のり弁の湿った甘いおかかだけ 枯れた芝生に敷き詰めときたい
平和で山田がアガったその時に ミサイルが飛ぶ 音も立てずに
豆球にした部屋で夜眠ったら 夢の中には大きなあんぱん
特売のみかんゼリーの底からは 淋しい爽やかな気分変調
ファミレスのパフェが 関東ローム層にも 似ているし ハゲにも見える
もうちょっと フレキシブルに恋したい ガスト帰りに海寄る感じの
姪っ子の赤い風車は軽く 叔父の頭の薄い毛を薙ぐ
何者にもなれずに渋谷を離れる日 路上で喇叭がとってちってた
消しゴムを落として一言 「拾って」 と言ったあいつの耳は梅色
うどん啜る一人暮らしの真夜中は 裏面の説明書きを読んでる
平成の大合併で消え去った 住所を唱える呆けた我が祖父
そよ風を全身に受け走り出す 生まれたばかりのとねっこの朝
淋しさに突然震え出す君と それを横目にパフェ食う家族
三畳の部屋から風呂屋へ歩く時 減ってしまった月夜を思う
青い目の底で金魚が泳いでる たまご色した光を浴びて
走り出す三寒四温についてゆき 桜並木を通り抜けてく
スカートを翻しても春がある カーテンコールに僕の踊り子
半熟のゆで卵付きモーニング 殻を破れば朝は明るい
砲弾で割れたガラス戸 紅い花 花の布地で 覆うの全部
焼け焦げた ビスクドールの青い目が とろけるように涙を流す
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