叱られた母の似顔絵ところてん
貘なのに犀が好きなの虎が雨
蝙蝠と兄貴の銀玉鉄砲
秋雷に父の隠す酒を隠す
恋人に教えるボタン付葉月
熱帯魚あっちこっちが痒くって
雨蛙プラスチックの皿はぼく
駅前のドライカレーと夏季講座
知りすぎた夏あの人の唇を
散髪の帰り道のグラジオラス
夏雲ぐんぐん楽勝の掛け算
短夜の雨サドルに被すレジ袋
蟇ずっと小雨を夫として
夜光虫もう今日帰れないと思う
ペーロンや朝のなめこ汁つるり
原付のふたり追いかけて夕立
豆飯の豆の密集してるとこ
母さんがひじきご飯すれば五月
麦がうるさいくらい眩しい旅路
贈ろうとしていた薔薇を持ち帰る
買い物に行って来ますと置き手紙 あの文字が母の最後の文字
紫陽花も先生も好き仕方ない
青嵐ちょっと待ったのきかぬキス
鯵を買う青の水性ペン滲む
空が青くてネモフィラの深呼吸
ネモフィラや あなたは優しすぎて暇
燕の巣あります道の駅トイレ
泣かないで はんぶんあげるからバナナ
絶交はなしにしよっかさくらんぼ
メロンあーんすればいいよ みとめなよ
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