全盲の祖父が描いたあの海に 忘れられない青を補う
青空のその時々の不平等 育ちの遅い僕置いて、時代
戦争の跡地に咲いた向日葵の 勝手に意味を背負わされる夏
表層の偽りに疲れたけれど あなたと水面を震わせた夜
六等星の僕を拾った君の、義眼
誰しもが街の一部でありながら 誰を欠いても成立する街
夜明けには天皇陛下になる君を 呼び捨てにした最後のハイウェイ
この街は 意識せずとも要塞で 君の翼の価値を阻むよ
窓ガラスのうつろな瞳の僕たちを 都市の夜景が希釈する、零時
セックスや 高層ビルから見た都市が 海を見ていたあの頃を、希釈
永遠に妊娠できない僕たちは 街中の産声を燃やしたりした
雨宿りと称して並んだバス停で 待つバスのある誰かになりたい
愛しても君と闘争、24時。 インターネットも届かない国
刺青があるのに短歌を詠んでいて 思えば何が「のに」なんだろう
葬式後、 黒装束で飛び出して 街中の嘘を集めにいこうよ
焼け跡から 君を見つけてしまっても 褪せない街のクリスマスイブ
宇宙から君の作ったアルバムを めくれるくらい繊細なんだ
青空をただ凛とゆく飛行機が 不意に劣等感だったりした
信号を青でも待ちたい夜だから きっと生きてて良かった気がする
サブスクに 軍歌が登場して以降 何かが狂い始めた9月
夏風邪か、疎開か、鬱か、動員か なんでもいいけど人は減ってる
給食は日に日に簡素になるけれど 痩せる気配のない指導者たち
戦争が何度も起こる国なのに 生まれた時からあと一機は不利
寒空から 不意に降ってきた肉片で 焼肉代が浮いてよかった
私だけ左に進んだあの夏も 入道雲は高く続いた
斬新さだけでは勝てないと知って 君が晒した胸元のあざ
裁断の途中で気づく 始めから布も鋏も無かったことに
声を上げて泣いてはみたけど この時間じゃ 面接官もきっと寝ている
幾千の雨が不時着するように 不意に街へと降り立つ僕らは
惑星の残像なんだと知って以来 時々嘘をついてくる光
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