オクラを切れば
星形から外れる種
space debris
言い訳ばかり得意

雨よ称賛のように降るな

夏はレースを編むように
足りない言葉の間を
日差しが強く抜けていく

電話がまだ
うつくしかった季節に
よく靴を磨いた

あなたが街にいない

フラミンゴで過ごす

帰り道
私の名前で野良猫を呼ぶ

やかんの
ピーと鳴くやつを無くした
一人で泣きたかったんだろう

神様をずっと探している
手のひらで豆腐を切るのが
怖かったあの頃から

平和のため、
髪をとく音を録音する

登らなかった木はない公園の前を
好きでもない人と通り過ぎる

信頼の代わりに居座ってる金魚

老星赤く
暗い冷蔵庫に
卵

病床の友よ、
君は
あの積乱雲の中にいるんだろう

あじさいの森へ帰ってゆく
水色のランドセル

ポケットの中の穴に
ひとさし指を差し込む
解決ではない方法で
かなしみを塞ぐ

アルマイトの薬缶
みたいな用務員さんが
引き受けてくれてた
いきものたちの死

プレハブの灯りが消えて
猛暑日の
見知らぬ誰かの
仕事が終わる

湿った木の床
鼻を押し付けた膝小僧の匂い
ちくちくする肌着みたいな
先生の声

うさぎを抱いて
６になる
明日の雨の匂いで
眠りに落ちる

コンクリート壁のアパートの
洞窟みたいな廊下に
朝顔と猫と
鍵を忘れた子ども

明るくも暗くもない霧雨の日々
夜　目を瞑り
朝　ひらく
花を真似て
生きている

こんなに地球は
広いのに
小さな曲がり角で
ぶつかりそうになる

はなむけの言葉の匂い
髪の毛をかき上げながら
嘘をつく人

はつねつとはつなつくらい
似ていたの
黒髪にした君と孤独は

だからって何もそんなに
怒ることないんじゃないのと吹く
ハーモニカ

お米研ぎながら泣いてる母の背に
ごめんなさいと張り紙を貼る

壊れかけのラジオが祖母と
会話する

美しい水溜りをつくるために
心に小さな窪みをさがす

白米はひだりとずっと教えられ
はじめてみぎに置いて食べた日

銀河にも浅瀬はあってくるぶしを
浸せば
すぐに明けてくる波

前から出る切符を
取り忘れたかった日

目の前のいじめは制止しないのに
ご冥福は祈るんだ
そっか

人生で一番髪の長い今夜は
月明かりの下で
編みものをすると　決めた

ペンを落としましたよ
と　教えられないくらい
疲れてしまった

枯れ草の
ごみ袋八つ出した朝
清掃車の音
確認にゆく母

影に降る花を踏んだら影踏みが
はじまって泡立つ夏の声

見渡してそれが海だとわかるまで
てのひらの羽根みたいなふるえ

たりない、と花弁みたいに笑う
君がふっとくずした体育座り

書き留めたらそれっきりもう
思い出としてのかなしみ
君は、かなしみ

夜明けの
波打ち際の
小さな貝殻―それは
海を翻訳する

言葉はいつも　手のひらを
離してゆくための折り目だった

ねずみ　が
うごく
　　　　（夜を濃くするために）

深夜
密集した髪の毛が　文字になって
　ほどかれる

草っ原
好きなうた一つ

毛細血管を巡るように
慎重に眠りながら
大学に行き、
帰る

県境の河川にかかる陸橋を
くぐるときみじかい夢をみる

胡蝶蘭
あなたは主人公だから
シートベルトを外せずにいる

猫に近づく人の遅さと
逃げていく猫の速さは
地球っぽいな

一粒のサプリを信用して飲んで
今日は心の底から笑える

ほぼジュースみたいなお酒
ばかり飲む
わたしの部屋の二十歳の感じ

先生の伸び伸びとした朗読を聞く
海中で見上げながら聴く

羽化しそこなった蝉
蹴りながら歩く
十八センチの運動靴たち

Wi-Fiが藪蚊みたいに
飛び交って
キャラメルラテに
音たてて落ちた

今朝までは住人がいた金魚鉢

僕がまだ言えないでいる事を
右手の水風船が
ぽちゃぽちゃ告げる

『またいつか会おうね』なんて
玉止めの失敗作のような約束

雷の国に生まれた少女から
目は打楽器と教わって、夏

水を出しっぱなしのキッチン
真夜中の私が溶けるためだけの水

しゃらしゃらと歩く先生、
「きよら」って、
そのネックレスが揺れている音？

駅のホームは
頭の黒で沸騰している
切符を落とさぬように握る

物干し竿のワイシャツが
歓喜している早朝
風が庭木をじゃぶじゃぶ洗う

電車去って

日曜が戻る
線路沿いの風を重たくする
ナガミヒナゲシの静かな性欲

蛹「わたし昔は
天文学者になりたかったの」

かき氷徒歩圏内がぜんぶ晴れ

図書室の隅から見える空のことを
知らない君に
いくら虐められたって

熱帯夜　
選ばなかった道に立つ
わたくしが手をいっせいに振る

筆圧が無に溶けてゆく５限目に
やがてわたしが訪れる森

終末の各駅列車の乗客は
たったひとりの茜色です

海風にちらばる白の正しさに
ひらかれていくわたしを見てて

夕空を
走り切るころにはもう枯生　
だけど、でも、
喜ぶちからをください

泣いたって仕方ないだろ
あやめぐさ

凸凹な道で告白茄子の花

君の名をネット検索してみたら
別人がピアニストと出て五曲聴く

蛇苺引いたカードで指を切る

改札に挟まっているうちに　夏だ

白線を選んで歩く
夏至の少年

午前０時　
どうしても真ん中が
見つけられない

海馬をなぞる月下香の指先

追熟の桃いさぎよく剥かれたい

重ければ重いほど羊羹の意味

濃い色の爪は夜涼に溶けやすい

火葬場を振り向けば万緑

絵日記に横一閃の夏の海

祭より遠ざかるほど下駄鳴らし

裏路地に撒く撒菱と天の川

遠雷にぶらんこ乗りの耳朶の揺れ

星合の夜の窓辺に深爪する

盂蘭盆（うらぼんえ）
慣わしのごと来る雷雨

驟（はし）り雨小籠包に舌を焼く

片眼閉じプレパラートに視る銀河

白む空を見て
振り返れば
まだ夜の空
私、今にいるのね

今夜は星を見に行こう
目玉を冷やすには星灯りって
おばあちゃんが言ってた

シャッターを切ろう
きゅうりの切り口だって
ずっと覚えていたい祈り

みどりの夜水の中より泡上る

うどんみたいに
かなしみをすするよ
わたしの耳奥のだれか

オレンジの雨が降りそそぐ。
原稿用紙の陰に隠れる。

私に構わず笑っていなよ、
世界。

さびしさなんて
褪せた色の駄菓子みたいな顔して

このしずくで
海の色を変えようだなんて
途方もないことに、
命を費やすのだ

青梅と氷砂糖で夏完成

炎天下抜けますペンを握りしめ
一直線上冬の並木へ

力任せに米を研いでた叔母さんの
微かに薄くなった指先

何処まで走ったら潮風が
聞こえなくなるのか
競った
あの街から出たくて

ちょっとした不幸せだけ
酢漬けにし
美味しく食べてゆったりと寝たい

　えいって
　困ったときに飛んでくる
　みずいろのような
　優しいチカラ

　白い麦わら帽子　
　寝ている間に
　もう
　似合わなくなって

　尖れ。少年
　どこまでも
　君はもう
　炭酸も飲める

短夜をチェシャ猫わらう六頁

絡まったカセットテープ後の月

パパママのけんか冷蔵庫は平和

むらさきの朝　
　　　　雪のにおいがするね

駒返る草スタアはしんと暮らす

吾亦紅まもなく骨となる鴉

文化財となった学校蔦かずら

白靴の父と屋上遊園地

クルトンの弾んで花の日のサラダ

夏の雨ばあちやんの踵は固い

炎天に名刺を渡し損ねてる

実家から届いた
いんげんの甘さに
わたし、甘やかされてる

ゆかいなゆのみにゆを
ゆ、ゆ、ゆ
さかなみたいに
くちのさきからねむりました

新しい岩絵具です
珊瑚色
彼のめじりを塗るためだけの

螺旋階段を登ってゆく
巻貝の殻の輪郭に沿って
或いは遺伝子の筋書きに沿って

傷口に修正液を塗りたくる

虚を埋める
芥に溢れた父の家
万年床で添い寝する母の写真

擦りむいた膝に滲んだ夕焼け空
舌で拭えばしんとして
亡き母を呼ぶ

ぶつからなきゃ
音はしないんだ雨だって
書きかけのメール
そっと閉じてしじま

角生えた己の影に水を打つ

オクラを切れば
星形から外れる種
space debris
言い訳ばかり得意

雨よ称賛のように降るな

無理解と
秩序とりんごとダブスタと
言葉にならないものの致死量

不規則な規則の塊
円形の
水槽を回る海月
仲違いした人ばかり思い出す

塵箱の
中に丸めた屑紙の
中に丸めた詩的の作為

ヤマモモの
カラフル爆弾
今日も降る

地の文の語りは
海月の明るさを
季節が
一つしかない土地に形づくる

電話がまだ
うつくしかった季節に
よく靴を磨いた

あなたが街にいない

フラミンゴで過ごす

帰り道
私の名前で野良猫を呼ぶ

一番近い眩しい光は
台所の明かり

神様をずっと探している
手のひらで豆腐を切るのが
怖かったあの頃から

信頼の代わりに居座ってる金魚

遠浅の海に烏を連れてくる

老星赤く
暗い冷蔵庫に
卵

あじさいの森へ帰ってゆく
水色のランドセル

ポケットの中の穴に
ひとさし指を差し込む
解決ではない方法で
かなしみを塞ぐ

アルマイトの薬缶
みたいな用務員さんが
引き受けてくれてた
いきものたちの死

声の小さい私の側に
そない言わんといたって
って言ってくれる
祖母がいたこと

湿った木の床
鼻を押し付けた膝小僧の匂い
ちくちくする肌着みたいな
先生の声

姿を見られた妖怪
みたいな顔で振り向き
リップクリームを棚に戻した
近所の子

足のつかないプールに入ってく
みたいな夏休み初日

あの夏の日のことを
正確に思い出すには
三ツ矢サイダーで
なければならない

母の
昨日と同じ話を
昨日と同じように
新鮮っぽく聞く

はなむけの言葉の匂い
髪の毛をかき上げながら
嘘をつく人

はつねつとはつなつくらい
似ていたの
黒髪にした君と孤独は

あの夏のブルーシートは
眩しくて
母の玉子焼きは
太陽の下で
何より輝いていた

だからって何もそんなに
怒ることないんじゃないのと吹く
ハーモニカ

お米研ぎながら泣いてる母の背に
ごめんなさいと張り紙を貼る

上半身はだかでベランダに出れば
齧った林檎の歯型が白い

祖父がいた部屋の匂いを思い出す
畳にたばこ
そして、竜胆

今日は木漏れ日がころころ
弾むから
読書は二ページくらいにしておく

火の消えたマッチのように
キッチンで俯いたまま動かない母

どこからが風のはじまりで
どこまでが風の終わりだろうか
青春　

美しい水溜りをつくるために
心に小さな窪みをさがす

銀河にも浅瀬はあってくるぶしを
浸せば
すぐに明けてくる波

おやすみが別れの言葉になる夜も
微糖の缶コーヒーは甘くて

息継ぎを忘れたみたいに
平日の鮮魚売り場でうなだれる父

静けさが追いかけてくる
火葬場に向かう
道の　途中で

目の前のいじめは制止しないのに
ご冥福は祈るんだ
そっか

線路から陽炎のにおい

自然様が人間ごときの
一人の人間ごときの心情を
表してるもんかバカタレ

蛍やプランクトンが
もっと
世界を照らしてくれたら
いいのにな

人生で一番髪の長い今夜は
月明かりの下で
編みものをすると　決めた

影の濃さはみんな同じはずなのに
バイアスかかってるわたしたち

ミミズ腫れが疼く本日
愛犬の
子熊のような足を思い出す

産んだら育てるのは
当たり前
未熟な頑固者なので
ありがとう　は
言えない

ペンを落としましたよ
と　教えられないくらい
疲れてしまった

若者言葉
意味が分からない
でなく
流行ったことを知らない
–遠くまで来ました

枯れ草の
ごみ袋八つ出した朝
清掃車の音
確認にゆく母

影に降る花を踏んだら影踏みが
はじまって泡立つ夏の声

たりない、と花弁みたいに笑う
君がふっとくずした体育座り

月曜が月曜であることの方が
大切だったころの紫陽花

書き留めたらそれっきりもう
思い出としてのかなしみ
君は、かなしみ

全人類は
自販機と
自販機の
　　　　間に住んでいる

ごめんなさいをスープが見てる
ごめんなさいのスープが見える

ねずみ　が
うごく
　　　　（夜を濃くするために）

毛細血管を巡るように
慎重に眠りながら
大学に行き、
帰る

満月に明日が吸い込まれて
煙草

　　　　が
　　光る

CMに悪臭のシンボルとして
サラリーマンと野球少年

菓子パンは
いただきますを言わなくて
いいからすこし気が楽だった

猫となら見知らぬ猫とも歩けるよ
渋谷で感じる冬のはじまり

ほぼジュースみたいなお酒
ばかり飲む
わたしの部屋の二十歳の感じ

求めてもいない小さな願いまで
叶えてくれる人のまぶしさ

宗教の話題を避けて曇り空
君の信じる神が苦手だ

明日から涙に税を課すけれど
誰も泣き止まないような国

自殺はね、
急に来るのよ、春みたい
あなたもあるでしょ
ふと空をみること

朝焼けはいちごの味が
するらしい
少女は母を信じて眠る

三つ編みのできるようになった夏

前髪に付いた塩素のにおいさえ
萩が咲く頃、剥がれるだろう

僕がまだ言えないでいる事を
右手の水風船が
ぽちゃぽちゃ告げる

｢死にたい」
をかき消す蝉の声を浴び
麦わら帽子を君に被せた

眠りたくなくて揺蕩う
たゆたってたゆたたゆたう
たゆたったった

何もかも教室に捨て置いた
窓の向こうで雲が弾けてたから

鎮まった寮部屋はぬく水に満ちて
鼓動の波が
一律化する
皆、梟の寝息をきく

駅のホームは
頭の黒で沸騰している
切符を落とさぬように握る

物干し竿のワイシャツが
歓喜している早朝
風が庭木をじゃぶじゃぶ洗う

電車去って

日曜が戻る
線路沿いの風を重たくする
ナガミヒナゲシの静かな性欲

貨物列車の警笛も呑み込んで
西空の地層が終極していく

靴底だけが確かなんだ

蛹「わたし昔は
天文学者になりたかったの」

かき氷徒歩圏内がぜんぶ晴れ

実家、窓、アジフライ、
という夢日記

走ったから泡立つ麦茶だったんだ

紅をさすみたいに
朱色をのせている
水彩で描く三陸鉄道

携帯と印鑑と研究室の鍵
ぼくの全部右ポケットにある

熱帯夜　
選ばなかった道に立つ
わたくしが手をいっせいに振る

噴水がきみの代わりを務めます
そのとき海は傾いていた

朝方の透明に近い海色の
シーツをバッと伸ばすおはよう

by me。
あなたがそばを規定して
従うだけの木漏れ日になる

日時計になってしまった
ヴォルヴィック、
あなたになってしまう風の祖

テラリウム　
気泡ばかりが立ちのぼる
朝に火葬をえらぶ指先

泣いたって仕方ないだろ
あやめぐさ

コンクリに絨毯みたく寝る子猫
そのまま地球にプリントされる

コーヒーの好きなあなたへ
ていねいに
挽く豆の音　窓の外の雨

白線を選んで歩く
夏至の少年

缶酎ハイと影の縁
雲で明るい夜の空
ヘリオトロープと瞼の疹
死際じみた夜の空

どうしても
メモは落書きになっていく
あたしが生きてる証のように

追熟の桃いさぎよく剥かれたい

洞窟の壁画は秋の願い事

濃い色の爪は夜涼に溶けやすい

二重丸がへたくそで海の日

ノウゼンカズラのたうつ
納屋は磨りガラス

臍の緒はひなびて宝夏の果

ハンモック化石になれる形して

完璧であるべき母に汗疹など

裏路地に撒く撒菱と天の川

道なりにつまりまっすぐ麦の秋

日傘してしない人らを追い越して

日曜に野菜をつつむ新聞紙
歌壇俳壇しわくちゃに

あだ名禁止
呼び方どうする　先生の

炎天に独身寮の避雷針

雷去ってまだキオスクに売る仁丹

七夕の牛鞣してる老ピノキオ

迅雷に戸棚の中のウォッカ瓶

雷鳴つて鎧戸軋む人形館

蛍籠吊る五寸釘闇に打つ

驟（はし）り雨小籠包に舌を焼く

エアコンの冷たい空気の方が
寂しい
人工甘味料の余韻のなさと同じ

眠れない夜に考える
明日の朝の計画は
不恰好なおにぎり
寝坊したから具はなし

今夜は星を見に行こう
目玉を冷やすには星灯りって
おばあちゃんが言ってた

シャッターを切ろう
きゅうりの切り口だって
ずっと覚えていたい祈り

まだ忘れないよ
あなたの鼻歌
初夏の風とひかり

掃除して
スノードームをひつくり返して

みどりの夜水の中より泡上る

光りを弾く仕様なの
瞳は幾重にも闇を記憶して

球体の景色に歪みのない空よ

うどんみたいに
かなしみをすするよ
わたしの耳奥のだれか

見上げれば
背骨のように光る雲、
勇気が私を貫いていく

私に構わず笑っていなよ、
世界。

さびしさなんて
褪せた色の駄菓子みたいな顔して

竹やぶ

ぽしゃぽしゃ
かがやいて
かるい

詩みたいな人は詩を書かない

熱帯のきっとどこかにある氷

芸人になりたいと言ったあいつは
陶芸教室の先生になった
口語詩句を始めた

黙っていても糸蜻蛉安らぐ

気をつけていても踏む蚯蚓、謝る

プラ製の容器を洗って捨てる朝
トマトソースに似た色の蝶

何処まで走ったら潮風が
聞こえなくなるのか
競った
あの街から出たくて

暖かいぬいぐるみ抱いて眠る
大人になんてなりたくなかった

もう生えて来ない朝顔の鉢を
持って帰った
私に似ていて

制服があれば
それなりには見える
趣味は辞典を集めることです

　猫の友達は
　たぶん
　絵を書いている
　長い毛を揺らしながら

　優しい猫の茶々
　今日も
　あくびが
　かわいい

　小さなマティス　
　元気か
　いつでも君を
　思っている

　地球の裏側まで
　散歩してきた猫は
　恋をしに
　戻ってきた

　雨雲が垂れ込めた　
　ような顔を＿
　した犬
　おかえり
　

　五メートル先
　からわかる
　好きな人の気配
　おひさまのにおい

　君がさ
　またたびを
　無駄に使うから
　猫　飼い主だと
　思ってる

　ずっと誰かに
　呼ばれてる気が
　してたけど
　あんたかね？

　尖れ。少年
　どこまでも
　君はもう
　炭酸も飲める

　チャーハンで妥協。

冬珊瑚姉の覚えたての化粧