揺れてやまない中央分離帯の芒
トンネルのオレンジ抜けて君の街
やっぱりあったかいじゃん温室は サボテンの花を嗅ぎあう僕ら
ヒヤシンスに鬱と名付けて 長く咲かす
近道のゲームセンターにも聖樹
光とりどり海月に遠い眩しさを
ざくろどっさり 姉は美人に生き写し
救急車通る キスを止めない君が嫌い
営業車停めてある家 蔦の壁
凍滝や犬ふがふがと臭い息
一日をきちんと生きて眠れない 打粉さらさらパンこねるしか
君の隣で簡単な身体になる ベランダに雪うっすらと
ウィキペディアに 君のページがないなんて!
ベランダで風船ひとつ飼っている
ビー玉を口にころがす時雨かな
花束のうっすら光る君の夜
合鍵を指先に押し当てている
マルボロやきっと 年賀状くださいね
鯛焼屋の前をにこにこして通る
単純労働マスクの下があったかい
鼠たち齧る歯磨き粉も指も
白樺や戦争に来て背が伸びた
ときどきの ファストフードが沁みて雨
猫の子は半年でもう母となる ずっと石橋叩いていたい
選挙ひょいと行く 美術館に秋晴れて蝶
大さじに小さじ重ねて秋の夜
リップずっと 減らない 怖い 曼珠沙華
静物としての林檎を齧ります
死を選ぶにはみっちりの冷蔵庫
フランスの影のきれいな映画かな
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