琥珀流し朝から攣ったままの脚
南部鉄器の風鈴だれもいない家
包丁を貸し借りしても涼しい星
逢わないことがふつうになって ポプラ並木に影がある夜
ピアノって冷たい海だって思う
ベネチアングラスの花瓶夏の朝
病院の中にローソン花の雨
玄関を開ければみどり映り出す ピアノがあってキッチンに雨
コンサートホールを出れば夏の月
薔薇の雨シナモンロール温めて
数学と別れて水羊羹を切る
コンタクトレンズを ひとさし指に載せ さわさわ窓に揺れる新緑
二人称としての先生春一番
桜蕊降る自転車を停めていく
透明な水がふりつもった海の 磯巾着に訪れる 夜
ドライヤーの音が聞こえて胡蝶蘭
旅客機として朧夜をやり過ごす
飛行機の来て遠ざかる春の月
美術館のように匂えば春の森
卒業の日の自転車で降りる坂
春満月の近くを飛行機が通り 君たちは着陸しなかった
数学が出来ない君と落ち合って パフェを掬えば 海は快晴
パジャマからパジャマに 着替え夕桜
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