泣きながら
海辺でみたらしだんご

また幸せがやってきた
住所不定の幸せが
どうか行かないで
春までまだ時間が

PayPayって使えますか？
あ、
使えます
もう悪魔もキャッシュレスなんで

抱きついて止めればいいのか
躁の友

「あすは寒い」
教えてくれる温かさ

丘登り
地球の円さをじっと見る
世界はきっと素晴らしい場所

あの日見た百合の花が
祈っている姿がただ綺麗で、
朝露が瞳からひとしずく

秋惜しむ糖類ゼロの病室で

不用意に傷つく世界
大きな壁に隠れ
自分を守るために笑う
心がひび割れていく

泣きを見る記憶違いのバタ足で

風邪声の掠れがすれのありがとう

幸せな色は好きな色

クロミちゃん
小悪魔的でかわいいね
真似てピアノ化計画立てる

雨雲と青空に透かしてみえる
車窓の皮脂は彼より高い

窓際にある白手紙しずかなる
夕雨ひとつ文字にくはえて

陽の当たるところにいてね
陽の当たるところが
世界にまだあるうちは

食べていいフルーツなのか
分からずにティーだけ啜る
都市とは覚悟

理性を壊しそうだ
この先にある紙とペンを
握ることができたなら

判決を鳩笛で言い渡します

五以上はたくさん籠に積む蜜柑

びっこひく野良猫に餌を与える
目は虚ろ

鏡見て破顔一笑思い出が
まだ残ってるサーターアンダギー

こんな世に
誰がしたのかって
それは全ての人や
人がいて世界はできてるからね

吊り革　三つぶん
君の心との キョリかもしれない

開け放つ立冬の窓胸の窓

ホームドアは優しいだけじゃない
仕切り

濡れながら地を這って生きたい


オオサンショウウオの様に

偏愛は、わかっているよ
玉虫のはるかな不思議のように

関わりはなんもないのに
真似はする
「他人」の群れから
逸れまい、とね。

まわり道
金木犀が燃え上がる

天国の座標が定まらない奇跡

公転の悩み自転の悩み雪

シャクシャクと
落ち葉踏む足 軽々と
この歌どこまで
続くことやら

温室は花を店へと絶え間なく
もたらして棺桶をこぼれた

寂しさは愛しさと連れ立って来る
最後の朝寝はいつだっただろう

ひっそりとした夜に
名前も知らぬ茂みが増殖する。
そして、どろっとした朝。

そもそも俺
その世界線にはいない
　母の返信　WYA

真夜中の
ガードレールは途切れない
夜から生えた白い両腕

あまい夢
おなかいっぱいふくらんで
メロディーちゃんと
アイドルデビュー

ペンダントにライカの写真秋の霜

選択と削除を経ては消えていく
カメラロールとそこにいた僕

唇の間やわらかくまんじゆさげ

青い炎の熱が赤に勝るのは
そういうことだろう

幽霊は土足禁止の秋の浜

恋だとか
くだらない詩も作れずに
先生やっぱりぼくは死にたい

痛みを逸らすには
憂鬱は万能だ
いつか君のことすら
憂鬱になる

番号で呼ばれる棺
先輩はみやびと名付け
布を張ってく

言祝ぐように
服脱ぐ女の背中で
今日は
祈りがやぶれていて

喩としての核弾頭が墜ち球春

思えばさ去年マフラー巻いた時期
今も歩くよ跨線橋わらう

冬を待ち望んでいた
私の暗闇も汚い世界も
雪で覆い尽くして
生まれ変われたら

足音が心臓を踏む
どこからか
僕は地面になってしまった

気が付けば立冬すぐそこ今日夏日

生真面目なあなたの
たった一つの嘘が
報われますように

魚にエサを撒く空から落ちるツブ
を飲む

コーヒーカップに向かい合って
おんなじスピードのあなただけが

何見てるのと画面の中を覗き込む
君が言葉を知らぬ頃

今のほとんどがすっきりしない

熊たちにアサインされて冷まじく

白銀のふもとで芽吹く

黒髪が一番いいわと染めたのは
空に飛び立つ三日前

子育てに勤しむ親に隔てなく
神は与える二十五時間

ユーミンの好きな季節 想像する
後部座席の揺れ 心地よい

雪催木と木で起こす火種です

吸うとヒュー
吐くとゴロゴロ
つっかえた言葉に処方箋

夜鷹啼く翼は本を繰るように

枯木立
光り輝く
ひとのため

老いゆく我が身にムチ打つ幼児

食べごろの
まんまる大福
りょうほほに

紫陽花が枯れる

母から冬になる

ああ、ずるいなあ
かっこいい

夢の中 時間の嵐 朝寝坊

孤高の君が好きだから、君とは
付き合えない
パラドックスの再発明　わら

貴方の言葉は甘い旋律
一言一句聞き逃さないよう
五線譜の上に書き留める

ひょいと寄り
　　　冬日ゆずってくれるひと

青鷺のいて振り向けば山の方

私の"目"が怖い
私はただ、石になりたい

人生ってさ
不安との闘いだけど
克服すると
一気に幸せになるんだね

面会の帰りに涙目　ラテ熱く

異世界の入口おばあちゃんの部屋

まだぬるいような切株冬苺

ダイエット
あなたのために
頑張るよ

地に伏して蚯蚓の如く慟哭す

若さというのは
大切ではあるけれど
人生を決めるほどに
重要ではないんですよ

不安という
得体の知れぬ
化け物

ためらいの隙間
ため息の
息継ぎのために吐く
恋のうた

心の陽が射し手が伸べられた
君が、僕のソレイユ

多様性チーズケーキの焼き加減

林檎齧る月の満ち欠けのように鬱

秋走る　重い瞼の　表裏

ありがとう
その正体が句点なら
君との別れ、近づいていく

タクシーの運転手のよう地縛霊
彼は何へと怒るのだろう

過ぎて往くのは
助けてくれない貨物列車
私は普通になれはしなかった

シンクロが地下鉄車両みたす時

わたくしの人生を変えた貴方をも
変えた誰かがきっと居るのだ

タイツにくっついた
糸くず
いたわるように鳴る、楓

賑やかな橋から見える塊は
土下座しているイエスキリスト

俺を蔑む濃霧の輪唱

たとえば、戦場で死ぬこと

無防備で最先端な遺失物

塩ふれば機体工場縮みゆく

ゆく秋の瑇瑁(たいまい)洗う飼
育員

咳する娘
銀の粒子が放たれて
夜の頬に落ちてくる

探しても探しても
見つからないものは
探すのを諦めた時に
見つかるの

朝風呂の湯船で眠る八分間
次の港が故郷であったら

あなたのために𠮟ると
嘯くにやけ顔

キラキラの思い出が髪引いたとて
変わらない景色の中出社

旅人が白鳥の影を売る

鳥肌で知った
あ、終わったのだと
雨音の夜の
角部屋の花

言いかけた言葉の行方
はなびらの落ちる様子に
まつわる記憶

折角この世に生まれたんだ
心のこもった
愛あるおならをしてみたい

君の背が雪の一部になる、
（じゃあね。）

これから何にもなくなるの
言わないで

農家大嫌い
かといって
家を出る勇気も
無いくせに

夕鶴の声が聞こえて戸が閉まる
向こう側には鬼が待っている

今だけは
あなたをその子に譲ります
死んだら私と地獄へ行くもの

恋というのは
背伸びをしても
届かなかった金木犀

外さないまま脱ぎ着するから
伸びて縒れてる
パジャマのボタン
一つ取れてる

乾電池いっぽんで点く秋の月

ドクロのピアスが
君の耳をかじっている
錯覚じゃないよ

予防線　張るだけ張って
崩れ落ち去る城
ここに春は来なくて

土着的促音便はこうですよ

冬の風空白を売るモール跡

左手は
私の頬に添えるだけ
バスケのボールじゃないんだから

暗くなっていく　空の隙間に
光を放つ　雷鳴のように
叫ぶように
唄うように

最適解の
まんまんなかに産み落とす

半径30センチの
過去と未来

微動だにしない同居人
君に埃が積もる間に
僕の命は減ってゆく

草食のカピバラは
ローズマリーを食べませんし
私はカピバラを食べません

終わるくらいなら逃げるが勝ち

博学に
ひざまづくと
ぼくらはいつも古本になる

合唱コンクール
心の浄化も束の間に
現実に戻る虚しさよ

どんな道なのかは足の裏で知る

れるられるせるさせる
澄む
隅田川

ツールドってなに？フランスは
わかるけど　明日の正午までに
知りたい

雪しずく
こぼ
耳
白き
冬の

水溶片栗粉序論

都会での満員通勤四十年
北の大地に戻り二月

マッチングアプリで追憶 土日祝

風死にたえる炎天下
一面の瓦礫の中で立ち尽くす父親
息子の腕だけを持って

祇園精舎のたちつてと
　盛者必衰まみむめも

君の名を書いてみたくて
書いてみる
綺麗な光だけ差す部屋で

はらはらと錯視のように秋の雨

あと少し　散歩道　見上げる
手にした画面　紅葉　出番待つ

グルテンを作る粉からのもちもち

涙になれない　小さな　悲しみ

木洩れ陽に浮かんで消える廃線跡

夜半遠心力ぐいとあおる罰酒

結んで開いて団栗に

涙　
川になって　山に流れて　
海になって　空に還る
そしてまた　君に届く

己はペガサス
ではなく駄馬
だと覚った後に
眺める虹は
限りなく美しい

のりかえの　
スーツ姿の
鯉たちの　
階段の滝　
龍の背は夢

朝靄の山脈僕ら夢うつつ

秋の朝バカマツタケをコピペする

紐で飾った絵が落ちた
どたん、ばたん、がたん
切れた紐の緒、割れた額縁

秋麗の金貨ではなく電子音

換気口松茸飯の香る道

両翼が治る前日にラインして
今度はちゃんと俺が捥ぐから

あなたにも夕焼けを見るための窓

抽斗の奥にしまってあるたましい

やる事にゼロはないから
やらないより
やって嫌われるなら
そうした方がええね

パンケーキ５枚焼いたが冷凍した
お腹いっぱい巣へと戻ろう

夕暮れの
鮮血好む
常日頃

裸眼だと忙しさが見えないならば
ゆったりなじろう紙の温度で

微睡の曙 秋が弱く
もののあはれの
じりじりと炭化する体の内側
物狂い

宇宙の涯へ
行く
彗星として
暮秋

ハァ、思い伝わらぬもどかしさ

誕生日以外の３６４の方
あなたをずっと祝福するよ

着地するために
必要な旋律
吐く、
蜘蛛

弟が滑り台から落ちてゆく
泣き叫んだら来た救急車

肝臓の裏でむささび飼っている

だますなら、うまくだませよ
はりつけのように眠る秋夜

閑農期自分自身に止まる鳥

抜けた前歯を抜けていく
姪のカラカラとした笑い声は
私の明日に熱を持たせる

台湾で買った緑油精は
懐かしい理容室の薫り
銀色懐炉と杖が助手席で待ってる

地味だけど
オシャレをしたらかわいいよ
メロディーちゃんの
引き立て役でも

秋闌けるセイレーンの声よく伸び
る

太陽を目の前にして僕はただ
ちょっと狡猾な水星になる

見たかった夜があったり
見たくない朝があったり
手を繋いだり

心太
ほんのりさわやか
希死念慮

無い無いづくしの俺は
頭良くない
才能はない
金もないから
やるしかねえ

好きから義務へ
義務から嫌いへ
終わらせないためには
好きにならないこと

暗くなる前に
売り切れちゃったから
光る翼は貸してあげるね

8月20日の恋の化石

『木を植えた男』を借りて
四歳もバケツの木の実選別してる

背景に同化した苦労　
       きっとあるだろう

全員に好かれたいけど
全員に嫌われたくて
今日の深爪

恋をした人はだいたい死んでいる

吾輩は猫
と言い切れるくらいに
確かな我を　探す　夜風に

蜘蛛の糸で首を吊る

三日月のかたちでねむる
君を乗せ
新幹線は夜風のはやさ

どんどんと
内側から叩かれて
ほんとの気持ち
ようやく気づく

この旅路の目的地
果てしない慟哭の果て
後部座席の
この子の昼寝

腕相撲中三男子に負けぬ母

冷凍庫にさ、
あんたとアイスを連れ込むの
そしたらたぶん時計も止まるし

チョコレートふた粒で
バランスをとる世界

心音が消えればうかぶブイがある

AIに　この愉しみを
奪わせない

海を見れば海へ帰っていく夕陽

祝日を運ぶ係りの人になる

夕陽差す
黒縁の写真たちに
言い訳してみる
ごめんなさい
でもここにいたいの

それまでは全部演技さ花カンナ

今朝もまた罪を犯した男
すれ違う
ウクライナから来た娘

かんそうはだ冬の牛乳ほど甘い

家族団欒

わたしのいないリビングにて

落ち葉の下の蜂と
この恋心も一緒なら
寂しくはないね