アンパンマン
ＶＳ
イースト菌

夕焼け

  心心心
心心心  がデカすぎ
  心心心

「泣ける」って
検索かけて泣こうとする
虫の方が
上手ね
かなしみ

堤防に
ふたりで腰掛け海を見る
何処までが
幻なのかな
世界は

海岸できみをすかさず
抱きしめて
短歌のようにうまくいったら

まるで銀河棺の中の白菊は

白い菊母の匂いのしない母

消印の薄い恋文白い菊

鬼のまま
誰も見つからない
かくれんぼ
ＰＴＡ地区委員
改選の憂鬱

マウマウマウアムムウガガガ
寝言犬
何か我が家の待遇に不満か

明日に備えて
寝たいわたし
家族は大音量で
ドラマの最終回を見てる
千倍返しだ

はじめてのあん肝を
食べた娘が一言
「お父さん、
　またこのお店にこようね」

帰りたい

って思うんだよね
自分の家のリビングで、
ひとり

失ってはじめて気づけ

アゲハひらひら青空を切る

駅のホームの鏡
自殺予防なんだって
ぼんやりとうつっている自分

気の抜けた炭酸が好き
ふぅんという
気の抜けたその返事も好き

人波の戻った駅で溺れ死ぬ

放たれた車窓
パンデミックが取り戻した風

手紙書くよ
ポストが寂しそうだから

名作の味がするねと紙魚が言う

走っても夕陽に先越される帰路

右左、右ってどっち？　　吹雪

　と
とまと
　と

病巣再燃の疑いあり
先生
なんちゃって、
とか言ってくんないかな
くんないか

本人が
受け入れるより他無いことを
やたら可哀想がるんは
突き放すんと同じ

マークシートの解答欄が
一マスずれて
全問不正解になる
みたいな、出会い。

ホットケーキみたいに
こんがり日に焼けた子は
たまごの匂いがする

心臓に内側から揺さぶられ
動けなくなる
洗濯機なら原因は
詰め込み過ぎか
偏り

自分の年を母に確かめる父と
間違える母
正解発表ののち
味噌汁の麩を食む私

コロナで
本当に大切な物が見えてきた
なんて本当なのかな

星降る夜は外へ出たら危ないよ
何しろ
星が降ってくるんだからね

ちいさなこどもが
駄菓子売り場で
なつかしい、という

心のなかに
ひとりぼっちになるための箱
が
ある

君のぶ厚い手のひらが好き
それはもう、
カステラの
ザラメのとこよりも好き

水は　やさしい
水は　おいしい
そして
水は　おそろしい

反面教師は難しい
気づけば
マネしている
自分

大人の希望は
雨が
庭に水をまかなくて
いいくらいの量
降ってくれること

告白をするには月が大きすぎる

三日月は二人が座るには狭い

何度書いても
届くはずない君への手紙
だって
書いては捨ててるんだもん

運命に逆らい生きて来たけれど
逃れられない君と出会った

君が好きな
パイナップル一切れ残る皿
僕に差し出す
まるで大切な人質のように

多重人格のわたしが書く詩には
やっぱり
個性が無い

待ち合わせに
遅れてやってきたのは
あなたではなく
薄紫色の朝でした

好き、嫌い、好き、嫌い
好き、嫌い、好き
嫌い、好き
嫌い、
次の花ちょうだい

恋はふとした時に外れる知恵の輪

昨日は
どしゃ降りの雨でした。
・・・・・・
いいえ、
わたしの心のことです。

P.S.
を書くための
貴方への長い長い手紙を書いた。

西日射す校舎の裏　告白未遂

見上げればカシオペア
愛しの真知子ちゃんの


M

TSUTAYAで
恋をレンタルしたら
７泊８日でいくらだろう

十字架のような寝相 蘇る私の心

人の命が軽々しく奪われる日常
銀のスプーンの重さに気づく私

裸足でゴキブリを踏む勇気に
勝る勇気をわたしは知らない

指先に蝶を一匹閉じ込めて
バタフライ・エフェクトを
妄想する女子高生

冷蔵庫を閉める音が
妻の機嫌のバロメーター

この世界のどこかに昇る朝日で
わたしは覚悟の檸檬を搾る

致死量の恋を食べてしまった私
ワクチンは貴方の愛しかないの

恋とリンゴは
時期が来れば落ちるもの
落ちれば傷つく事もある

枕元で聞こえる魔法の音
水と氷のカランコロン
冷えピタではない母の愛

幸せを考える時
たどり着くのはいつも
ありふれた答えなのに

三十五文字のロケットで
僕らは宇宙の彼方
アンドロメダまで瞬間移動

読みかけの小説を
開いたまま机に伏せたら
「人」になりました

今年いっぱい留守にします。



神より

遺伝子レベルで寂しい夜は
細胞レベルの慰めは効かない

生まれたての希望と
生まれたての絶望は
一卵性双生児

人生なんて
ないものねだりで十分
だってあるものをねだっても
仕方ないから

三人寄れば文殊の知恵
百人寄れば猿の知恵

台風みたいな破壊力の
恋愛ばかりしてきたけれど
最近はそよ風よ

「おかえりんご」と言う妻
「ただいマンゴー」と
言わない夫

言葉自体に意味はないこと
インコが証明してくれた

憂鬱はそこら中にいて
僕らが縄張りを
侵したのかもしれない

まだ終わらない
二十年前の夏休みの宿題

世の中を斜めに見る
おっさんが
エスカレーターの下で
のぞき見の罪に問われる

「おれ実は、未来がわかる」

「じゃあ明日の天気教えて、
洗濯したい」

高いところが怖いのは
落ちるからではなく
太陽に近いから

扇風機で宇宙人になれるのは
子どものときだけの特権

今日からは一人暮らしだ！
楽しいな


あれ、ぬいぐるみの
位置がずれてる

懐かしの光を追って飛び込めば
そこは深海　わたしの故郷

「最近のスマホはすごい」
とおばあちゃん
それはリモコン、こっちがスマホ

学生のシンデレラは
課題提出時刻の
午前零時に遅れると
魔法が解けて留年する

わたしの記憶では
鉛筆は削ると長くなる

電話しながら月を見る
勇気を出して
「月が綺麗ですね」

「死んでもいいわ」

夏だから
鳴いてるわけじゃない
と蝉

悪魔との契約？
あぁそう。
どの悪魔と契約するか
ちゃんと見定めなよ？

夜の雷の瞬きに
シャッターを押したなら
太陽のない昼が映るだろうか

僕らの時計も地球を出れば
ただの数字の羅列だね

人がぎゅうぎゅう沢山いるのに
バスの鼓動しか聞こえない

歴史を勉強してると
「私は何様視点なんだよ」って
思う時がある

蜘蛛の家を壊しても
被害者ヅラするのは
いつも人間で

昨日捨てた時間に仕返しされる

完全下校時刻を過ぎたら
学校は消えて
コンクリートのかたまりに変わる

この人の追い風が
あの人の向い風

人体模型怖がるくせに
恐竜の化石はロマンと言う

証明写真の外側が
本当の自分だけど

確かに言葉には重さがある
喋れば喋るほど、
じぶんがかるくなっていくから

窓を叩く雨があまりに
入れて欲しそうな顔するんだもの

夜が明ける希望
朝が来る絶望

雷鳴迫る中
画面越しのインターン

強情な髪の毛
私にも重力にも逆らう

ちょっとドキドキする
芯がつっかえた
ホッチキス

昨日と同じ服
君と二人で
朝一の授業に出た

今が一番幸せ

順番なんかつけて

漫画のようにはいかねぇな

漫画の中でそれを言うなよ

映画のような恋がしたい？
そんなものは滅多にないから
映画があるんだよ

羊が１匹、羊が２匹
羊が３匹、父、母
妹、弟、祖母
　眠れない
上京の夜行バス

吾輩は金である。
名前はマダイ。

飽きるまで罪悪感を舐め回す

閉じかけた
朝顔の花の色の濃く
いつでも
死んだ人ばかり思う

誰かを呼ぶ
烏の声に目が覚めて
一人で生きていけちゃう寂しさ

死、ばかり考えている
柔らかな毛布を出した
秋の入り口

褒められたい
だけだった
母の遺影へと
飾るすすきの大きなふくらみ

秋の虫
悲鳴のように鳴く声を
聞きつつ眠る
母が死んだ部屋

「泣ける」って
検索かけて泣こうとする
虫の方が
上手ね
かなしみ

漆へと貝殻を貼る
手のように

夜に貼り出す
詩の螺鈿光

母の夢は
声を忘れてしまってて
思い出せずに
茹でるソーセージ

堤防に
ふたりで腰掛け海を見る
何処までが
幻なのかな
世界は

好き嫌いの
間ばかりが世にあって
色とりどりな
学生の傘

私への
理想を勝手に決めつけて
薔薇のソースは
美味しくはない

星がきれい
だったところで愛せない

前髪の濡れた子の背後に
広い雲の群れ

眠れない夜の風のために
敷かれた道いつも雪が降っている

捨てられた屈託を集めて売り捌く
そんな稼ぎで朝顔を買う

知らない人の知らない人
であるところの私
列車はかすかに揺れている

懸命に生きる
外来種と呼ばれる魚

白い菊母の匂いのしない母

思春期の入り口に立つ
五年生　娘はウフフと
笑うようになり

会社に曳航されて
辿り着いた街で
筏に乗せられ
救命胴衣もなく
漂う家族と犬

家を出る
空の青さにせがまれて

行き場をなくした言葉を
カフェインでひたひたにする

帰りたい

って思うんだよね
自分の家のリビングで、
ひとり

私が空へ跳ぶたびに
蹴り上げられる地球

今日だけのつもりで生きてきて
日めくりの
暦の束のように立てない

囚われているのは
私のほうだったのです

包んで
てのひらは夜

感性、この割れた爪のことか

電源を切っても
赤いランプのついたテレビ
そんな感じの朝早く

駅のホームの鏡
自殺予防なんだって
ぼんやりとうつっている自分

空き缶を捨てるみたいに手を離す

此岸でさ
おはぎを作って待つからさ
彼岸の花ととっかえっこしよう

放たれた車窓
パンデミックが取り戻した風

叶わない恋に絶望した星が
地に身投げしたのが金平糖

セリフめく母の告白　　遠雷

遠雷よ水子は兄か姉か

窓ガラス拭くほどにくもる

送り火は骨焼けるかに鳴いている

草いきれ父が喪服の重いこと

授業中
窓ガラスを割ったら
みんな笑った

牧歌
君から見えない位置に
心のカケラをいくつも隠す

母を叱る

謝ることが
山ほどあるのに

溶かしバターみたいな声
しかも有塩のほう

植木市の地味な鉢植え
二つも買うてしもたと
祖母笑い
がま口の銀の鈴が鳴る

私が
襟巻きみたいに彼に巻きつくと
彼はなぜか
伊能忠敬の話を聞かせてくれた

トンネルに迷い込んだ蝶
一方向へ高速で流れる時を
ふにゃりと
たわませ彷徨う

目覚めた枕元の
すりおろし林檎
わたしの病を
吸い取ったような茶色

シリアルに豆乳をそそぐ
手にさす薄い光
はぐれてゆく夏の気配

つい履いて出かけた
サンダルが
九月の雨に濡れる

マークシートの解答欄が
一マスずれて
全問不正解になる
みたいな、出会い。

いま吸い取られつつある
私の血について
あとで赤の他人から
説明をうける

小豆色の電車が走り抜け
踏切の音が止んだら
線路のむこうはもう
秋でした

裁縫箱の片隅の
レースの切れ端
秋の曇り空または
シジミチョウと同じ
淡い藤色

嘘のしっぽ
見なかったふりして
ミルクティーのんだら
あたしのしっぽが揺れた

知らなかった

父の土産が
毎回みたらし団子だったのは
私の好物と思ってたから

朝起きて
冷蔵庫の檸檬の黄色で目を覚ます

ずんずん行ってしまう母の
アキレス腱が見えるほど
短かった靴下

心のなかに
ひとりぼっちになるための箱
が
ある

ぷぷ　ぴ　ドゥ　
で
人参を切る

本当に正しいかどうかはさておき
正しいっぽい
っていう空気が
一番強い

祖母がわたしの存在を忘れたのは
焼き栗をむいていた時だけ

わからないことを
わかったことにしないで
わからないまま
しまっておく箱

山影の上に
飛行機がまっすぐ雲を引いてゆく
あの世とこの世を
わけるみたいに

私を起こした犬はもう
寝てしまった
冷蔵庫の音を聴く
真夜中の真ん中で
独り

君のぶ厚い手のひらが好き
それはもう、
カステラの
ザラメのとこよりも好き

虫籠に風とじこめておくことも

ビーカーに星の明りをためておく

三日月は二人が座るには狭い

解けた靴紐を結び直す時
願い事をひとつ
唱えるようにしてるんだ

光より先にあるのはいつも

照らされる暗闇

夏の空へ放ったさよならを
秋風が律儀に運んできた朝

ピノあげるからさ
自転車の後ろ乗りなよ
月まで0.6往復しようぜ

秋のボリュームが
徐々に大きくなる
スピーカーみたいな空

もうそろそろ誰か
恋愛を超える発明してくれないか

この世界のどこかに昇る朝日で
わたしは覚悟の檸檬を搾る

蝶々結びのように
可愛く黙秘する私

八つ折りにしていた
空の地図を広げたような空

夜空に向けたストローで
北極星を狙ってる
最後のタピオカ吸うように

僕たちは忘れる
この駐車場が昔、何だったかを

「おかえりんご」と言う妻
「ただいマンゴー」と
言わない夫

もうなにも要らないと
おもった
せっけんの香りに
ぼくはあとずさり

またたくま
見慣れたきのう
盗まれて
終電のない
新世界きた

言葉自体に意味はないこと
インコが証明してくれた

稲穂
項垂れて
巨人の足跡

憂鬱はそこら中にいて
僕らが縄張りを
侵したのかもしれない

七色と教えられてから
七色になってしまった
僕の虹

まだ終わらない
二十年前の夏休みの宿題

よく見て
針の先は丸い

金色、土色、緑色
カードを繰るのは
秋の陽差しとコンバイン

鼻の奥
潮の匂いが残ってる
わたしの街に海はないのに

この世の全ての人は
わたしの生まれ変わりで
構成されています

過去を描こう。
それは未来を
選び取ることだから。

「おはよう」の
タイミングのがして
放課後まで引き摺る

蜘蛛の家を壊しても
被害者ヅラするのは
いつも人間で

完全下校時刻を過ぎたら
学校は消えて
コンクリートのかたまりに変わる

証明写真の外側が
本当の自分だけど

確かに言葉には重さがある
喋れば喋るほど、
じぶんがかるくなっていくから

その言葉
きりりと張って
ひび割れた

去年死んだともだちの顔が
思い出せなくなって、
彼は死んだ

駅からの帰り道
一定に保たれた
父との距離

「ちょっと借りるね」
戻ってきたえんぴつは
魔法の杖になりました

小さくなった公園で
食べた歳を吐きたい

羊が１匹、羊が２匹
羊が３匹、父、母
妹、弟、祖母
　眠れない
上京の夜行バス

駐車場のでかい水たまりに映る
夏のはじめのマツモトキヨシ

帰りたい

って思うんだよね
自分の家のリビングで、
ひとり

遠くから来た封筒ひとつ
測りしれないその重さ

豆苗の生命力に負ける俺

扇風機風の届かぬ椅子に我

告白をするには月が大きすぎる

夜空に向けたストローで
北極星を狙ってる
最後のタピオカ吸うように

セラフィン一枚
とろけそうな
お菓子をあげる
長い呪文がもし言えたなら

もうなにも要らないと
おもった
せっけんの香りに
ぼくはあとずさり

俺　という電車が
定刻どうり
ふざけんな　と
線路に石を並べた

知ってる？
イルカって触ると
茄子みたいなんだよ

私が雨宿りしてるこの木に
誰が傘をさしてくれるのだろうか

赤ちゃんが
ぐへへぐへへと泣いた
ちゃんと泣いた

まんまるく
膨らんでいるスズメたち
青いお酒を少しずつ飲む

閉じかけた
朝顔の花の色の濃く
いつでも
死んだ人ばかり思う

四階の
私の足元まで全部
染まって
わたしも夕焼けになる

誰かを呼ぶ
烏の声に目が覚めて
一人で生きていけちゃう寂しさ

死、ばかり考えている
柔らかな毛布を出した
秋の入り口

褒められたい
だけだった
母の遺影へと
飾るすすきの大きなふくらみ

秋の虫
悲鳴のように鳴く声を
聞きつつ眠る
母が死んだ部屋

漆へと貝殻を貼る
手のように

夜に貼り出す
詩の螺鈿光

母の夢は
声を忘れてしまってて
思い出せずに
茹でるソーセージ

雨上がりの
心臓ぎゅっとなる匂い
ずっと迷子のような気がして

君の死を
聞いて眺めた夜の海
漁船の光が
遠ざかってゆく

「魂」が卒論テーマだった

いまは
海月が一番
近い気がして

好き嫌いの
間ばかりが世にあって
色とりどりな
学生の傘

オレンジを
紅茶で薄めた色をして
夕陽は背中に少し酸っぱい

駐車場のでかい水たまりに映る
夏のはじめのマツモトキヨシ

アイスコーヒー
秩父で野宿した話

父に子猫の名前を聞いてみる

眠れない夜の風のために
敷かれた道いつも雪が降っている

捨てられた屈託を集めて売り捌く
そんな稼ぎで朝顔を買う

知らない人の知らない人
であるところの私
列車はかすかに揺れている

懸命に生きる
外来種と呼ばれる魚

まるで銀河棺の中の白菊は

白い菊母の匂いのしない母

ひび割れて叫び出したい
この気持ちを
柔らかな犬を抱くことで
踏み止まる

十年前は赤ん坊がいた
二十年前は失恋してた
三十年前は長縄してた

はじめてのあん肝を
食べた娘が一言
「お父さん、
　またこのお店にこようね」

文理類型選択
文系不要論が
語られる時代
学問なき実学

家を出る
空の青さにせがまれて

行き場をなくした言葉を
カフェインでひたひたにする

帰りたい

って思うんだよね
自分の家のリビングで、
ひとり

失ってはじめて気づけ

アゲハひらひら青空を切る

囚われているのは
私のほうだったのです

包んで
てのひらは夜

駅のホームの鏡
自殺予防なんだって
ぼんやりとうつっている自分

やさしい言葉だけあげる
金魚に餌をやるように

吃る身体の内側には
豊かな水源がある。

コンビニ前
サワガニの死骸照らされて

海の見える場所に
引っ越ししましたよ


君にはどこか教えませんが

湯豆腐だけが
私に優しい夜

本当はここは誰かの見る夢で
君も朝には溶けちゃうんだよ

焼きそばの皿に胎児のようなえび

遠雷よ水子は兄か姉か

窓ガラス拭くほどにくもる

甥っ子に死を説明する

いい夕日だから真っ暗になるまで
影で犬をつくってあそぼう

毎日が現状維持でもいいからさ
今日のごはんは何が食べたい？

　と
とまと
　と

牧歌
君から見えない位置に
心のカケラをいくつも隠す

母を叱る

謝ることが
山ほどあるのに

この星に
わたしを
閉じ込めるみたいに
雨が降る

目覚めた枕元の
すりおろし林檎
わたしの病を
吸い取ったような茶色

シリアルに豆乳をそそぐ
手にさす薄い光
はぐれてゆく夏の気配