泣きじゃくりごめんなさいと 泣く母は虐待の母子のように泣く
遠雷は遠く鳴く龍大声で 水神は呼ぶ雨の子どもを
値引き値と以前の定価が同額で 僕は騙されてるんだろうか
幼子は水をこぼしてばかりいる 地球は水の惑星だから
選挙戦戦うように銭湯で 娘は全員に挨拶をする
イヤイヤ期全裸で眠る娘の足に タオル巻きつけ人魚に変える
夢の中で投げかけられた言葉に 未だ胸が騒ついている
迂回路に迂回路暑き日は伸びて
妻の入院した日見た朧月
パパが良いと泣きわめいてそんな 日も園に預けるしかなくて泣く
コンビニにベンツで眠る男いて 成功者とは思えなかった
歩行者を優先自転車停まる夏
五株百円で売られる花がある 一本五万円する花も
果物を割高だけど買って行く お尻の形理想の形
白線を汚す体液金亀虫
積ん読が京都タワーに迫ります 元は木だからジャックが登る
私有地につき通り抜け出来ません させませんでしょ猿山のサル
家マートシーソーベビーカーの夏
力なく転がるマスク夏の風
商店の七夕飾り宇宙塵
このまま誰も迎えが来ないことを 怖れて一人待つ保育園
下の子は気が昂ぶって自傷する 小さなグーをパーで包もう
夕焼けの終わり全てが鎮火した 後群青の空の畑々
雨蛙跳ねて娘もオクターブ
島国の貧しさに耐えわが青田
夏の果昆虫に体温は無し
花柄の傘捨てられし谷崎忌
夏の庭鳩にオーロラ痣残り
五線譜にわが子を抱いて雨蛙
権力を演じることが上手くない 高校演劇部の演出
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