十円の価値だけドライヤーをして あとは夜風に乾かす鱗
菜の花の話すことなどなくなって
温室のあそびたりない瓜の花
首筋にあざのきれいな二等星
割り箸の先にわさびをすこし付け そば湯につくるゆるやかな渦
鰭のないぼくのあぶくが破裂する
小腸がはじめてさわる海のすな
おれは悔しくてイ段を軽んずる
お膳立てありがとう白馬の毛並み
心拍のとくんとくんと海の泡
快速の過ぎてあじさいグルービー
存分にかけた餡すら夢なのか
ボストンバックに数日分の貝
苛立ちが虫の目のものまねをする
アルパカの純愛を妨げている
鬣で黒板がみえません
砂時計さかさまにしてから速い
ベーキングパウダーは霧雨の骨
哀しいというのにカサゴ釣り日和
図書室でよく会うひとの眼の水位
愛情を求めるあいだじゅう8℃
俺だって裸族だ服を着ていても
紫陽花に言い負かされて明けの空
鼻をかむ予定で黒いカレンダー
おうし座のあなたは溶接の火花
山菜というから信じたんですよ
独学のせどりによって建てた塔
恋人の拍手笑いに揺れる池
矢印の先に錯乱するわたげ
まばたきの度に栄えて消える国
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類