にみえる
一行の
読むたびに触れていて見えない

書くことも書かないことも
すべて呪い
僕より背が高かった君とか

海に降る雨
暗闇で手をとるはずだった

ドアスコープ越しの父は
全然知らない人でした
それから父の顔を探しています

吊革のすっと傾き夕立晴

山肌に墓石ささっている四月

食パンのくぼみ戻らぬ春の宵

炎天の足裏の影と支え合う

キャベツを頭にかぶるほど暑い夏

　　　　は
　　　　　　まだ来ない

私ではなく
私の詩を
覚えていてくれた人がいて
私の輪郭が少し
光った気がした

ふさがれてしまえば
あふれだすだろう
あなたのシャツの
皺を見ている

ティディベアは
皆うつぶせ
こっちを見てるから

芝のジュース
夏休みの匂い

みずあさぎ色から
あかね色へ
濃い薄いを繰り返す
今日という空

雨で煮詰めるジレンマを
テニスコートと名付けよう

iPhoneが
割れた瞬間起動した
いつもと変わらないSiriの声

一昨日も昨日も会ったのに金魚

おかえりが口癖になる洗い髪

ベランダの果ての
平野の果ての山
はずれたままの受験期のやま

煙草から落ちた火の粉が
燃え尽きる
流星はきれいに
燃え尽きる

構内ですれ違うとき
細くなる
人と人
消えずに歩きだす

網の目の線路
散らばりゆく線路
ふくらんでゆく睡眠負債

胸をおおう下着を
買ってくるたびに
貯まるかわいい紙袋たち

地下鉄に髪をなびかせ
人間の満ち引きが生む
まぼろしの海

花の体内時計のことを
言いかけてプレートに
桃と書いてある花

開かれたままの書物が
部屋にある
任意の星をつなげて遊ぶ

サボテンの花がひらけば
してもない約束ばかり考える朝

女の子
採用しないやつばかりいて
雲の峰は触れたら気体

向日葵が頭を垂れる
夕焼けに
あやまりたかったこと、
思い出す

神様を信じることを
母の死で
やめて
夜空の星は水銀

かぎ針で
レースを編んでゆくように
あなたを好きな
理由を重ねる

ひまわりは
人間のようで
怖くなる
いつか必ずくるさようなら

切腹のなくなった国 大暑来る

頭で心臓をかんじている
口実を作るために
追い焚きをもう一度

隣の猫に呼吸をあわせ
寝相もあわせ
冷蔵庫の中身を思う

いつまでも揺れる水面の皺ひとつ
果物ナイフで脅す夏の日

南極には
ロックバンドがいないらしい

少し高いバターで君につくる
オムレツ

無観客作詩
こころの俺に書く

月に一度光れるなら月末に光る

目を閉じて
最初に出た言葉を大事にする

プリン六つ
抱える理由が欲しかった
エコバッグ忘れたふりをする

詩は降っている
透明な塔としての体

土嚢に咲く花
今が過去になるための時間

海に降る雨
暗闇で手をとるはずだった

濡れた
髪
かわくまでが夏らしい

生活の助走
起きぬけに飲む水道水

夏風邪で休んだ奴が映る海

嘘だってわかる約束青薄

半夏生
タコの唐揚げ食べながら
この地に根付いていない四年目

小学校
周りの木全て倒されて
中間貯蔵施設に
行く道路になる

ふるさとを後にしていく
新幹線
夕暮れとビールに
慰められてる

この街は辛口の紅ジャケがない

回旋塔
箱ブランコにシーソーも
撤去されてる安全な校庭

Ｂ型です
何か不都合でしょうか

山ほどの
野菜の小包荷を解いて
入院支度に常備菜を作る

蛙ぴょこぴょこみぴょこぴょこ
かえるのたまごはみどりいろ

ぱりんぱりんと水面の月を割る

いちめんの
ひまわり畑を
掻き分けて、掻き分けて、
いつまでも暗い

半返し縫いくらいの可動域で
この世につなぎ留められている

目に入るものだけ愛す
太陽の弱ったやつとか
君の靴とか

そこらじゅう
投げ出された朝を
投げ返したかった
丸まらなくて持て余してる

月影にオオミズアオのすきとおる
色した蚊帳のまたたいて

　翔ぶ

ドアスコープ越しの父は
全然知らない人でした
それから父の顔を探しています

喪服を買いに走るゆうべ
夏が額にはりつく

吊革のすっと傾き夕立晴

取れそうなささくれ取らぬ春の暮

山肌に墓石ささっている四月

食パンのくぼみ戻らぬ春の宵

炎天の足裏の影と支え合う

夏色の靴を一足買ったから
くるくるくくるてるてるぼうず

首かしげるマリオネット
月明かりが差し込む物置部屋

降りしきる
わたしだもの
あなたに
染みわたる

こきうおとしてる
むねのなかはぬくくい

じゃあお母さんが
おにんぎょう役ね

卒業アルバムで
笑ってる方の佐藤が
死んだ方の佐藤

怪獣を踏んだ痛みで目を覚ます

子が描く私は
いつも三つ目

陽だまりを避けて
女になっていく

物語に紛れ込ませた石を忘れる

小鳥が鳴いて花は閉じ
紫色の空に
星が来る

雨雲に
隠れているだろう月光も
あると思えず靴濡らす夜道

本が耳をそば立てているから
図書館では静かになさい

何か大事なことを思いついたのに
大根に包丁を入れたら
忘れてしまった

お歌の教室の帰り道
風に揺れていた
祖母の青いワンピースと
白い前掛け

年老いてパンダのように暮らす父

ティッシュで作ったみたいな
芍薬の
迫力と儚さを眺めていた
雨の窓辺

まだ寝ない、と
ぐずる。
十五年間
赤ちゃんのまま
そばにいてくれる犬

指先が空に引く軌道を見てた背泳

家族は私がスプーンに
名前をつけたと思ってるけど
違う
スプーンが名乗ったの

カップの底に残った麺
みたいな模様を
誰かが窓ガラスに描いた

ひとり飯
らっきょうを噛む音
白く霞んだ紫陽花が
雨の重みで
こうべを垂れる