厨房で
末端冷え性
バイト中
ピザの熱気に
負ける胸

一分じゃん
おかげでこっちが風邪ひいた

マヨネーズかけりゃ
なんでもウマくなる
信じて今朝の喧嘩にもマヨ

泣いても ばあちゃん
生き返らなかった

揺れるたびころばないかと
そればかり見やる
市バスの床の大関

予定ない人が集まるクリスマス
寺と神社もみんなで行こう

湯ざめして靴下の跡くっきりと

遺影は
鶯色に塗りつぶす
ワケなんて教えてやんない

中指を立てない白菜が重い

わかるよ、の洪水
くしゃみ
止まらない

桜の木いくつ切られて日本です

夜中にさ空をぼうっとながめるの
ぜいたくってそういうことだよ

不幸せの裏側の幸せ
あなたが見つけて

あなたは強くて
わたしは弱い
今をただ　あじわいつくす

名前なんて要らない
目の前の貴方は貴方でしかない

せいとしがつながったら？
(センシティブな内容)
(表示しますか？)

ひとりひとりが
思い浮かべる夏空の
ひとりにひとつ
おもしろい雲

「「髪型いいね」」
「キャー」
歓喜と悲鳴の共存
セクハラハラでは？

ゆびがほしい
あしをください
かみをきりたい
のぞんでみたい
こえがききたい

棘ついた世の心もいつか
孤独に触れて温暖化進むだろう

調弦の混沌より
颯爽と
星を統べる
銀のタクト

哀愁は期待の産物　調整が
役に立つ

搭乗一時間遅れ。
手荷物が流れ込む。
静かに雪は見守る。
暑い国へＵターン。

詩を書き気付く
銀杏並木が舞い散る姿が
バレリーナの様だってこと

甘えだと
言われた涙舐めてみる
ちっとも甘くは
ないけれど

長靴の私は最強

読みかけて
伏せた図鑑は目をぬすみ
その形で飛びほんものに会う

人生をぶん殴っても
痛いのは俺
千手観音よ五千の指で
夜をくすぐってくれ

かもしかの落角の痕
潤みつつ
アルクトゥルスを呼び寄せている

お腹が痛くなる予感
唾液を溜めて薬を飲んだ

世界を認識すること
それは嵐の夜の波紋の一つ
それは僕の指先に宿る宇宙

あの子の抜毛をわらったあの子
が尾を引く星に成れますように！

沸騰する水たまり
物体というかなしみ

輪郭のある固有名詞を
愛したいんです

優しいだけの世界では
きっと人は生きていけない

間に合わせ　のルーズリーフに
前身のない板書たち切り離される

喉の調子が悪い。
昨日は楽しかった。

マカロニの猫の爪からママの皮

雪の降る師走しわがれて
薄化粧

会いたいと十回言って氷柱になる

きみの食べる姿が
哀しかったのが恋の始まり

オリオンより遠い
わたくしたちの家

僕らが押す「終わり」のボタン
メタファーのようだよ
セルフレジへと並ぶ

指先がぴりぴりして
思わず噛んでやりすごす
その爪さえ切りたくない恋だった

小学校の入学式の日
浮世絵師の苦悩に
思いが及ばなかった
事は痛恨の極みです

一回も行ったことのない
砂漠の冬の夢
包装して贈ります。

詩の数だけ
血の曼珠沙華
傷口に咲け

目一杯苦情処理したコンビニで
木星を見て充電される

 水面に皺を寄せつつなめらかに
わたしの温度に近づくスープ

土まみれのかばん
袖につくインク
あの頃のきみ

やがて灰となる血と肉
ただ木霊を残す涙と痛み

あなたの小さな寝息に側立って 
無声映画が流れている

昨日と同じが快い今日
のはずが
いつもの道で
あなたに会えるか期待していた

目も鼻もない冬の日の杭になる

オギャーと泣いて赤ちゃん登場
窓の外は
穏やかな冬の日だまり

海に降る雪そのもののお祈りが
白髪交じりの記憶を包む

halcyon days，妻を
眠らす冬の凪

君のいない世界に生きたら。
帰り道のため一本の忘れぬ花火

8歳の私がまばたきした
「おかあさんは」
ごめんね、もう
ただいまも言えない

束の間の昼下がり
陽の光が瞼を満たす
憂鬱が覗いた
逃げてもいいのに

当たり前の対義語 僕の住む星
引越しなんて、面倒御免だ

笑顔が見られればいい、
とか、今言っちゃいましたね、私

凍った水道管の
果て
回らない洗濯機

陽だまりで悔しさ広げごろ寝する

つんのめる私の息は
どこに行く
痛いつま先
悲鳴を隠し

きりぎりす
小雨のかかるメニュー表

雲海の　宝珠隠れし　カルデラ湖

侮るな年末
置いてけぼりの万有引力
思い出せあの懐かしい物語の顛末

嬢ちゃんよ
自慢話はもうおよし
お天狗さんが気づかぬ前に

一階の食堂がビストロになっても
ハイツ森野はハイツ森野だ

痛い　赤い　苦しい
ああ
だから私は生きている

妻のいぬ
我が家であじわう
旅愁かな

時計が止まって
「俺も休みたいんだ」

空焼けて赤の他人にいろうつり

引き止めた虹を口説いて
午後燃える

空という丸いパラシュートで
生まれ天を目指す

眠るとき視線の角度がわからない

急がねば
　5限に間に合え　
猛ダッシュ　　

肴(あて)のない茶碗酒
杯もすすむ一次合格

豊かさを
感じるものよ
アフリカで
風に乗りくる
誇りと匂い

手話を学び
表情が豊かになった
義理のおかあさん

君が
過去の誰かに向けて歌うときの
視線体温声色

終わってもまだ君を縛る人

自らの話の長さをわからない人
湖はそんな存在

いっそひとおもいに
息が凍るほど
音が飛ぶほど
長く短い瞬間に

涙こぼれるように降りだす雪の下
あなたがいないって本当なのか

｢あったかくして眠ってね｣
今日までに貰った
ことばのお守りを
抱く

小さなツリーに大きな幸せ

毛玉ケア
猫がお手本　
しとやかに

缶詰のなかは清潔クリスマス

飲み干した瓶に残ったガラス玉　
二度と戻れない　五歳の夏

雪が降る
人の形をしているだけの
寒さが輪郭をとらえる

鍵盤の蓋を閉じかけてはひらく
少女の浅いねむりのように

おいお前ら月がデカいぞ見ろ

君といる時がそのまま続くなら
ほしいものなど何もなかった

サイコロの目
歌留多の手
福笑いの口
皆んな君で
皆んなお祝い

「ごみ箱」にさえ残らない
おもいでも
いつかは歌になるのだろうか

日々の悲しさに
あえて記号つけるなら
さんかく微笑んで

初バイト
緊張ごまかし
お菓子食う

過去になった君を見つけたくて
僕は地図のない星空をさまよう

天から砕けた骨が降る
弔いの熱に解ける亡骸は
子の頂きに君臨する

選択をすれば光れるＵＩで
はさみの奥の冬糸を切る

忍者だってバラしたね

意味みたいな死体だ。
辞書に入れるか？

冷えた床素足で急げ雪の女王

甘やかにポインセチアの街軋む

食卓の四角に四人賀状書く

知らない内に色付く手
痩せた絵の具に落ちる影は濃く、

想い出の数だけ
ステップを踏んでいたら
牧場から風が降りてきた

カーテンの　光で決める
　今日の服

雪催オートミールを温めて

やっぱいいや
じゃあいいや
これでいいや
でもこれだけは　こうじゃなきゃ

指先とドアノブたちの仲違い

つくすもうらぎるもむねの血潮
柘榴をぎやまんに盛れば昼の月

ゆらゆら緑
光を受けて　呼吸を想う
ひらひら赤黄
力を託して　未来を想う

怒ってもいい人がいて、
わたしは謝ってはいけなくて
それからのこと

水星の昼夜の温度差を解き
サドルの雪を払う左手

しらじらと泥土に眠る葱の純潔

水を
くしけずるような夜　南半球が
ほんのり歪んでいくね

氷る夜に浸水式という誤字を

三十八度は平熱で
ご飯は食べたと嘘をつく
八十五歳の　母は穏やか

還暦のウインタースポーツ
寒い　キツイ　痛い
決断の時！

あなたがあなたでいられる
世界など
疾うの昔に消え去った

泥沼をさまようごとくブーツ脱ぐ

死にそうに心が痛くって
折れた枝で突いたら
這い出た蛇が噛み付いてきそうで

あら初めまして
笑顔でそう言うあなたに
九十九回目の挨拶
あと一回は一番星へ

手遅れになってはじめて
直視する
袋の中の腐った蜜柑

そこの小節
ピアノの音が進まない
立ち聞きしてる
寒波の川沿い

片付けな
赤城の風がお通りだ
辛い記憶は道に出しなよ

毎度あり
誰かの炭素になってこい

背に感じる重みのうち
どれくらいが荷物の重さ

手袋つければ手先が冷える

僕たちは真夜中の公園で
光る街灯の下に集う幾つもの
過去と未来だった

笑って泣いて　怒って泣いて
君の
僕の
いちばん好きな映画

一枚ずつ
そろそろ脱いで
裸になりたい

安奈、順子、まゆみにくるみ、
曲名には男の名前が見当たらない

それまでは、
生き抜くのだと
かたくなる蕾のような
気持ちで笑う

チョコパイをほおばりながら
『武士道』を
読んでいる彼女は何様だ

いつも変わらぬ毎日は
ぐるりぐるりとまわるだけ
ぐるりぐるりとまわるだけ

俺にくれよ、
おまえの砂時計

有限の生
無為に費やすくらいなら

星だけを写す海に
吸い込まれた

初雪を待ち侘びてなおキンセンカ

ホームにて手をふる君が霞みゆく
名残の雪も降りやまぬまま

凍る語尾

掌にひとひらの
雪の痕

蝶々結び
箸の上げ下げ
ペンの持ち方
誰かに愛された証ね
目を背けたくなるほど

軸足を右と信じて抱きとめた
全体重の全速力を

口笛のぶーの部分来る前に逃げろ
出口がないならこじ開けろ

手をふる人たち。
イルミネーションが滲む。
ライオンは遠くをみつめる。

ドラムと寒波が
トントン皮を打つ
表裏のない孤独
興味もない鼓動

「ほんとごめん」
友より恋の白い息
電飾の道　足早に過ぎ

「飛行機だ」誰かが言うのを
待っている　そしてゆっくりと
空を見上げる

人の何気ない言葉で
心が傷ついた
だって自分が自分を
嫌ってる部分だから

はにかむ笑顔が可愛いと
言われ続けているうちに
あざとい笑顔にすり替わる

方言の遺伝子をまた組み替える

死神のため息、蝋燭が燻る

あらたまの世界経済ごと鬱る

メル友になって長いねクリスマス

窮地のスクール不屈タフ才知
トライ視座(／示唆)を

さ迷う君は
いつまでも
異端の心根
憧憬の道化

引越しのこと話し合う裸です

悲しみ 憐れみ 空の色
真っ青な彼女はその日
真っ赤な大地に生まれ変わった

そのときの
気持ちのかけらを
少しだけ
集めてことばに
ひっそり記す

悲しみもまた群れ棲むか雪蛍

愛する君へ千年を渡る手紙
繰り返しひろいあつめて
百人一首

どっきどき
舌がまわらん
初バイト

肺が熱い
空気が冷たい
飛行機の音がうるさい
本当は何も感じない
何もいらない

わかめ食うより縮毛矯正
美髪は高額だっぺ

この道を渡れば君の部屋だから
深夜の赤信号を見つめる

君の風
嗅球を突き
宙を舞う

　浴槽の独房につかる満月

見逃さない
細胞レベルで
こびりつけ
あの瞬間は
確かに永遠

アクセルを離さなければ
あの月に届く気がした坂
バイパスに

夕暮れの淀みを全てあげましょう
かつて切り落としたおさなさへ