さら咲く黒髪の
花のみつが削る氷枕
2020年度奨学生
- 奨学生
- 村上 陽香
- 17歳
- 立命館慶祥高等学校
- 北海道北広島市
- 奨学生
- 長谷川 瑶太
- 17歳
- 宮城県加美郡
- 奨学生
- 宮口 紗久野
- 17歳
- 広島県立広島国泰寺高等学校
- 広島県広島市
- 奨学生
- 青野 椰子
- 22歳
- 東京都小平市
- 奨学生
- 綾部 花奈
- 22歳
- 東京都西東京市
わたしたち陶器みたいに遺族です
犬ではない。
半透明じゃないからね
よろこんで棺に顔を刺繍する
あんみつを額に乗せて悲しそう
「先方が不死身になればいい話」
- 奨学生
- 郡司 和斗
- 21歳
- 茨城県東茨城郡
- 奨学生
- 林 佑奈
- 21歳
- 北海道札幌市
眠らないままでここが海という
噂
電信柱果てて
ここから星の街
地球儀は丸すぎて嫌ソーダ水
動かない身体
どうやら冬桜
日々のほとり
まだ眠りから覚めないで
- 奨学生
- 阿部 圭吾
- 21歳
- 早稲田大学文化構想学部
- 千葉県市
- 奨学生
- 眞鍋 せいら
- 23歳
- 東京都品川区
- 奨学生
- 金澤 春栞
- 17歳
- 茨城県結城市
- 奨学生
- 鈴木 浩介
- 21歳
- 群馬県太田市
- 奨学生
- 奥村 俊哉
- 20歳
- 宮城県仙台市
ニューロンに錆び付く秋思夜夜夜
月光は故郷への道タオル干す
散る花の裏も表も死にたてで
林檎は甘煮され透き通って従順
この町に
「時間」はなくてただ吹雪く
- 奨学生
- 辻 在穂
- 23歳
- 京都府京都市
火でも沸く電気でも沸く水 無傷
水でみたすための器でない体
塩舐めて海になる 体は眠ってる
パキラが
水を吸ってくれて
助かる
くるぶしまでしか
海を知らない
- 奨学生
- 田中 里奈
- 18歳
- 東京都文京区
たまには月が嘘ついて
間違った帰り道を
照らしてくれてもいいのにな
「おはよう」で
心が浮いて
私はリニアモーターカーになる
木の間から見える月
風と私が
運命を左右してる
素敵な夜遊び
もうこの気持ちは
沈没船に積もう
地球の正反対の
見ず知らずの海の
私の趣味
あだ名プレゼント
街ゆく人も小鳥も野良犬も
私の世界だけの名前
- 奨学生
- 村井 香音
- 21歳
- 京都府京都市
ねえわたし
不死身なのかもしれないよ
死んでみないとわからないから
この先の
道を曲がれば透明な
犬がいますので可愛がること
寄る辺ない小指の先をつかまえて
エアコンの調節頼んでみせて
安心はいつも枕の中にあって
だきしめたいからうつ伏せで寝る
こんなもの
早くどこかへ捨ててきて
海にも行けない夏のことなど