吹く風は こんなに冷たい
だけどああ、
頭の中は あなたでいっぱい

まばたきに誘いこまれて
リハビリの海がある
あまり青くない海

老いた孤独な月を抱いて

さ、さ、さ、さ、さむい。
あ、あ、あ、あ、朝が来る。

連結のガラス
映る五連勤
慌てて紅をさす

初旅のビュッフェ
　　　　　　スクランブルエッグ

大屋根の
雪下ろしする
自らの
地上の影に
一度手を振る

相談相手は座頭鯨
と決めていた
だが
蟹が嫉妬している
ようなので相談はしない

椿散るバージンこえて椿散る

張り詰めた
僕の心を
知りもせず
青に変わった
リトマス試験紙

銀のクリップ深海にふりつもる

この夜に名前が欲しくて
辞書を引く

またアイツ
かってにまとう
奪われる
勝てた事ない
ヤツの名は睡魔

この世で一番
尊重されるべきもの
それは
個々の
精神世界なのではないだろうか

甘ったるいココア片手に　刺繍糸

「おめでとう」
言っていいんだよ？
その物差しで
合格の価値を決めつけないで

歩道橋
ふたりで渡る足裏に
夕虹を描くクレヨンの圧

白色の絹に包まれ悔やむ乙女
あなたは、今どこですか

エキストラ
エトセトラ
ケセラセラ
だんだん良くなる
ひそかに　強く　

月光を凍らせ束ねて献(ささ)げ
たい

眉間にはきっと数字が浮いていて
わたしを綺麗に装うと
ひかる

カラダにピースを真に受けて
甘すぎる夏

頬を刺す
妙に忙しい
冬の朝

ガタンゴトン
手から飛び出た単語帳
「すみません。すみません。」
と拾う

石の板に咲き乱れる右手たち

夢を乗せたスペースシャトル
彗星が引く線を背に飛んでいく

延びる日暮れの
寂しさよ
西へ歩こう
紺に染まろう

ゆきぼたる自分の体全部嫌

22時過ぎの新橋駅
抱えたリュック
忍ぶ缶ビール
戦士であるための
ドーピング

満月を浴びつつ歩く黒い道
心の中のキミとともに

ゆっくりと今日を終えて
ふりかえる
私は私であっただろうか

メロディちゃんみたいに
いつかなれるよう頑張ります　
　マイスイートピアノ

あなたもきっと欲しいはず
追い炊き機能と配管浄化
ごうぅんと心臓が呻るから

瞳の中には明日への絶望と渇望

床下に寒犬の産むニヒリズム

白鳥の翼に蛇腹カルデラ湖

君にはいつも悪いけど
雨女で良かったよ

星くずが降る音
(ポテトチップスを食べる私の)

取扱説明書紛失
雲雀は雨の方へばかり向かう

　月に蝟集する星を拭う

思い出せば　声と無音

転がしてようやくふゆは冬になる
強引だけどこれはただしい

冷水の中で水切りする花の
生かされていることの常態

さようなら
今までどうもありがとう
私の出口、君の入口

卵が割れた。
「落としちゃったね。」と、
２人で笑った。

君に出会って
僕の世界は煌めきはじめる

手に入るなら
ズルだってする
好き　嫌い
好き　嫌い
好き　嫌い　好き

あなたが話がしたいのならば
わたしは黙っていよう

池の深～いところ
恋が愛をぱくりぱくり
今年は暖冬

私から引いてよカメラ、眠る時
オールドジャズと窓を映して

タイトルが
不思議な言葉
名作の
未来に帰る
タイムマシーン

コーヒーに
ミルクの河を注ぐ生(せい)

薄暮、海岸線を
折り返しは何処かとすすむ
此処の時計の読み方を知らぬ儘

ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ玉止め

うつ病とうつ状態の違いとは
分かるわからない侵食海岸

案外に好きな曲って聴いてない
それよか未知と出会いたくてさ

時代が君らを許しても
僕が君らを許さない

土を掘る
手を止める
また土を掘る
この先に何があるかなど
気にも留めず

水を飲む水は走る真っ直ぐ走る

捌いたから、
魚のにおいがするこの指は
命のにおいだ。何度も嗅ぐ。

神経の翳りパイプ椅子を組む

思い出に住むひとに
雪だね、と言ってみる

君の心を4Kの画質で読みたい

高望みこそ青春であり
青春こそ人生である

人を陥れるのは
自分を陥れるのと同じ
逆もまた然り

〆切は近いほど捗る

逃避行
「指す」んじゃなくて
「打つ」んだよ
大人になりたくない昼休み

やばいって
言葉忘れて
ヒトやめる

夜空はとっくに干上がり
コーヒーカップに
いつもの潮だまり

破損データのアイコンを
クリックしても
デジャヴはデジャヴ

食卓に一人残されて

騒ぐコーラ

誰かの歌声
自分のために生きて
私は生きるよ
あなたが好きな自分のために

小春日の縁側
日光浴のボンタン

信号がずっと赤でありますように
君と僕の祈りは似ている

友達でいてね、と
叫んでいなければ
彼女はとっくに友達だった

久々に食べた
カップ麺は木枯らし

亀鳴いたかも
皮膜タイプの二重のり

すれ違っても知らんぷり
今日で世界が終わります
出発進行　愉快だ　　　

先端恐怖症Lv.100
机の書類がこわい。

日々は連なる
春のリップで自分を守る

嘘をちりばめたものから光るから
あなたたちには夜を教える

まぼろしの砂丘に
いつかあらわれる
返せなかったままのバレッタ

踏み切りの向こう　
仁王立ちの制服

冥王星にりんご飴を
忘れてきたけれど
行き方を
覚えてないので
取りに戻れない

身の丈に
裾上げされた想いの丈
誰にも見えない裏側から
０デシベルで
叫んでる

両親とともに老いてゆく故郷よ
恩知らずと掛ける力
まだありや

甘いものって大好きよ
私の額に咲くこと以外

目薬は粒の集まり日短

不愉快な人間が沢山
はらまらとして行こうか、
あらりむのえそ。

円周率のつづく無限よ惜しみなく
ピアスホールに静寂が満ちて

薬をのんだら悪夢待ちのベットへ

私は体表に無数の毛穴を備える
私は体内に美しい血を巡らせる

一隻の愛が、僕のもとから
出航していった。
またいつか。今はまだ。

工場で物を製るような顔で
子ども染みた祈りをする女

甘ったるいココア片手に　刺繍針

昨日の私を
飛び越えて
日常の始まり

泣き顔に見惚れていれば
右利きのあなたに刺しやすい左胸

あなたの詩がすきと言うから
貴方がくれた言葉ばかり使う夢

大寒にポストトゥルースの遭難者

僕の人生はこの先にあると言う
彼の背負う
パンドラの箱は開いてた

月光が廊下を照らすボストンの
地下鉄の自販機の痛み止め

新しいカレンダーに
 付けた丸は正三角形寄り

隣り合わせにした
二通りの願望に
抑揚の追い付かない夜

電線がつくる夜空の譜面
輝く音符がひとつだけ

いつか見たいな
満天の音

喫茶店のモーニング
がま口から
ときどきお小遣い
おばあちゃんに会いたい

私の意識は誰のものであろうか。
憎いほど扱いにくく、
ぬめりがひどい。

失敗しちゃった
暗証番号
全て
あなたの誕生日

浮かびながら
湖畔端の方
霞む反影

ポテトにケチャップ要りません
失礼いたしました
人生楽しいですか？

すぐに傷ついてしまう心がある
そんなときは目を閉じて
ぼくらのことを想う

広い心でいてください
目の前の人を思いやってください
ただ、それだけ

親指を立てて笑いし父
こんど帰ったら
握手とかしようぜ

なんかなあ
なんだろなあ
なんだかなあで夕日
なんでかなあで満月
ダンダカダン

ジャンプなんて動作
久しくしてなくて
重力の檻から 出れずにいるの

こがらしに横田こがれてゆく永遠

（わたし）にはとても無理です
人前で芽生えた私をさらけだすの

　　隣の月は観測者

朝と凭れあった夜は
いつも
細胞ひとつひとつと
かおり高く死に絶えたいと思う

蝶とまるアレクサっぽい先生に

砂利か　私が　
三角錐で固まった

新月くん
その影で私を照らして
見つけて　抱きしめて
離さないで

出身を言い淀むぼくの故郷は
きっとあなたがいるとこだった

溜まったままの涙。
塊になった。
歩く度疼く。
映像が止まらない。

ぼけっと生きてたら
命の使い方を忘れてしまいそうで

愛がないと知っていて
抱かれた記憶さえなくて
それでも子供は母親が好き

花火大会
火花になって踊るんだ
私たちはあんなに派手には
終わっていけない

ひとむれのあか手放しても
群赤はないことの悔しさが夕暮れ

キリギリスの血
蟻の身体
チェロは泣く

理科室の匂いは遠く冬花火

父母子歩むおそろい冬帽子

外は危険なところだわ
あなたと私が出会った場所だもの

双子のひとり耳を塞いで

こんこんと降る
愛みたいだ

メロディちゃん
五十周年おめでとう
尊敬できる自慢の友達

彷徨う
かげろうたち
時の流れ
明日の扉
君の声が聞こえる

矢をどうぞ。

私は空の脾臓を射抜くから
あなたは北極星をお願い。

こんな時だからの猫の子の動画

久々に 青く見えた 冬の空
響いた声が 面白かった

細雪
微笑む君と
道連れに

夜の痛みを木菟とわかち合う

ええ、はい、さようで
総じて　わざわい
幸い、幕引き
これにて　最果て

水晶のように固まるプライドを
胸のしこりとして生きる違和感

もう二度と絶対に
金輪際会わないと
決めたことを
身を綺麗に整えて
伝えに行く

ぱんとりーで冬を上映
ほこりが雪の真似してちらちら
お皿のえくぼに木漏れ日

沈黙はスプーンをまぶたに被せ
火花にそっと蓋をすること

溜め息のかくれんぼ
棘に埋もれない様に
少し震えて柔らかさを保つ

マイナスイオンみたいな
清らかな風は吹かない
ネガティブ思考

舞台袖パステルカラーの影泳ぐ

喜怒哀楽をすり鉢に
すってこねてまた
すりこねて

布団がわたしにしがみつくんです
ほんとなんです
ほんとうなんです

君を想う自分が好き
君を通して
初めて
私は私を愛せたの

飼い猫の視覚にとどく朧月

覚えたてのじゃんけんで
今日のおやつを決めようか

家族は距離がちかいから
なんでも感染しちゃうんだよね

銀河ガラスの向こうには
猫らしき黒と茶色の影
一匹なんだか二匹だか

ずっと
悲しみから　逃げてきた
でも今　逃れられないと
気づいたんだ

海流のまにまに
背泳ぎをする
哀愁の嗜み

憧れを抱いて
たたと駆ける
ぎゅと抱えて
どどと走る

人生にゃオマケ要素が必要さ
例えば炭酸水メイカーとか

アボカドが
かたい気がして
あやふやにくり返してる
気持ち十秒

戦争のおかげで
今日も文壇が賑わっています

愛獣の火葬寒九の空見上げ

冬北斗落ちさみしさの振動数

僕から海が溢れて
青と白波がみえた時
はじめて涙と呼んでよ

冬眠したい。が口癖のあの子
もうすぐに春が来るよ

最初の一歩　
歩いてみなけりゃわからない
わからないを楽しもう

富士を背に月を見上げた夕暮れに
静かな音が耳に残った

目の前剪定中の花壇
足元にトカゲが一人
睨まないでよ
僕のせいじゃない

空っぽの器に青を注いだら
空っぽのまま満ちて青空

二十六時、
オレンジ色の水面に浮かぶ私

生まれつき火影を自認する蜥蜴

魂のすりつくようイヤホンに
うつってたジーンズの
映画みたいな青

重ねる覚悟
ひと押しの、衝動
完璧な弧を描く

哲学書をよむと
しょっぱい林檎の味
胸の奥のみかづきに流し込んで
わかる

おめでとう
メロディちゃんの誕生日
プレゼントだよピンクのリボン

たましいのほつれ目
地図ができあがるときの
メロディ

密やかな太陽ひとつ抱えつつ
渡るペデストリアンデッキ

麻の帆がゆらめく
潮が芳しい
肌に吹く微風

浴槽の中のセロハン手探れば
あなた水鳥みたいな目つき

狂女曰く
私には幸せになる資格が
あったんだと
サイレンの中、
腕の中で眠る夜

太陽のプリズム
ホコリすら雪に見えて
今まさに、吹雪

心にねワッペン貼ったら
かわいくなったの

ビン底のジャム
寝かしつけるように
蓋を閉める

土をはむ音
這いつくばって
勇気と根気
今を踏み締め
新たな光生まれる

お風呂に星を浮かべたら
「ビックバン！」って
おならした

ひやしんす
すきのかわりにいうすてき

引き出しに冬の切手を入れておく

蛍火や　髪に天使の　輪を描く

自由とは
風見鶏の軋み

今年度儀礼一切に関せず
桃のむくみのように呆ければ

爪と爪赤くなるじゃんこら凍滝

知らぬ間に糸はほつれる
さよならを
言えた別れの方が少ない

天色のうろこを逆撫でて
落ちた破片でおはじきをする

２８歳で社会へ
携えるのは博士号、
それから多額の借金(奨学金)

口いっぱいの金平糖
笑っちゃだめよ　あっぷっぷ

青春は
この世にはもう
どこにも無くて
鎖骨の裏で
光り輝く

雪だるま溶けて子どもの一人減る

いつの日か
奥歯に刺さった
わだかまり

手の平から伝い
手の平から伝う

新雪やちりりと粘るオルゴール

大学は夜も開いていて
お互いに
教室の静けさが好きだった

　　　ごめんなさい
　ぺこぺこ謝るくらいなら
大人になんてなってやらない

初詣はなやぐ境内居場所なし
独りは丑の刻から来いとな

アルビノの髪に黒目を咲かせてる

旅客機よ睫毛を揺らせ遠い風

２号車にまもなく春が参ります

触角に露
夜ごと
架けかえられる
草の橋

食べられなくなったら。
分析口調。
覚悟はあっても。
突き刺さる。